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本編
閑話② 精霊王と最高位精霊
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ここは、精霊界。
人間の住む世界とは別次元に存在する世界。
精霊の王が作り出す美しい世界。
そこに、炎の最高位精霊ファルクが姿を現した。セシリアを帝国に無事送り届け、人間共に警告し、王に報告するため精霊界に帰還した。
最高位精霊は、基本精霊界に住まない。
彼らは人間界に留まり、精霊界の調和を守る。
人間界で人々が争い、負の感情が満ちると精霊界にも影響が出てしまう。
だから全ての最高位精霊は、人間界に留まり、人々を守り癒し、負の感情を浄化する。
これは、世界の真理であり、精霊王でも変えられない宿命だった。
例えどんなに人間共を嫌っていても、精霊界を守るためには、人間界をも守らなければならなかった。
人間を憎く思う彼らだが、たまに気に入る人間が現れる。最高位精霊は、気に入った人間を愛し子と呼び、自分たちの力を貸し与える。
そして、生まれたのが精霊付加魔法士、精霊士だった。
滅多に現れないが、今世もっとも驚くべき事態が起きた。
それは……
精霊王ランティスが一人の少女を気に入った事だ。そして、全ての最高位精霊もまた少女を気に入った。
精霊王と契約した少女の名はセシリア、母親が亡くなって数ヶ月後の事だった。
「王よ、いま戻った」
「ちょっと、ファルク!ずるいじゃない!?1人でリアの元に行くなんて!私も行きたかったわっ」
水の最高位がファルクに詰め寄る。
風も土も皆が不機嫌そうにファルクを見つめた。
「仕方ないだろう、お前らはまだ、フラウゼルから離れられなかったのだから」
「む~~~」
「それで……リアは元気そぅ?」
か細い声で話しかけて来たのは、聖の最高位ヴァル。
「ああ、帝国の奴らも、まぁ悪くなさそうだ」
「本当なんでしょうね!?フラウゼルの様な奴らなら、私が沈めてやるわよっ?」
「大丈夫だ。今そんな事をすればリアに嫌われるぞ。リアは、帝国の奴らを気に入ったようだからな」
「ちゃんと警告したのか?」
普段は滅多に口をきかない闇の最高位キースだが、リアの事となると饒舌になるようだ。
「ああ、当然だ…フラウゼルの様な奴らなら、この俺が、その場で燃やし尽くしていた」
この言葉を、アインス皇帝が聞いていたら、肝が冷えた事だろう。警告する前から、彼らを見定めていた事をアインス皇帝は知らない。
だが、まぁ、アインス皇帝達は、ファルクのお眼鏡には適ったようだ。
「お前達、時は来た」
「…………」
「リアを蔑ろにし愚弄した人間共に、我らの力を示せ!彼の国を滅ぼしても構わぬ!」
精霊王が声高に宣言する。
国を滅ぼすことは、負の感情を増大させる要因……けれど、精霊王は、最高位精霊達は、セシリアを虐めたフラウゼル王国の人間が、どうしても許せなかった。
例え、精霊界を危機に貶める事になっても、彼らは、フラウゼル王国の人間に報復する事を止められない。
それほどに、セシリアを大切に思っていた。
精霊王と最高位精霊の報復が、いま始まろうとしていた。
人間の住む世界とは別次元に存在する世界。
精霊の王が作り出す美しい世界。
そこに、炎の最高位精霊ファルクが姿を現した。セシリアを帝国に無事送り届け、人間共に警告し、王に報告するため精霊界に帰還した。
最高位精霊は、基本精霊界に住まない。
彼らは人間界に留まり、精霊界の調和を守る。
人間界で人々が争い、負の感情が満ちると精霊界にも影響が出てしまう。
だから全ての最高位精霊は、人間界に留まり、人々を守り癒し、負の感情を浄化する。
これは、世界の真理であり、精霊王でも変えられない宿命だった。
例えどんなに人間共を嫌っていても、精霊界を守るためには、人間界をも守らなければならなかった。
人間を憎く思う彼らだが、たまに気に入る人間が現れる。最高位精霊は、気に入った人間を愛し子と呼び、自分たちの力を貸し与える。
そして、生まれたのが精霊付加魔法士、精霊士だった。
滅多に現れないが、今世もっとも驚くべき事態が起きた。
それは……
精霊王ランティスが一人の少女を気に入った事だ。そして、全ての最高位精霊もまた少女を気に入った。
精霊王と契約した少女の名はセシリア、母親が亡くなって数ヶ月後の事だった。
「王よ、いま戻った」
「ちょっと、ファルク!ずるいじゃない!?1人でリアの元に行くなんて!私も行きたかったわっ」
水の最高位がファルクに詰め寄る。
風も土も皆が不機嫌そうにファルクを見つめた。
「仕方ないだろう、お前らはまだ、フラウゼルから離れられなかったのだから」
「む~~~」
「それで……リアは元気そぅ?」
か細い声で話しかけて来たのは、聖の最高位ヴァル。
「ああ、帝国の奴らも、まぁ悪くなさそうだ」
「本当なんでしょうね!?フラウゼルの様な奴らなら、私が沈めてやるわよっ?」
「大丈夫だ。今そんな事をすればリアに嫌われるぞ。リアは、帝国の奴らを気に入ったようだからな」
「ちゃんと警告したのか?」
普段は滅多に口をきかない闇の最高位キースだが、リアの事となると饒舌になるようだ。
「ああ、当然だ…フラウゼルの様な奴らなら、この俺が、その場で燃やし尽くしていた」
この言葉を、アインス皇帝が聞いていたら、肝が冷えた事だろう。警告する前から、彼らを見定めていた事をアインス皇帝は知らない。
だが、まぁ、アインス皇帝達は、ファルクのお眼鏡には適ったようだ。
「お前達、時は来た」
「…………」
「リアを蔑ろにし愚弄した人間共に、我らの力を示せ!彼の国を滅ぼしても構わぬ!」
精霊王が声高に宣言する。
国を滅ぼすことは、負の感情を増大させる要因……けれど、精霊王は、最高位精霊達は、セシリアを虐めたフラウゼル王国の人間が、どうしても許せなかった。
例え、精霊界を危機に貶める事になっても、彼らは、フラウゼル王国の人間に報復する事を止められない。
それほどに、セシリアを大切に思っていた。
精霊王と最高位精霊の報復が、いま始まろうとしていた。
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