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第1話 婚約破棄
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「お前との婚約は……」
「…………」
「破棄だ!!」
婚約者であるこの国の王太子、アズレオ様の口から婚約破棄を告げる言葉が発せられると、会場が一気に沸きあがる。
「当然だ」「悪女め」「死ね」そう言った言葉が容赦なく私の耳に届く。
声高に宣言したアズレオ様は、満足気な顔で隣にいた女性を抱き寄せた。
「そして、俺は真なる聖女キャシーを新たな婚約者とする!」
更に会場の熱気は高まり、真の聖女を婚約者に迎えた王太子は貴族達から賞賛、支持され……
逆に偽の聖女と糾弾された私は、罵倒された。
「真なる聖女キャシーに様々な嫌がらせ及び、殺害せんとした事は、この場にいる全ての者達が知る事実!」
そんな事実は……本当はありません。
私は、彼女に危害を加える事は絶対にあり得ないのです。
聖女キャシーは、教主様の大事な娘。
聖堂の奥に匿われ外に出てくることは殆ど無く、式典などで少し顔を見せる程度でした。
公爵令嬢とはいえ一聖女であった私では顔を見ることはあっても話すことは出来ない存在です。
国王陛下、今は亡き王妃殿下、そして王太子のみが会話を許された存在です。
そんな方に、私なんかが嫌がらせ出来ると本気で思っているのでしょうか?ましてや、危害を加えられると?
なのに、こんなことが罷り通るのは……
貴族全員が私の存在を消したいと思っているのか、はたまた本当に私が危害を加えたと思っているのか……どうなのでしょうね?
何故か私は、偽聖女と言われますし……
治癒魔法が使える者は、否応なく聖女と呼ばれるのを知らない訳でもないでしょうに。
「聞いているのか!リィシャ!」
私が何も話さないのを、アズレオ様は不満に思ったらしく強い口調で私の名を呼びました。
「聞いています、殿…か……」
返事を返した瞬間、パンという乾いた音と頬に走る衝撃と痛みで私は、頬を叩かれたのだと気付いた。
「……」
叩かれた頬に手を添えて、叩いた本人を睨むように見つめた。
「その目……その目が気に入らなかった。俺を馬鹿にするような、軽蔑する眼差し……」
そう言って、アズレオ様は私の反対の頬も叩く。
私が叩かれても、罵倒を続ける貴族達。
聖女キャシーは口元に笑みを浮かべ、私の家族は呆れた眼差しを向けた……気がした。
「…………」
「破棄だ!!」
婚約者であるこの国の王太子、アズレオ様の口から婚約破棄を告げる言葉が発せられると、会場が一気に沸きあがる。
「当然だ」「悪女め」「死ね」そう言った言葉が容赦なく私の耳に届く。
声高に宣言したアズレオ様は、満足気な顔で隣にいた女性を抱き寄せた。
「そして、俺は真なる聖女キャシーを新たな婚約者とする!」
更に会場の熱気は高まり、真の聖女を婚約者に迎えた王太子は貴族達から賞賛、支持され……
逆に偽の聖女と糾弾された私は、罵倒された。
「真なる聖女キャシーに様々な嫌がらせ及び、殺害せんとした事は、この場にいる全ての者達が知る事実!」
そんな事実は……本当はありません。
私は、彼女に危害を加える事は絶対にあり得ないのです。
聖女キャシーは、教主様の大事な娘。
聖堂の奥に匿われ外に出てくることは殆ど無く、式典などで少し顔を見せる程度でした。
公爵令嬢とはいえ一聖女であった私では顔を見ることはあっても話すことは出来ない存在です。
国王陛下、今は亡き王妃殿下、そして王太子のみが会話を許された存在です。
そんな方に、私なんかが嫌がらせ出来ると本気で思っているのでしょうか?ましてや、危害を加えられると?
なのに、こんなことが罷り通るのは……
貴族全員が私の存在を消したいと思っているのか、はたまた本当に私が危害を加えたと思っているのか……どうなのでしょうね?
何故か私は、偽聖女と言われますし……
治癒魔法が使える者は、否応なく聖女と呼ばれるのを知らない訳でもないでしょうに。
「聞いているのか!リィシャ!」
私が何も話さないのを、アズレオ様は不満に思ったらしく強い口調で私の名を呼びました。
「聞いています、殿…か……」
返事を返した瞬間、パンという乾いた音と頬に走る衝撃と痛みで私は、頬を叩かれたのだと気付いた。
「……」
叩かれた頬に手を添えて、叩いた本人を睨むように見つめた。
「その目……その目が気に入らなかった。俺を馬鹿にするような、軽蔑する眼差し……」
そう言って、アズレオ様は私の反対の頬も叩く。
私が叩かれても、罵倒を続ける貴族達。
聖女キャシーは口元に笑みを浮かべ、私の家族は呆れた眼差しを向けた……気がした。
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