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本編
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結果から言うと、トーマスがシンシアを伴って行った商談は大成功だった。ブラッドリーが誇るオリジナルブレンドの数々にもともとブランド価値を見出していたトレシアの商人は、トーマスが紹介した新しいブレンドを高く評価したし、彼らが持ち込んだ、高品質な茶葉の数々はトーマスを満足させるものだった。
商人と素人の間ぐらいに位置するシンシアの意見はライセルの社交界にはそこまで詳しくない、というトレシアの商人にとって貴重だったし、彼女のトレシア語の流暢さに驚いた。
想像以上のシンシアの能力に気を良くしたらしいトーマスは、細かい交渉をする間、トレシア商人の妻にこの店を案内するようシンシアに頼んだ。
ここまでは隣にトーマスがいることで平静を保っていたシンシアは内心非常に焦ったが、昨日のトーマスの言葉を思い出し、前を向いてニッコリと奥様と向かい合った。
幸い、彼女は朗らかな人で、店を回り始めてすぐに打ち解けたし、彼女が紹介するお茶や美しい道具の数々に感嘆し、国に帰ったらみんなに広めてくれる、と約束してくれた。
そうして、予想以上の結果を残せたその夜。シンシアは今日も書斎へと向う。
相変わらずトーマスは机で書類と向かい合っていたが、シンシアが入るとこちらを向いた。
「今日はありがとう。素晴らしかった」
「いえ、旦那様が助けてくださったからですわ」
そう言いながらニコニコするシンシアにところで、とトーマスが言う。
「今日はこのお茶をいれてくれないか?」
そう言って机に置いてあったらしい小さな階袋を渡すトーマス。
その紙袋を見たシンシアは
「まぁ」
と感嘆を漏らす。それは海の向こうの大国で高級品として知られる茶葉。それもその中でも特に高級とされる茶園の名が記されていた。しかもこの春の時期だけに出回る一番摘みのお茶らしい。果たしてこの小さい紙袋で普段シンシアが淹れる、とはいえそこそこ高級品の茶葉の何倍の値段がするだろうか。
一方トーマスはシンシアの反応で彼女が正しくこのお茶の価値を知っていることがわかったのだろう。すぐに机に戻りつつ軽く口角を上げる。
「今日は頑張ってくれたし、私も頑張ったからな。労いだ。こんな時は酒なのかも知れないが、こういうのも悪くないだろう」
「あ、ありがとうございます。では・・・・・早速淹れますわね。どうしましょうこんな良いお茶。緊張しますわ」
一応名家出身とは言え、ここまで高級なお茶を淹れたことはない。とはいえ淹れ方のコツはそう変わらない。丁寧に基本に忠実に、そして飲む人のことを思い浮かべて。
「この一杯は旦那様のために・・・・・」
トーマスが書類をめくるかすかな音だけがしていた部屋にシンシアは声が響く。もはや定番となった歌うような言葉は、トーマスにとってはもはやおなじみのものだ。
ポットに慎重に茶葉を移したシンシアはお湯をいれて蓋をする。「紅茶のシャンパン」とすら言われる香りを楽しむために蒸らし時間は少し長めに。一言も話さず砂時計を凝視していた彼女は、その砂が落ちきると、ポットを手にして、2つのカップに注ぎ分けて、片方をトーマスが向かっている机にそっと置く。
「ありがとう。シンシアも冷めないうちに早く」
「えぇ、そういたしますわ」
自分の分のカップを持ちソファに腰掛けるシンシア。この場所ももはや定番でこの距離感が馴染むようになってきた。そんなことを思いつつシンシアはお茶に口をつける
「まぁ、美味しい」
本当にその言葉しか思い浮かばない。そんなシンシアにトーマスは軽く微笑む。その後も時折シンシアがトーマスに話しかけつつ、二人の労いは一刻ほど続いたのだった。
商人と素人の間ぐらいに位置するシンシアの意見はライセルの社交界にはそこまで詳しくない、というトレシアの商人にとって貴重だったし、彼女のトレシア語の流暢さに驚いた。
想像以上のシンシアの能力に気を良くしたらしいトーマスは、細かい交渉をする間、トレシア商人の妻にこの店を案内するようシンシアに頼んだ。
ここまでは隣にトーマスがいることで平静を保っていたシンシアは内心非常に焦ったが、昨日のトーマスの言葉を思い出し、前を向いてニッコリと奥様と向かい合った。
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「いえ、旦那様が助けてくださったからですわ」
そう言いながらニコニコするシンシアにところで、とトーマスが言う。
「今日はこのお茶をいれてくれないか?」
そう言って机に置いてあったらしい小さな階袋を渡すトーマス。
その紙袋を見たシンシアは
「まぁ」
と感嘆を漏らす。それは海の向こうの大国で高級品として知られる茶葉。それもその中でも特に高級とされる茶園の名が記されていた。しかもこの春の時期だけに出回る一番摘みのお茶らしい。果たしてこの小さい紙袋で普段シンシアが淹れる、とはいえそこそこ高級品の茶葉の何倍の値段がするだろうか。
一方トーマスはシンシアの反応で彼女が正しくこのお茶の価値を知っていることがわかったのだろう。すぐに机に戻りつつ軽く口角を上げる。
「今日は頑張ってくれたし、私も頑張ったからな。労いだ。こんな時は酒なのかも知れないが、こういうのも悪くないだろう」
「あ、ありがとうございます。では・・・・・早速淹れますわね。どうしましょうこんな良いお茶。緊張しますわ」
一応名家出身とは言え、ここまで高級なお茶を淹れたことはない。とはいえ淹れ方のコツはそう変わらない。丁寧に基本に忠実に、そして飲む人のことを思い浮かべて。
「この一杯は旦那様のために・・・・・」
トーマスが書類をめくるかすかな音だけがしていた部屋にシンシアは声が響く。もはや定番となった歌うような言葉は、トーマスにとってはもはやおなじみのものだ。
ポットに慎重に茶葉を移したシンシアはお湯をいれて蓋をする。「紅茶のシャンパン」とすら言われる香りを楽しむために蒸らし時間は少し長めに。一言も話さず砂時計を凝視していた彼女は、その砂が落ちきると、ポットを手にして、2つのカップに注ぎ分けて、片方をトーマスが向かっている机にそっと置く。
「ありがとう。シンシアも冷めないうちに早く」
「えぇ、そういたしますわ」
自分の分のカップを持ちソファに腰掛けるシンシア。この場所ももはや定番でこの距離感が馴染むようになってきた。そんなことを思いつつシンシアはお茶に口をつける
「まぁ、美味しい」
本当にその言葉しか思い浮かばない。そんなシンシアにトーマスは軽く微笑む。その後も時折シンシアがトーマスに話しかけつつ、二人の労いは一刻ほど続いたのだった。
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