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ロスト(1) ※※

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 皇琥の肩の上で、優里が足をバタつかせていた。にも関わらず、皇琥はすたすたと歩いていく。

 古墳が意外と広いことに優里は驚いた。それに内部を熟知しているかのように、皇琥がどんどんと奥へと進んで行く。

「ちょっと皇琥、降ろせって!」

 いきなり体が宙を舞い、どさっと降ろされた。柔らかなクッションの上に降ろされたお陰で、体は痛くない。

(布? なんで? あいつ、こんなの持ってきたのか?)

 あたりを見渡すと、壁には松明が2、3本燃えていた。パチッパチッと火が燃える音がする。

 部屋の中は、先ほどいた空間よりも少しだけ明るい。すぐ脇に座っている皇琥の姿もよく見える。

 皇琥の名前を呼びながら背中に手を伸ばした。服に手が届く直前、皇琥が振り向き、手を掴まれ押し倒された。優里の上にのしかかり、胸元に顔をうずめた。

「皇琥?」

 名前を呼ぶと、皇琥が顔をあげた。瞳は相変わらず虚ろな眼差しだ。生気がないように見えたが、それは部屋が薄暗いからだと優里は思った。

「ユーリ……会いたかった」

 皇琥の苦しそうな絞り出すような声に、優里はドキッとした。

(こんな時、どうすりゃいいんだ……)

 とりあえず話題を変えようと「ここって、古墳の中……なんだよな? なんで火がついて 」と言ったところで、また唇を奪われた。

 さっきの欲望が再燃する。

 キスだけなのに体中が熱い。内側からムラムラした感情が湧き上がってくる。

 いつの間にか皇琥の手が着ていたTシャツの下にあり、胸に触れた。

右の乳首や乳輪をクニクニといじられ、体がビクンとはねる。全身から汗が吹き出してきそうだ。

「あっああ!」

 思わず放った嬌声に優里自身が驚いた。なにこの感覚。

 唇から解放されたが、今度は首元に吸い付かれた。気づいた時には、着ていたはずの上衣を脱がされていた。

 皇琥の愛撫は首筋から胸元へと移動し、左の乳首を舌で転がし始めた。右手も乳首をまだ触っている。

「…んんああっあ…!」

 愛撫が右の乳首へと移動すると、皇琥の手が優里の股間を触りはじめた。ズボンの上から何度も揉まれた。強く握ったり、擦ったりした。

「そこ…やっ…だめ……んっ…あっあ…!っ」

 すでに下着の中で大きくなった下半身の逃げ場はなく、痛いとさえ感じはじめた時、カチャカチャとベルトを外している音に気づいた。片手で器用に外していく。

「まっ…て…皇琥!」

 言葉を放つと同時に、勢いよくズボンを引きずり脱がされ、下着一枚になった。優里が首をもたげ、下半身を見ると、こんもりと盛り上がっていた。

「ユーリ……」

 さっきと同じように苦しそうに名前を呼ぶ。

「皇琥……」

 覆いかぶさられ、体を密着させてきた。なぜかとても切ない気持ちになり、優里は皇琥を抱きしめた。

 優里の盛り上がった下半身に硬い物が当たった。皇琥が体を上下に動かしはじめる。

 内側からぞわぞわと波が押し寄せてくる感覚。優里の理性はすでに機能していない。本能が快楽を欲している。

 最後の一糸を脱がされ、束縛から解放された男根は、さらに硬く伸びやかになった。皇琥が先端を舌でもてあそぶ。その度に優里の体は反り上がり、嬌声を発した。

 優里の竿を優しく口に含み、丁寧に付け根から裏筋をゆっくりと舌で何度も上下する。優里の艶かしい声はとまらない。それどころか、どんどんと声が上がり、その度に壁に声が反響する。

 初めての快楽に優里の頭の中は真っ白だ。皇琥の口の中で絶頂へと達し、体をぐったりとさせた。

 間髪入れず、先ほどから皇琥の指で解された後孔へ、硬く反り上がった皇琥の男根があてがわれた。そっと触れただけなのに、優里の体は反応し、何度もそり返る。

「……挿れるぞ」

 皇琥の低音な艶声に、優里はコクンと頷くことしか出来なくなっていた。

 双丘を持ち上げられ、菊門に皇琥の熱を帯びた先端を、何度も押し付けられる。その度に甘ったるい声が出てしまった。

 クポっと先端が菊門を押し開け、中へと侵入してきた。太くて熱い質量がゆっくりと中へ侵入してくる。

「…ん…あっんっ」

 松明の火のパチパチという音だけ聞こえた。

「痛かったら言え」
「……はぁ、はぁ、だい……じょうぶ。それ…より 」

 言い終わらないうちに、皇琥の全てが優里の中へ収まった。

 初めてにも関わらず、中がきゅうきゅうと皇琥の竿を包み込む。そして徐々に形が馴染んでくるようだった。

 体中の血が沸騰するくらい、密着している箇所が熱い。

 皇琥は優里の上に体重をかけた。再び上体が触れ合い、腹の辺りからじんわりと熱が広がってくる。

「優里? 大丈夫か?」

 皇琥の荒い息づかいが聞こえるほどの距離で、顔を見つめた。先ほどと違い瞳に光が宿っている。

「それより、これは一体……」

 目をパチリ、パチリと瞬きし、優里の顔を見つめてきた。その真剣な眼差しに釘付けされ、顔を背けることが出来ない。自然と顔が火照ってきた。

 しかし、次に皇琥が放った一言で、優里の理性が本能を押し戻した。

「優里……俺たちは、一体何をしているんだ?」
「えっ…?!」

 壁に目をやると、二人の繋がった影が映っていた。
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