貧乏神今昔

原李子

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なんちゃっ亭

貧乏神今昔

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「…ゴーンゴーンって何もない…」
「ちょっとあんた達やめなさい。」しっしっと手を振りながら話を遮る。…これだから素人は。
「ちょうどその辺にいたのが来ちゃったじゃない。暑いからって怪談なんかしないで頂戴。」…あら、凍った。
「…背筋が。」「ひんやりして良かったじゃないの。」ここは企画会議室。夏の企画で呼ばれたんだけど、来たくないったら。
「やっぱ犬鳴洞窟とか。」「もう。出尽くしたスポット言うのやめなさいよ。ホントに呪われるわよ。」
「出尽くしたのに呪われるの?」「屁理屈やめて。」ああこんなことなら、葬儀屋の事故物件にしとけばよかったわ。無害というか、我輩氏がとってもお気にだったから安全ていうか。
「もうちょっと安全で、景色いいとこになさいよ。観光のできそうな。企画になって村おこしになるような。」
「おお。流石ですね。」まあね。だてに霊能者やってないわよ。候補地のとこから、カメラが壊れない程度のスポットを選びつつ、そっとため息をついた。
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