人生計画作成中

原李子

文字の大きさ
2 / 6
一話 旅に出ることになった。

人生計画作成中

しおりを挟む
 あてがわれた部屋で、兄ちゃん達に手紙を書く。…少々思うところはあるし、こうなることは、想像してるだろうが、一応。インクが乾いてから、たたむ。明日メッシ氏に渡そう。…紹介状があっても、大変そうだ。神父が、ユーリに修道女の服を渡していた。こちらには簡素な旅装をよこす。微妙に大きい。
「前回私が着用したものですが、いいようですな。」「…。」
「いかがですか?」ユーリが、着替えてやってくる。白い修道女の服はなかなか。
「似合ってるよ。」というと、いい笑顔で「ありがとうございます。」と言われた。ちょうど髪もすっぽり隠れる。
 サム神父が話していた諸々は、大陸を山脈に添って横切っていく経路だ。山脈にはたくさんの魔物が生息している。冒険者は、この経路で、護衛としてキャラバンについてったのだろう。
「護衛…。」少人数でいくより、どこかの商人たちと行く方がいいのか。
「どうされました?」
「いや、旅にでるにしても、旅慣れているとはいいがたくて。俺も。」
「そんなことでしたか。心配いりませんよ。」
「え?いや、ユーリもこちらに来たばっかりだろう?」
「ちょっといいですか。」ユーリはこちらの袖をぐいぐい引っ張ってくる。
 外の掘立小屋のまえにきた。横にはサム神父がいる。
「こちらの小屋はいらないですよね。」「ああ。」「では。」
そういってユーリは右手に魔力の玉を作る。
「籠。」
小屋の周りに小さな魔力文様が散り収縮し…。そしてユーリの手には、ガラス玉のようなものがある。中には小屋が入っていた。
「魔力を込めれば元の小屋に戻りますよ。」とにっこり笑う。
「いろいろ助かりそうですな。」サム神父はのどかに笑った。
  朝食をとる。黒パンと豆のスープ。ユーリにすぐ使うもの以外は玉にしてもらう。教会の壇上の像は、創造神だった。それにサム神父がそっと手を翳すと、黒い聖母像になる。「見なかったことに。」と笑う。
「では、あとは頼んだぞ。メッシ。村の人々を守ってくれ。」サム神父は言って教会の庭にある巨石に案内する。
「しかし、ユノ様は流石ですな。ここまでの道を、普通に登ってくるとは。」…道などなく、登攀してきた。そして、山肌に魔力で固定しつつ休んだ。途中落とし穴や杭などの罠があり…二日かかった。
 神父は、石に手を乗せるように言う。乗せると光った。
「転送魔方陣だ。」足元にも大きな石がある。村の麓だと気づく。
「サム導師さま。」と村の者たちが出てくる。わらわらと。
「何かあれば、これで、教会に行くがよい。メッシがいる。」
「はい。あのこちらを。」そして次々と色々さしだしてくる。食料や衣服、その他。荷馬車に積み込み
「ではこちらを…。」と来るとき預けた馬を括り付けられ、村長が通行証を渡してきた。
「お気を付けて。」と見送られた。
 ちょうど日が昇っていた。朝課のために早めに起き出したが、村人たちも早い。
人々は日の方教会の方に、祈りを捧げる。よく見ると村の家々は石造りで、朝日に照らされ、独特の色合いに染まっている。
「ここは…。」
「ユノ様は知らなかったことですな。そして、知るべきことですな。」この堅牢なつくりのわけを。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

こうしてある日、村は滅んだ

東稔 雨紗霧
ファンタジー
地図の上からある村が一夜にして滅んだ。 これは如何にして村が滅ぶに至ったのかを語る話だ。

とある令嬢の断罪劇

古堂 素央
ファンタジー
本当に裁かれるべきだったのは誰? 時を超え、役どころを変え、それぞれの因果は巡りゆく。 とある令嬢の断罪にまつわる、嘘と真実の物語。

心が折れた日に神の声を聞く

木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。 どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。 何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。 絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。 没ネタ供養、第二弾の短編です。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

処理中です...