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二話 寄り道してみた。
人生計画作成中
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「北の山脈にいかれるんですか?」話をしていたここの神父が驚き
「いや。やめたほうが…」と言葉をにごす。
「どういうことだね。」
「ああ…。あそこは今、主が代替わりしたばかりで、主がその、未熟というか、力が余っているので」
麓であるここら辺まで、かなり寒い。北の山脈なら、それはもう。
「それならば、わしが話をしてみようか。」
「おお。さすが、鳥や獣に説法したと名高いサム神父様。どうかお願いします。」まて。危険度が上がったぞ。
「おう。まかせておけ。」とユーリの方を見る。
朝、台所を借りて料理を作る。持ってきたパン種を竈で焼く。その間に、野菜スープを作る。
「どうぞ。」他に、街で購入した果物と。
「美味しいです。」とこちらの者たちの顔がほころぶ。
「ユノ様のごはんは美味しいんですよ。」ユーリが自慢げに言う。こちらでは種無しパンが多い。それなりに美味しいが。
「柔らかいパンは久しぶりです。」
喜んでもらえて何よりだ。あと毛玉もいくらかおいていく。かなり喜んでもらえた。
「では。」サム神父が庭に転送魔法陣を設置させてもらっていた。
「これで、物資の輸送が楽になるぞ。」いやいや自分のためでしょ?何となく。
「じゃ行くか。」ミリア王国は森に囲まれた、というか森に浸食されている…。
ぐんぐん遠ざかる森。そしてご機嫌で速度を上げていく、ユーリ。
「うわああああああああ。」
…少しだけなれてきた。下には雪が降っている。ユーリが耐寒結界をはっているので寒くはない。
「はー…。」白い森を抜け、さらさらの雪のなか。
キラキラと雪の結晶が輝く山の頂。周りに雲がたなびくほどの。山の斜面と空の青が対照的でひどく美しい。
「すごいな…。」
「綺麗ですね。」そのままバサバサと竜の住処の洞窟に向かう。
奥に向かうにつれ、おそらくちょっと前よりすごくなってるんだろうな、って感じがした。
新しい山がふえ、湖は凍りついて、木々は氷の飾りに彩られ。
「この辺ですね。」ユーリは人型に戻った。こちらも降りて毛玉を少々いじって着こむ。
「ユーリは知り合いなのか?」
「先代とですね。」…ユーリはいくつなんだろう。
洞窟の周囲は透明な氷が水晶のように覆っている。サム神父が興味津々に観察している。竜は奥にいるらしい。
『失礼します。氷の御方。少しお話があって参りました。』とユーリが精霊の言葉で話しかける。竜はどの言葉でも分かるらしいが、あえてそうしたようだ。
『…誰か?精霊?』洞窟内に太い声が恐ろしく響く。
『あなた様とはお初にお目にかかります。緑、のユーリと申します。』と恐れることなくユーリは言う。
それに気をよくしたらしい『緑、か。用件を聞こうか。』と、聞いてくる。
『はい。近々近隣の街で祭りがあるのですが…』
『何!?祭りだと?我も行きたい!!』…食いつきいいな、おい。
『いえ、あの、鱗を何枚かいただけたらそれで…。』
『鱗はやってもいいが、我も連れていけ。』首を横に振る。
『しかし、今そこはかなり暑いので…。失礼ですが貴方様には少々厳しいかと…。』
『問題ない。』断れなかった。
『さて。そうと決まれば。』と竜は出しっぱなしのエネルギーを引っ込め始める。祭り用とか言ってる。
なんとなく不安だ。
『我に任せるのだ。祭りが盛り上がること間違いなし!!』と根拠のないことを抜かしている。
「しかしその巨体では…。」と思わず言うと
「なら、こうして…。」
目の前には、銀髪に浅黒い肌の美丈夫が立っている。
「ははは。どうだ。」空色の瞳をいたずらっぽく輝かせドヤ顔でいう。
「ここはどうなさるんですか。溶けてしまいませんか?」
「そのためにこうして分厚く凍らせてあるのだよ。ははははは。」嘘だろうと思ったが、もう何も言えない。
俺たちは魔方陣を設置して、街に帰った。
ギルドの受付嬢は最初は信じてくれなかったが、上空で竜型に戻って見せると納得してもらえた。
そして街の商人たちと何やら相談を始める。
祭りの当日。依頼料のほか、何やら招待状をもらい…。
「…すごいな。」
空き地だったところに巨大な氷の城が出来ている。なかなかの入場料だが行列ができ、付近には、氷入りの飲み物やら冷たい菓子を販売している。即席に作った人工池は分厚い氷が張っている。
「はははは。どうだ。」
「すごいですね。」
主が遊びに行った山脈は、寒さが和らいでイイ感じになったそうな。代替わりしたてで、気合いれすぎてたのだろう。城の内装も凝っていてカーテンや、家具、その他まできっちり氷でつくってある。
竜は商人から幾ばくか礼金をもらい、なぜかこちらにくっついてきている。祭りの案内をさせる気満々だな。
竜がいるため暑くはない。懐はあったかい。祭りの夜は始まったばかりだ。
「いや。やめたほうが…」と言葉をにごす。
「どういうことだね。」
「ああ…。あそこは今、主が代替わりしたばかりで、主がその、未熟というか、力が余っているので」
麓であるここら辺まで、かなり寒い。北の山脈なら、それはもう。
「それならば、わしが話をしてみようか。」
「おお。さすが、鳥や獣に説法したと名高いサム神父様。どうかお願いします。」まて。危険度が上がったぞ。
「おう。まかせておけ。」とユーリの方を見る。
朝、台所を借りて料理を作る。持ってきたパン種を竈で焼く。その間に、野菜スープを作る。
「どうぞ。」他に、街で購入した果物と。
「美味しいです。」とこちらの者たちの顔がほころぶ。
「ユノ様のごはんは美味しいんですよ。」ユーリが自慢げに言う。こちらでは種無しパンが多い。それなりに美味しいが。
「柔らかいパンは久しぶりです。」
喜んでもらえて何よりだ。あと毛玉もいくらかおいていく。かなり喜んでもらえた。
「では。」サム神父が庭に転送魔法陣を設置させてもらっていた。
「これで、物資の輸送が楽になるぞ。」いやいや自分のためでしょ?何となく。
「じゃ行くか。」ミリア王国は森に囲まれた、というか森に浸食されている…。
ぐんぐん遠ざかる森。そしてご機嫌で速度を上げていく、ユーリ。
「うわああああああああ。」
…少しだけなれてきた。下には雪が降っている。ユーリが耐寒結界をはっているので寒くはない。
「はー…。」白い森を抜け、さらさらの雪のなか。
キラキラと雪の結晶が輝く山の頂。周りに雲がたなびくほどの。山の斜面と空の青が対照的でひどく美しい。
「すごいな…。」
「綺麗ですね。」そのままバサバサと竜の住処の洞窟に向かう。
奥に向かうにつれ、おそらくちょっと前よりすごくなってるんだろうな、って感じがした。
新しい山がふえ、湖は凍りついて、木々は氷の飾りに彩られ。
「この辺ですね。」ユーリは人型に戻った。こちらも降りて毛玉を少々いじって着こむ。
「ユーリは知り合いなのか?」
「先代とですね。」…ユーリはいくつなんだろう。
洞窟の周囲は透明な氷が水晶のように覆っている。サム神父が興味津々に観察している。竜は奥にいるらしい。
『失礼します。氷の御方。少しお話があって参りました。』とユーリが精霊の言葉で話しかける。竜はどの言葉でも分かるらしいが、あえてそうしたようだ。
『…誰か?精霊?』洞窟内に太い声が恐ろしく響く。
『あなた様とはお初にお目にかかります。緑、のユーリと申します。』と恐れることなくユーリは言う。
それに気をよくしたらしい『緑、か。用件を聞こうか。』と、聞いてくる。
『はい。近々近隣の街で祭りがあるのですが…』
『何!?祭りだと?我も行きたい!!』…食いつきいいな、おい。
『いえ、あの、鱗を何枚かいただけたらそれで…。』
『鱗はやってもいいが、我も連れていけ。』首を横に振る。
『しかし、今そこはかなり暑いので…。失礼ですが貴方様には少々厳しいかと…。』
『問題ない。』断れなかった。
『さて。そうと決まれば。』と竜は出しっぱなしのエネルギーを引っ込め始める。祭り用とか言ってる。
なんとなく不安だ。
『我に任せるのだ。祭りが盛り上がること間違いなし!!』と根拠のないことを抜かしている。
「しかしその巨体では…。」と思わず言うと
「なら、こうして…。」
目の前には、銀髪に浅黒い肌の美丈夫が立っている。
「ははは。どうだ。」空色の瞳をいたずらっぽく輝かせドヤ顔でいう。
「ここはどうなさるんですか。溶けてしまいませんか?」
「そのためにこうして分厚く凍らせてあるのだよ。ははははは。」嘘だろうと思ったが、もう何も言えない。
俺たちは魔方陣を設置して、街に帰った。
ギルドの受付嬢は最初は信じてくれなかったが、上空で竜型に戻って見せると納得してもらえた。
そして街の商人たちと何やら相談を始める。
祭りの当日。依頼料のほか、何やら招待状をもらい…。
「…すごいな。」
空き地だったところに巨大な氷の城が出来ている。なかなかの入場料だが行列ができ、付近には、氷入りの飲み物やら冷たい菓子を販売している。即席に作った人工池は分厚い氷が張っている。
「はははは。どうだ。」
「すごいですね。」
主が遊びに行った山脈は、寒さが和らいでイイ感じになったそうな。代替わりしたてで、気合いれすぎてたのだろう。城の内装も凝っていてカーテンや、家具、その他まできっちり氷でつくってある。
竜は商人から幾ばくか礼金をもらい、なぜかこちらにくっついてきている。祭りの案内をさせる気満々だな。
竜がいるため暑くはない。懐はあったかい。祭りの夜は始まったばかりだ。
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