五人の適合者

アオヤカ

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表面の友

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アルム達は静かに塔の中に侵入する。
カゲはどうやらあまりいないようだ。
中の黒い壁がカゲの姿を捉えにくくしているようだ。
「とりあえず、上にあがっていく。ここからは何が起こるかわからない。慎重に進むぞ。」
クロスの命令に全員がうなずく。
一階は青い炎が照らしている。広いが特に何も無い。
それどころかカゲの姿がない。
「嫌な空気ですね。」
アルムは周りを見渡した。微妙に暗い空間が殺人鬼のカゲとの戦いを思い出させる。
階段を登っていく。カゲの姿がない。どんどん進めていける。
順調に進んでいる。

いや…順調に進みすぎている。螺旋状に階段をのぼるが…どの階も何も無い。カゲもいない。
どういうことだ。
そして、15階に到着する。
人影がある。
「止まれ。」
クロスが静かに命令する。
後ろ姿でよくわからないがカゲではなさそうだ。
兵士のような格好している。
「まさか…。」
クロスは…走った。
「ちょっと…クロスさん!」
月姫が止めようとしたが間に合わなかった。
必死に走るクロスが笑った。
「お前なんだろ?カリストレート?」
振り向いた人間はクロスの戦友であり、クロスの親友であった。
「クロス!どうしてここに?」
カリストレートが不思議そうに聞く。
「そんなことはとうでもいい!お前が無事なら俺は…本当によかった。」
クロスの安心した表情に後ろから追いかけてきたアルム達も微笑む。
「あぁ。俺もお前に会えて…良かったよ。」
カリストレートはクロスを抱きしめようとする。
その時、クロが動いた。
「空間操作。」
クロの能力によりクロスはカリストレートからかなりの距離まで離れた。
「クロ!何をしてるんだ?」
アルムはクロを見る。
クロは指でカリストレートの方を指す。
「………見てみなよ。」
「…え。」
アルム達はゆっくりとカリストレートの方を見た。
抱きしめようとしていた手にはナイフが握られていた。
「まさか…。」
唖然としてるアルムの後ろからクロスが歩く。
「お前らしくないな。武器は本当に必要な時しか持たなかったじゃないか?」
カリストレートは黙っていた。
「なぁ?何があったんだよ?答えろよ!ストレート!!」
クロスの叫びが階全体に反響する。
しばらくの沈黙が場をピリピリとさせていく。
「ふ…ふふふあははああああああああああッ!!」
狂人のように笑うカリストレート。
「どいつもこいつも力に溺れている。ここにいる全員が適合者って訳か。俺はお前を許さない。」
顔に手をあてて殺気の目で見ている。
「あんた…クロスさんの親友じゃないのか?」
アルムは聞く。
「あー親友ね。そうだな。表面上では俺はクロスの親友さ。でも…必要以上に力を求める人間は…俺は大っ嫌いなんだよ!お前も!お前も!お前も!力に飢えている!俺は真実を知った!だから俺はそれに従いすべてぶっ壊す!人類の終焉シナリオを俺が成功させてみせる!!そのためにお前らにはここで消えてもらう!」
何を言っているのかわからない。
しかし、カリストレートは持っていた槍をとうとうアルム達の前に見せた。
「来るぞ!」
クロが反応する。カリストレートはクロに鋭い突きの攻撃をする。
しかし、クロの前でクロスが受け止めた。
「俺に任せろ。こいつは俺の獲物だ。」
刀で槍を弾く。
カリストレートは一旦距離を取った。
「ふん…カスがッ。」 
カリストレートは何か液体をビンから口に入れる。
「お前の目が覚めるまで戦ってやるよ!」
クロスは地面に刀を引きずる。火花を散らして刀を振り上げる。
クロスの斬撃はカゲを斬るときと全く変わらない。
素早さの中に力強さがある。
カリストレートは避けない。
「いい加減ッ!目を覚ませ!」
クロスの最大の一撃が振り落とされた。
しかしクロスの刀は地面に思いっきりぶつかる。
「何!?」
クロスは一瞬の出来事に驚く。
「以前より弱くなったな。クロス。」
突然現れたカリストレートの肘が腹に入る。
その勢いで、後ろに飛ばされた。そして、壁にぶつかり、壁にめり込んだ。
「クロスさんッ!!」
クロスは朦朧とする意識の中にいた。
「人類最強がこの程度では俺は倒せないな。」
カリストレートはアルム達の方を見ている。
「何が…あったんだ。」
アルムは絶望していた。
「あれはドーピングみたいね。」
月姫が冷静に答える。
「ドーピング?」
一同が注目する。
「一時的に身体能力を底上げする物ね。大昔前には一般の兵士に使われていたらしいけどそれにより多くの兵士が亡くなったことで使われなくなった薬ね。」
カリストレートは拍手する。
「よく知ってるな。俺の能力は体内の毒が効かないんだ。なんにも使えない能力だと思ったけど、これがあれば俺は一時的にえげつない力を使うことができる。」
カリストレートは槍を構える。
「諦めな。お前らじゃ勝てねーよ。」 
クロが笑った。
「………力にこだわっているのはあんただよ。」
クロはカリストレートに近づく。
「………力に嫉妬したから……自分だけの力じゃ何もできないから…力を求めてる。………真実が何か知らないけど…結局………人類滅亡させるために力を求めてるのはあんた自身だよ。……………みんなは…クロスさんは…力を使わなくてもいい世界を作るために戦っているんだ!!」
クロの斧は火を吹く、刃を変形しエネルギーに満ちていく。

「黙まれよ…お前ごときの力じゃどうにもならねーんだよ!」
カリストレートは歯をむき出しにして顔を赤くしている。
 
クロは立ち止まる。
「…………一人で戦うつもりはないよ。悪意に満ちた力を否定するためにみんなで力を行使する。…みんないいかな?」
クロはアルム達は見た。
「クロスさんの想いを俺達が証明する。クロスさんのことだ。きっと回復したら参戦してくれるさ。」
アルムはクロの肩を叩く。
「もちろん。それまで誰も大きい怪我はさせないからね。私に任せて!」
月姫もクロの肩を叩く。
「力不足ですが全力でやりますよ!」
天姫はクロの背中を押した。
「行くぞ!クロスさんの想いを代行する!」
アルムのかけ声で全員がカリストレートの元へ駆けていく。




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