life

キャンドゥ

文字の大きさ
1 / 1

十人十色

しおりを挟む
いつか心から笑って暮らせる日々が来ると信じて生きてきた。でもそんな日は僕には来なくて、むしろ自分の状況は悪くなる一方だった。でも全て自分が選んだことなのだから誰のせいにも出来なくて、自分という大きな敵と四六時中闘っていた。僕は散々自責を繰り返して、自分という人間を諦めた。いや諦めたかった。だから、自分の周りが笑顔で暮らせるように生きていこうと思った。それからの日々は傍から見れば幸せ1色だった。自分という人間を捨てたおかげで、それまで責めていた心に1個余裕が出来た。その空いた1部分を周りに優しくすることで埋めた。それは周りに僕が優しいという印象を与えた。優しさとはこういうことなのだろうか。こんな不恰好に振り上げた意志が優しさなのか。周りからの評価とはこんなにも単純で動きやすいものなのかと少し怖くなった。でも僕はそれを続けた。ずっと優しい自分であり続けた。周りからの信頼や評価は増えていったが、確実に何かを失っていった。それが何かを僕は気づかなった。そうやって生きているうちに人生で初めて彼女が出来た。僕はこの人に精一杯の優しさを捧げた。彼女は喜んでくれた。僕をもっと好きになってくれた。でも僕は彼女から離れたいと思い始めた。何故だ。美人でなんでもできて優しい、才色兼備、容姿端麗、八方美人、この世の綺麗を総動員してもかなわないこの美しい人と一緒にいて何が不安なんだ。人間というのはそう簡単に出来ていないらしい。僕は優しくなれたと過信していた。僕の芯にはまだ醜い自分が残っていることを忘れていた。いや、知っていてあえて知らないふりをしていた。優しさとは自己犠牲の上に成り立っているものでは無い。僕はそうやって壊れていった。人生とはやり直しがきかない。やり直しが出来たとしても僕はもう一度同じことを繰り返すだろう。人生は1度きりだが、これから先自分の中で自分を何回殺すことになるのだろう。大人になっていくのに希望する自分、不安に思う自分、どちらも自分だ。自分は他人のためにあるものじゃない。自分のために尽くせる人こそ他の人にも尽くすことのできる人になれるのだ。優しさはそこからうまれる。
喜怒哀楽のそれぞれの色にはそれぞれの色の良さがある。組み合わせることでより良い色にもなれる。僕は僕を生きていこう。今度は自分に優しくなろう。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

アルファポリスの禁止事項追加の件

黒いテレキャス
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスガイドライン禁止事項が追加されるんでガクブル

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

処理中です...