転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた

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78.王都に策謀渦巻く

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 緑の国の主城の一室でファウスティノと
フリッツが元女王を挟んで睨み合っていた。

「だーかーら、ちょい待てと言ってるんだよ。
あいつらを完全に潰すには、もうちと戦力と情報が
必要なんだって!
今、ちょうどスタンピード討伐と重なって、
戦力を整えるが難しいだろ。
じいさんも分かってんだろ」
沈黙を破り、フリッツが叫んだ。

「ならば、学院の講師を参加させる。
補講も終わり、夏季休暇を返上すれば
問題ないじゃろう」
清涼や莉々子辺りがそれを聞けば、
それは社畜の扱いだと主張して、自らのキャラクターを
もって全力で止めさせただろう。

「半年の情報収集の結果で十分であろう。
バッシュのグループと違って、脇が甘い。
闇に潜む者たちにしては、随分、日中に活動するものよのう」
元女王が笑っていた。

「ふむ、決まりじゃのう。
我が学院から参加させて、戦力を整えて
奇襲するかのう、フリッツよいな?」
ファウスティノが念を押した。

「いや、駄目だ。
ナーシャの身辺を離れる訳にはいかない。
俺以外でナーシャを守れる奴が今、王都に不在だ。
そこんとこがはっきりしないと俺は、奇襲に参加しない」
フリッツが絶叫した。

そして、元女王ナーシャが珍しく慌てふためき、
陶磁器のような白い肌を紅く染め上げていた。
「よっ余計なことを申すな。問題ない、問題ない。
くううっ、今日は暑いな、熱すぎるな」

「いや駄目だ、このタイミングでバッシュが
襲来したら、どうにもならん。
護衛にしても時間を稼げるような腕利きは
今、王都にいないだろう。絶対に駄目だ」
全く譲らないフリッツだった。

「ふむ、仕方ない。あまりよろしくないが、一案ある。
男を護衛に就ければ、この男が手に付けられなくなるのう。
仕方なし。
我が学院の才媛リシェーヌを護衛につけるかのう。
それでよいか?」

フリッツとナーシャは顔を見合わせて、
ごくりと唾を飲み込んだ。
あり得ない案ではないが、ファウスティノが
それを提案するとは思えなかったからだった。

「何かを成すには犠牲が必要じゃて。
何故かあの娘に拘るあ奴のことだ、
姫様が逃げるか魔術を構築する時間は稼げるであろう」
ファウスティノの表情が暗く冷徹であった。

「あっああ、それならどうにかなるな。
だが、良いのか?」
フリッツが遠慮気味に尋ねた。

「どこかで妥協しなければ、事が進まぬ。
今回の奇襲にはフリッツ、おまえさんの参加は絶対だ。
そうしなければ、完遂できぬ。
それに勇者候補とは言え、のう、フリッツ、
お主は当事者故に分かっておろう」
何の感情の感じられない底冷えするような声が
室内に響いた。
それだけで、温度が10℃ほど下ったような感じであった。

「ふむ、あいわかった。
ファウスティノの意見を取り入れよう。
確かに幾人かおる次代の勇者候補であるが、
リシェーヌの可能性は限りなく低い。
しかし、単なる次代の勇者誕生の糧に
収まるような玉ではなかろう。
今回も成長の糧にするだろう。
レア度やスキルで人を見誤るなよ、ファウスティノ」
ナーシャは、ファウスティノが十分に
理解していると感じていたが、念のために釘を刺した。

「あっそれとフリッツ、
教会のばあさまの説得はおまえな。
おまえの我儘なのだから、いいな。
一応、バルドロにも伝えておけ。
了解が得られるまで、寝所への来ることは許さぬ」

「ふむ、それが良かろう。
リシェーヌが王都に戻り次第、決行とするかのう」

二人は大笑いしながら、そう言った。

「なっ、なんで俺が!使者を立てればいいだろうが」
必死の主張を繰り返すが、議題は、既に反対派一団の壊滅に
向けての詳細の打ち合わせに移っていた。

「話を聞けー」
繰り返し叫ぶ、フリッツの叫びが無駄に室内でこだましていた。
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