転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた

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694. 王都再び2

「また、貴様か!どんだけ騒ぎを起こせば気が済むんだ。
反乱軍が蠢動している時にまったく!」
バリーシャは開口一番、誠一を怒鳴りつけた。
季節は冬が明けたばかりで、まだまだ寒い筈だが、
誠一たちはバリーシャの凄まじい熱量のために
酷暑で過ごしているようであった。

凄まじい熱波の中で誠一は事情を説明すると、
思いのほかバリーシャが容易に納得した。
「ふむ、まあ、敵ではないのだな。それならば良いか」
ばつの悪そうな表情のバリーシャは、矛を収めた。
熱波は次第に収まり、肌寒い空気が一帯に戻って来た。
今の誠一にとって、それは心地よかった。

「バリーシャ女王、一つお願いがございます」
誠一は片膝を付き、頭を垂れた。
珍しくバリーシャが身構えて、誠一の発言を待った。
その態度に鍛え抜かれた近衛兵たちが動揺し、ざわついた。

「ちっ、仕方ない。言ってみろ」
多少なりとも先ほどの烈火の如き怒りに引け目を
感じているのだろうと誠一は推測した。

「反乱軍にて王を僭称しているジェイコブ・ジェルミラの
旧子爵領及び居城を探索したく、ご許可を頂けないでしょうか?」
刹那の瞬間、バリーシャが瞳を閉じたように誠一には感じられた。
既に答えは定まったのだろう。誠一はバリーシャの言葉を待った。

「あい分かった。許可する。
反乱勢力を駆逐し、旧子爵領をヴェルトール王国の
直轄領に組み込め。正規兵は派兵できぬ。
傭兵を雇い、軍を組織しろ。
あの地は今、有象無象の小領主どもが乱立して、
収拾がつかぬ状況だ。詳細は、ジルと打ち合わせよ」

それだけ言うと踵を返して、バリーシャは主城に
向かって走り出した。

『王宮書庫のアーカイブ』との打ち合わせ。
それだけで誠一はげんなりしてしまった。
ジルベルトール・カルザティと面識のないシエンナは、
羨ましそうに誠一を見ていた。
「シエンナ、同行して貰える?」
一人で会うのも億劫だったために
物凄く同行したそうなシエンナを誘った。

「えっいいの?行く行く。
稀覯書や禁書が近くで見れるかもしれない」

本を閲覧に行くことが目的ではなかったが、
嬉しそうなシエンナを眺めていると誠一は
心がほっこりとして、わざわざ指摘する気にならなかった。

「じゃあ、私は買い物に付き合って貰おうかな」

後ろからぞっとするような重苦しい声が聞えて来た。
誠一は恐ろしくて、振り返ることができなかった。

振り返れば呪われる。絶対に呪われる。

その思いに心を市はされた誠一は
振り返らずに声の主に応えた。
「そっそうだね。遠征の前に時間が取れれば、行こうか」
我ながら声が震えていると思いつつも
動揺を見抜かれないように誠一は注力した。

「もう冗談だって、そんなに震えられると
本当にひねるわよ」
声のトーンが変わり、キャロリーヌが誠一の隣に立った。
「でもまあ、あんなに喜ぶシエンナを見れば、
私も何か欲しいなって思うでしょ」

2人の前で突然の幸運を天に向けて祈るシエンナの姿があった。
どうにも何かぶつぶつとつぶやいているが、たまに千晴の名が聞えた。
千晴に祈るのもどうかと思ったが、幸せそうなシエンナを見ると、
特に突っ込みもいれずに誠一は見守った。
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