転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた

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899. 光銀1

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 数日後、誠一たちは、ロビン、そしてその護衛たちと
大森林を行軍していた。
誠一たちが見上げる空は雲一つない青空。
そして、鬱蒼とした森の空気は、ほど良く乾燥しており、
歩くには最適の状態であった。
そんな状況であったが、剣豪のぐちぐちと
垂れ流れる愚痴にバルドロは、一々、
反論するために険悪な雰囲気になっていた。
バルドロを除くメンバーは適当に剣豪の愚痴を
受け流す術を持ち合わせており、以前はここまで
雰囲気が悪くなることはなかった。

「おい、アルフレート」
依頼主に誠一は呼ばれた。
その険しい表情から誠一は良い予感が全くしなかった。

「ロビンさん、どうしましたか?」

「おいおい、アルフレートさんよ。
すっとぼける前にすることがあるんじゃねえのかよ」
事情を知らない人が遠目から見れば、
貴公子に難癖をつけて絡むチンピラの構図が
成り立っていた。
ロビンはチンピラの如く誠一に絡んでいた。

「ひとまず近くに魔物はいませんので、ご心配なく。
サリナがしっかりと周囲を警戒しています」

「おお、そうか。って言うとでも思ったのかよ。
違うだろう、アルフレートさんようぅぅ」
ロビンは顎をしゃくり、問題視している方を示した。
無論、それが分からぬ誠一ではなかったが、
適当にやり過ごしたかった。
しかし、それを許すほど、宮廷第二席は
阿呆でも間抜けでもなかった。

 誠一は魚の腐ったような眼で
元凶の二人の元へ向かった。
何をどう言おうかも思いつかずに
鈍い歩みを進めた。
一歩を進める毎に次の一歩を進めるために
持ち上げる足が地に縫い付けられたように
中々、離れなかった。

 誠一の思考は二人をどうにかすることより、
何かこの状況をぶち壊すことが起きることを
願うばかりで停止していた。

 激しく木々の葉の擦れ合う音、枝の折れる音が鳴った。

「魔物よ。それもかなりの数」
サリナが二本の刺突用の短剣で小鬼と
対峙しつつ、後退してきた。

「アル、固まってんじゃねーぞ」
ヴェルが叫ぶと同時にハルバートで
小鬼を突き刺し、サリナの後退を援護した。

魔物の一群は、積極的に誠一たちへ
襲いかかるより何かから逃げている様だった。
積極的に誠一たちへ襲いかかる魔物はほとんどいなかった。

「本命はこの後かよ。アミラ、気を付けろよ」
頷くアミラを見ると、ヴェルはハルバートを構え直した。

「あの辺りか。
魔術院のひよっこども攻撃魔術は控えろよ、邪魔だ。
俺が初撃を放つ」
嬉々としてロビンは杖を空へ掲げた。
護衛はロビンを囲むように円陣を組んだ。
晴天の空は見る見るうちに暗雲が覆い始めた。
ロビンの方を見た誠一はぎょっとした。
無論、天候すら支配するロビンの魔力と魔術には
驚かされた。
それ以上にロビンの瞳孔が収束し、
瞳の中心に点のようになっていることに驚嘆した。
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