隙間

特設石積み部

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隙間

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私には隙間を覗きたいという少し変わった趣味がある。例えば、洗濯機の下や棚と棚の間と言ったところを見ると、抑えきれないのだ。私のとっての精神安定剤はこれなのだ。

別に生まれつきこうだったわけじゃない。幼い頃、私は家庭の事情で親戚の家に引き取ってもらった。そこでは義理の姉さんと父さんとの3人暮らしで、寂しさを感じることなど無い幸せな時間だった。
しかしある日、姉さんは家を出て行ってしまった。何に不満があったのかは今でも分からないが、その時の私は自分に不手際があったのではないかと考えて一週間は廃人のように過ごし、その後は姉さんに関係するものを引き出しに詰めた。

なぜかそれ以来、この趣味というか癖とでも言うべきものが私に纏わりついてきた。まだ新しい喋り相手でも探しているのだろうか?自分でも呆れてしまう。

クローゼットの間を見る。
「友達は居るから良いけど、喋り相手が居ないのは寂しいよね……。」

冷蔵庫の下を見る。
「やっぱり姉さんが居るといくらか安心するよ」
「いつか沢山おしゃべり出来ると良いな」

その家のどこの隙間も、まるでストロベリーとチョコのパフェのように彩られていた。

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