何の意味もない、物凄く短い、九つの物語

阿波野治

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【おまけ】

銅鑼の音

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 小学校の運動場で、ジャイアンツのエガワと、ヘドロ男が殴り合いをしている。
 ヘドロ男は、全身が紫がかったヘドロで構成された人型の生物で、動きは鈍いが打たれ強い。対するエガワは、スポーツ選手だけあって動きにキレがあり、手数は多いが、一発一発の威力が弱く、ヘドロ男に効果的なダメージを与えるには至っていない。
 遠くで銅鑼の音が鳴り響いた。その途端、
「がんばれ、がんばれ、エ・ガ・ワ!」
 観客が一斉にエガワに声援を送り始めた。私も彼らと一緒になってエガワを応援する。しかし皮肉にも、声による応援が始まったのを境に、エガワはヘドロ男に押され始めた。右肩の古傷が痛み始めたに違いない。
「がんばれ、がんばれ、エ・ガ・ワ! がんばれ、がんばれ、エ・ガ・ワ!」
 銅鑼の音は次第に強くなる。エガワはさも辛そうに顔を歪めていて、今にも地面に崩れ落ちそうだ。 
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