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覚悟
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「不思議な現象? ……どういうこと?」
「そのままの意味だよ。わたしと出会ったときのこと、思い出してみて。わたし、ありえないくらい大量の血を吐いたよね。普通なら死んでもおかしくないのに、今もこうして生きていて、普通に外出して、普通にお店で飲み物を飲んでいる。それって不思議なことでしょ?」
平然とそう答えて、自分のグラスの中身をストローで混ぜる。軽く数回回しただけで、茶褐色はあざやかな桃色に変わった。
「凪くんは、明日もわたしに会いに来てくれるって言ったよね。じゃあ、明後日はどうするつもり? 明々後日は? それ以降は?」
「……いたいよ。七海といっしょにいたい」
「でも、わたしのそばにいると、奇妙な出来事がたくさん起こるよ。ジュースの色が変わるとかなら、まだかわいいものだけど、そのうちに取り返しがつかないことが起きるかもしれない。わたしにわかるのは『不思議な出来事が起きる』ことだけで、内容までは予想できないから、凪くんがこの先ずっと平和でいられる保証はないの」
ジュースを一口飲み、凪の目を深く見つめながら問う。
「なにが起きても耐え抜く覚悟、凪くんにはある?」
凪はジュースの緑色に視線を落とし、考える。
七海といっしょにいると、不思議な出来事が起きるという。そして、なにが起きるのかまではわからない。
つまり、七海が血を吐いて倒れたような、衝撃的な出来事がまた起きる可能性もあるということだ。
あれと同じような出来事を今後何度も見せられるのだと思うと、気が滅入る。とてもではないが心が持ちこたえられそうにない。
では、七海と会えない日々が続いたらどうだろうと、想像してみる。
つまり、砂を噛むような日常に逆戻り……。
耐えられない、と思った。
戻りたくない、と強く思った。
たとえ何百回、目の前で大量の血を吐かれるのだとしても、七海と会えないよりも会えるほうがずっといい。
凪は顔を上げて彼女を正視した。顔を一目見て、彼の心の中がわかったらしく、七海は白い歯をこぼした。
「友だちでいてくれるんだね? 明日も、明後日も」
「もちろんだよ。七海といっしょにいたい。明日も、明後日も、ずっとずっと」
凪は恥ずかしがらずにそのセリフを言うことができた。そんな自分がうれしかったし、七海がくもりのない笑顔で受け止めてくれたのもうれしい。
これからなにが起きても、七海といっしょにいよう。
好きな人と過ごす最高の時間を、なにがあっても手放したくない。手放してたまるものか。
心の中で決意したあとは、難しいことは少しも考えずに、二人で過ごす時間を楽しむことができた。
七海が血を吐くことはもうない。僕たちを待っているのは、きっと今日みたいに心から笑い合えるひとときだ。
そう信じたかった。
「そのままの意味だよ。わたしと出会ったときのこと、思い出してみて。わたし、ありえないくらい大量の血を吐いたよね。普通なら死んでもおかしくないのに、今もこうして生きていて、普通に外出して、普通にお店で飲み物を飲んでいる。それって不思議なことでしょ?」
平然とそう答えて、自分のグラスの中身をストローで混ぜる。軽く数回回しただけで、茶褐色はあざやかな桃色に変わった。
「凪くんは、明日もわたしに会いに来てくれるって言ったよね。じゃあ、明後日はどうするつもり? 明々後日は? それ以降は?」
「……いたいよ。七海といっしょにいたい」
「でも、わたしのそばにいると、奇妙な出来事がたくさん起こるよ。ジュースの色が変わるとかなら、まだかわいいものだけど、そのうちに取り返しがつかないことが起きるかもしれない。わたしにわかるのは『不思議な出来事が起きる』ことだけで、内容までは予想できないから、凪くんがこの先ずっと平和でいられる保証はないの」
ジュースを一口飲み、凪の目を深く見つめながら問う。
「なにが起きても耐え抜く覚悟、凪くんにはある?」
凪はジュースの緑色に視線を落とし、考える。
七海といっしょにいると、不思議な出来事が起きるという。そして、なにが起きるのかまではわからない。
つまり、七海が血を吐いて倒れたような、衝撃的な出来事がまた起きる可能性もあるということだ。
あれと同じような出来事を今後何度も見せられるのだと思うと、気が滅入る。とてもではないが心が持ちこたえられそうにない。
では、七海と会えない日々が続いたらどうだろうと、想像してみる。
つまり、砂を噛むような日常に逆戻り……。
耐えられない、と思った。
戻りたくない、と強く思った。
たとえ何百回、目の前で大量の血を吐かれるのだとしても、七海と会えないよりも会えるほうがずっといい。
凪は顔を上げて彼女を正視した。顔を一目見て、彼の心の中がわかったらしく、七海は白い歯をこぼした。
「友だちでいてくれるんだね? 明日も、明後日も」
「もちろんだよ。七海といっしょにいたい。明日も、明後日も、ずっとずっと」
凪は恥ずかしがらずにそのセリフを言うことができた。そんな自分がうれしかったし、七海がくもりのない笑顔で受け止めてくれたのもうれしい。
これからなにが起きても、七海といっしょにいよう。
好きな人と過ごす最高の時間を、なにがあっても手放したくない。手放してたまるものか。
心の中で決意したあとは、難しいことは少しも考えずに、二人で過ごす時間を楽しむことができた。
七海が血を吐くことはもうない。僕たちを待っているのは、きっと今日みたいに心から笑い合えるひとときだ。
そう信じたかった。
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