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やっぱり
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秘密基地を目指して歩き始めて、三分も経っていなかっただろう。
「あ、そうか」
イナは唐突に、帰る場所は必ずしも秘密基地である必要はないと気がついた。
あそこは、ままならぬ日常の緊急避難先として見出し、整備した場所だ。人目につかず、誰も来ない。必要なものを蓄えておける。雨風をしのげる。
それらの条件は、イナが唯一神となったこの世界では、あらゆる場所・あらゆる時間帯において満たせる。どこで寝ようが、誰も来ないし、食料や雨に濡れる心配もしなくていい。秘密の基地など、もはや不要。
「ぼくはアホだ。大バカ野郎だ」
わざわざ声に出したのは、自戒のためというよりも、気恥ずかしさを誤魔化すためだ。
イナは現在、今は小規模な田畑と古い民家が混在する地区を歩いている。
適当な家、できれば広くて新しい民家に邪魔をして、そこで一夜を過ごそうと最初は考えていた。しかし屋内で過ごすというのも、常識に囚われた安全策のようで、検討すればするほどつまらなく感じられてくる。
「どうしよっかなー」
迷いながら歩いていると、空き地が目に留まった。右は古い民家で、左は寂れた工場らしき建物、奥は金網フェンスを隔てて三階建てのアパートが建っている、という立地。雑草が疎らに生えた空間は約十メートル四方で、土管でも横たえておけば盛りつけは完璧、といった風情だ。
イナはその中央に、組んだ両手を枕にして寝ころがり、空を仰ぐ。雑草がクッション代わりを果たしてくれているおかげで、寝心地はなかなか悪くない。雲は相変わらず黒の底に茜色を湛えている。赤味は少し濃さを増したようだ。これ以上濃くなることはなく、あとは夜が深まるだけだろう。
ぼくは神だ、と脈絡なく思ってみる。
空き地で眠ろうとしている、破壊神。みすぼらしい? そう思うのは、旧世界の常識に囚われた時代遅れだけだ。
「ま、全滅しちゃったけどね、人類」
この世界ならではの夕焼けを眺めるイナの脳裏を、とりとめのない映像や想念がひっきりなしに去来する。顔を出したがっている虚無感は、無視することで無意識の領域に封じ込めておく。そうしたうえで、自分好みの映像や想念が差しかかったときにだけ去来の速度を遅くし、じっくりと鑑賞する。そんなふうにして暇をつぶす。
何度か、反町直人のことも頭を過ぎった。四つめの顔が脳裏に去来したとき、911ごっこをいっしょに見物したら盛り上がっただろうな、と思った。
「あ、そうか」
イナは唐突に、帰る場所は必ずしも秘密基地である必要はないと気がついた。
あそこは、ままならぬ日常の緊急避難先として見出し、整備した場所だ。人目につかず、誰も来ない。必要なものを蓄えておける。雨風をしのげる。
それらの条件は、イナが唯一神となったこの世界では、あらゆる場所・あらゆる時間帯において満たせる。どこで寝ようが、誰も来ないし、食料や雨に濡れる心配もしなくていい。秘密の基地など、もはや不要。
「ぼくはアホだ。大バカ野郎だ」
わざわざ声に出したのは、自戒のためというよりも、気恥ずかしさを誤魔化すためだ。
イナは現在、今は小規模な田畑と古い民家が混在する地区を歩いている。
適当な家、できれば広くて新しい民家に邪魔をして、そこで一夜を過ごそうと最初は考えていた。しかし屋内で過ごすというのも、常識に囚われた安全策のようで、検討すればするほどつまらなく感じられてくる。
「どうしよっかなー」
迷いながら歩いていると、空き地が目に留まった。右は古い民家で、左は寂れた工場らしき建物、奥は金網フェンスを隔てて三階建てのアパートが建っている、という立地。雑草が疎らに生えた空間は約十メートル四方で、土管でも横たえておけば盛りつけは完璧、といった風情だ。
イナはその中央に、組んだ両手を枕にして寝ころがり、空を仰ぐ。雑草がクッション代わりを果たしてくれているおかげで、寝心地はなかなか悪くない。雲は相変わらず黒の底に茜色を湛えている。赤味は少し濃さを増したようだ。これ以上濃くなることはなく、あとは夜が深まるだけだろう。
ぼくは神だ、と脈絡なく思ってみる。
空き地で眠ろうとしている、破壊神。みすぼらしい? そう思うのは、旧世界の常識に囚われた時代遅れだけだ。
「ま、全滅しちゃったけどね、人類」
この世界ならではの夕焼けを眺めるイナの脳裏を、とりとめのない映像や想念がひっきりなしに去来する。顔を出したがっている虚無感は、無視することで無意識の領域に封じ込めておく。そうしたうえで、自分好みの映像や想念が差しかかったときにだけ去来の速度を遅くし、じっくりと鑑賞する。そんなふうにして暇をつぶす。
何度か、反町直人のことも頭を過ぎった。四つめの顔が脳裏に去来したとき、911ごっこをいっしょに見物したら盛り上がっただろうな、と思った。
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