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夜に思う
しおりを挟む疲れ果てて眠りに落ちるまで、わたしたちはセックス、セックス、セックスをして時間を消費した。
六回まではカウントした。それから先は数えていない。ここまで連続してセックスをしたのは、もちろんこれが初めてだ。おそらく、明日大量殺人を決行する高揚感が、ケンの性的欲求を極限まで昂らせたのだろう。
同じ殺すのでも、一日に少人数を残虐に殺すよりも、あっさりと殺すのだとしても大量に殺す方が、殺す立場としては興奮するものなのだろうか? わざわざ尋ねるほどの好奇心はないから、その推測が正しいのだと思い込むことにする。
付き合わされるこちらとしては、たまったものではない。セックスはスポーツにたとえられることがあるが、実際に連戦をこなしたことで、その所以が心の芯から理解できた。痛みはもう感じないが、疲れはしっかりと蓄積される。快感は覚えないから、正真正銘付き合わされているだけ。
とはいえ、一度スイッチが入ったケンに待ったをかけられるだけの力は、わたしにはない。仕方なしに付き合って、付き合って、付き合った。
解放されたときには、肩で息をしている有り様だった。
ケンは全裸で床に横になっている。フローリングは冷たくて気持ちがいいのだろう。顔に浮かんでいるのは、三歳児でも瞬時に読み取れるような満足感。この様子であれば、夜が明けるまで安寧は保たれそうだ。
やっとのことで呼吸が平常に復した。それに伴い、自らを包む闇と無音をリアルに感じられるようになった。
脈絡なく脳内に浮かんだのは、相葉先生の柔和な表情。
その映像が引き金となって意識したのは、竹刀袋の中に収まっていたもの。
相葉先生に関して、一つの疑惑がある。これはおそらく、竹刀袋の中に収まっていたものを見た経緯が、多少なりともドラマティックだったから、なのだと思う。それを差し引いても、身近だが自分自身には無関係な謎に対して、わたしが関心を覚えるのは珍しい。
ただ、巡り合わせが悪いことに、わたしは疲弊している。謎についての推理を展開させるだけの気力は、どうやらなさそうだ。
明日は、ケンがショッピングモールで大量殺人を決行する日だ。
五人のいじめから解放される、高揚感なき記念日だ。
相葉先生の明日のスケジュールは知る由もないが、二人がショッピングセンターで鉢合わせする可能性も、完全なるゼロではない。
四人を殺すためなら、無関係の人間を殺すことを厭わないケンだから、相葉先生を殺すことも厭わないだろう。
夜中ではあるが相葉先生に連絡を入れて、明日はショッピングセンターに近づかないように忠告するべきだろうか?
ケンを起こして、相葉先生は殺さないようにお願いしてみるべきだろうか?
闇と無音の中で、わたしは検討する。そうするうちに、わたしはとても疲れている、と不意に気がついた。小さく息を吐き、瞼を閉ざす。
世界は死のように静かだった。我ながら陳腐な形容だと思ったが、これ以上しっくりくる表現は見つけられない。
きっと、疲れているからだ。そう思うことにした。
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