海と銀河と私(美しい物語)

alecksmody@gmail.com

文字の大きさ
3 / 6

イルカのセラ

しおりを挟む
食事が終わると、再びお姉ちゃんが遊んでくれる事になりました。
今度は彼氏も一緒です。
4人で思いつく限りの遊びをしていると、お父さんがやって来て言いました。
「今日は本当にありがとうございます。
実はこの後、イルカと泳げる体験の予約をしていまして、そろそろお別れしなければなりません、この子達に素晴らしい思い出を作って頂きました」
何となく意味が分かった一太が、泣いてグズり始めました。
「イャダー、もっとお姉ちゃんと遊びたいよ」
私はお姉さんだったので、ガマンしていましたが、どうしても涙が溢れて止まりませんでした。
私と一太は昨日まで、ガイドブックの写真を見て、イルカさんに会うのをとても楽しみにしていたのでした。
私は涙を拭いて、一太に言いました。
「じゃあ、イルカさんは乗らなくていいの?」
「イルカさんにも乗るし、大きいお姉ちゃんとも遊ぶ」
「一太、お姉ちゃんとっても楽しかったよ、イルカさんも一太と遊びたくて待ってるってよ。」
お姉ちゃんも、別れを惜しむ私達姉弟を見ていて哀しげな顔をしていましたが、気が付いたようにこう言いました。
「ちょっと待っててね」
お姉ちゃんは陣地に走って行って、携帯電話を持ってきてお父さんに渡しました。
「撮って下さい」
お姉ちゃんは、私と一太を両腕で抱き、彼氏にも入る様に指示しました。
「さぁ、笑って!」
お父さんは緊張しながら、シャッターを何回か押しました。
お姉ちゃんは、私の手に小さなメモを包ませて、ギュッと握って言いました。
「写真送るから、電話してね!」
私はコクリと頷いて、本当にお別れなんだと理解しました。
お父さんに引っ張られて、一太は何度も振り返っていましたが、私は、お姉ちゃんに貰った紙をギュッと握り締めて、一度も振り返りませんでした。

イルカ体験のお店に着くと、一太は大きいお姉ちゃんの事などもう忘れてしまったかの様にはしゃいでいたので、私はいつもの様に、ちゃんとお姉ちゃんしなきゃ、と思いました。
一太の乗せてもらうイルカさんは、マー君、私はセラちゃんに乗せてもらう事になりました。
一太は小さな手で、しっかりマー君の背ビレを掴んで、お店のお兄さんと出発しました。
「一太、手を離さないようにするのよ!」
「うん」
私とセラちゃんにはお姉さんが付きました。
私が背ビレを掴むのを確認すると、セラは力強く出発しました。
セラの背中と私のお腹が密着して、クククッ、クックククッ、と不思議な音が伝わります。
私はまだ、大きいお姉ちゃんとの別れを悲しんでいましたが、セラの不思議な声を聞いているうちに、悲しみが消えてゆきました。
新しい友達のセラに頬ずりすると喜びが湧いて来ました。
セラは、友達が安心した事を感じたのか、今まで以上にグーンと力強く泳いでくれました。
セラは不思議な声で一生懸命私に語りかけている様でしたが、私には何を言っているのか分かりませんでした。
セラは時々、水面を鼻で叩いてバシャバシャして泡を作った。
クリクリのお目々が私を見て、ね、綺麗でしょうと言っている様でした。
とても短い時間でしたが、これも素敵な体験でした。
一太も私も満足して、イルカさん達とお別れしました。
不思議と悲しくはなりませんでした。
まだ私の胸に不思議な声が残っでいて、悲しい事があったら、私の声を思い出してと言っている様でした。

お父さんとお母さんが、気を効かせて浜を大回りしてくれました。
大きいお姉ちゃん達が、まだ居るかも知れないと思ったのでしょう。
私は、もう居ないでくれた方が良いと思いました。
結局、大きいお姉ちゃん達は帰ったようで居ませんでした。
車に戻り、お父さんが言いました。
「楽しかったか?」
「うん、凄く楽しかったよ!」
「そうか良かったな! じゃあお家に帰ろう」
車が走り出すと、私と一太は5分もしないうちに寝てしまいました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

 【最新版】  日月神示

蔵屋
歴史・時代
 最近日月神示の予言本に不安を抱いている方もあると思うがまったく心配いらない。  何故なら日月神示では「取り越し苦労や過ぎ越し苦労はするな!」 「今に生きよ!」  「善一筋で生きよ!」  「身魂磨きをせよ!」  「人間の正しい生き方」  「人間の正しい食生活」  「人間の正しい夫婦のあり方」  「身も心も神さまからお借りしているのじゃから夜になって寝る前に神さまに一旦お返しするのじゃ。そうしたら身と心をどのようにしたらよいか、分かるじゃろ!」  たったのこれだけを守れば良いということだ。  根拠のない書籍や情報源等に惑わされてはダメだ。  日月神示も出口王仁三郎もそのようなことは一切言っていない。  これらの書籍や情報源は「日月神示」が警告する「臣民を惑わすものが出てくるから気をつけよ!」 という言葉に注目して欲しい。  今回、私は読者の皆さんに間違った解釈をされている日月神示を分かりやすく解説していくことにしました。  どうか、最後までお読み下さい。  日月神示の予言については、私が執筆中の「神典日月神示の真実」をお読み下さい。    

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...