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デンバー大祭
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事件から早20年の歳月を要して、ようやくのこと伯爵に進呈する為の豪華な橋が完成しました。
その間、いなくなったペリアッドに代わり弟のセリアッドが王国を治めておりました。
セリアッド王は近隣国及びデンバー伯爵に橋の開通式典の招待状をそれぞれ送りました。
伯爵領に差し向けられた使者はその門を叩きました。
「この度我が国と貴領を繋ぐ橋を完成させましたので、デンバー伯爵に開通式典のご出席のお願いを申し上げます」
「これはこれはようこそお出で下さいました。
私、執務長のセルバです。
お招きありがたいのですが、実は先だってデンバーは亡くなりました、ゆえ出席は叶いません」
「そうでしたか。それはそれは。
お世継ぎの方はいらっしゃらないのでございますか?」
「当国では血縁による継承制度がありません」
「では、当主はどうなさるのですか?」
使者は他国の折り行った事情についてあれこれ尋ねるのは失礼かと思ったが、当然帰ったら王に聞かれるものと考えて質問をしたのでした。
「デンバー卿が亡くなった場合、3ヶ月以内にデンバー大祭が開催されます。
この国は7つの地域に分かれておりましてな、その各地域で代表者一名を選出して7名による競技が行われるのです。
この競技では体力、知力、その他の資質が審査されます。
そしてその優勝者が次のデンバー伯爵になるのです」
「なるほど、大変珍しい仕組みですな」
「いかにも、奇異にお感じになられるかもしれませんが、このことによって当国は常に賢人によって治められる事になるのです」
使者は執務長の話を聞いてすっかり感心していました。
「素晴らしいやり方です。その大祭を見てみたいものですな」
「どうぞどうぞ、是非来賓としてご招待いたしますのでそちらの王様にお伝え下さい」
「分かりました、ありがとうございます」
橋の開通式典は、デンバー伯爵不在のまま無事執り行われ、式の途中セリアッド王は自ら橋を渡ってデンバー領へと赴き、執務長にデンバー大祭を見学したい旨を伝えました。
いよいよデンバー大祭の日がやって来ました。
招待を受けている王と王妃は準備で大わらわ、特に王妃は大はしゃぎで暗いうちから目を覚ましておめかしをしておりました。
なにせデンバー大祭は幻の中の幻のお祭りで、数十年、もしくは百年に一度しか行われず、その丁度良いタイミングで近くに住んでいて、たまたまの縁があった場合のみ招待されるかもしれないという、とても貴重なお祭りなのです。
従って王妃様の喜びようは全く正しいのです。
王妃はセリアッドを急かしました。
「あなた、早く行きましょう。
良い席が無くなったらどうするのかしら?」
「ホラム、心配するでない。我らは隣国の王と王妃、必ず一等の席が用意されているだろうよ」
「そうね、でも早く行きたくて仕方ないの」
「分かった分かった、これで用意出来たぞ。
さぁ出発しよう!」
王と王妃は、あの副長官と従者らを引き連れてデンバー領へと向いました。
デンバー橋が見える頃になると、空には色とりどりの丸いものが浮かんでいて花火も打ち上げられていました。
橋には「歓迎、デンバー大祭」と描かれた布が張られておりました。
王妃は少女の様に目を輝かさせて乗り物の中から外を眺めていたので、それを真横で見ていたセリアッドは本当に来てよかったなぁと思いました。
橋を渡ってゆくときに開通式典に欠席していた副長官はあることに気が付きました、この橋はかつてデンバー伯爵が魔法で出現させた橋にそっくりだったのです。
橋を渡り切るとその小さな城下町は王侯貴族の様に着飾った人々で大変賑わっていました。
「セリアッド様、ようこそ!」
執務長が出迎えてくれました。
「盛大ですな!」
「はい、国中の祝福を集めた祭りですから。
一等席を用意しておりますのでそちらでゆっくりご覧下さい」
「ありがとう!」
その間、いなくなったペリアッドに代わり弟のセリアッドが王国を治めておりました。
セリアッド王は近隣国及びデンバー伯爵に橋の開通式典の招待状をそれぞれ送りました。
伯爵領に差し向けられた使者はその門を叩きました。
「この度我が国と貴領を繋ぐ橋を完成させましたので、デンバー伯爵に開通式典のご出席のお願いを申し上げます」
「これはこれはようこそお出で下さいました。
私、執務長のセルバです。
お招きありがたいのですが、実は先だってデンバーは亡くなりました、ゆえ出席は叶いません」
「そうでしたか。それはそれは。
お世継ぎの方はいらっしゃらないのでございますか?」
「当国では血縁による継承制度がありません」
「では、当主はどうなさるのですか?」
使者は他国の折り行った事情についてあれこれ尋ねるのは失礼かと思ったが、当然帰ったら王に聞かれるものと考えて質問をしたのでした。
「デンバー卿が亡くなった場合、3ヶ月以内にデンバー大祭が開催されます。
この国は7つの地域に分かれておりましてな、その各地域で代表者一名を選出して7名による競技が行われるのです。
この競技では体力、知力、その他の資質が審査されます。
そしてその優勝者が次のデンバー伯爵になるのです」
「なるほど、大変珍しい仕組みですな」
「いかにも、奇異にお感じになられるかもしれませんが、このことによって当国は常に賢人によって治められる事になるのです」
使者は執務長の話を聞いてすっかり感心していました。
「素晴らしいやり方です。その大祭を見てみたいものですな」
「どうぞどうぞ、是非来賓としてご招待いたしますのでそちらの王様にお伝え下さい」
「分かりました、ありがとうございます」
橋の開通式典は、デンバー伯爵不在のまま無事執り行われ、式の途中セリアッド王は自ら橋を渡ってデンバー領へと赴き、執務長にデンバー大祭を見学したい旨を伝えました。
いよいよデンバー大祭の日がやって来ました。
招待を受けている王と王妃は準備で大わらわ、特に王妃は大はしゃぎで暗いうちから目を覚ましておめかしをしておりました。
なにせデンバー大祭は幻の中の幻のお祭りで、数十年、もしくは百年に一度しか行われず、その丁度良いタイミングで近くに住んでいて、たまたまの縁があった場合のみ招待されるかもしれないという、とても貴重なお祭りなのです。
従って王妃様の喜びようは全く正しいのです。
王妃はセリアッドを急かしました。
「あなた、早く行きましょう。
良い席が無くなったらどうするのかしら?」
「ホラム、心配するでない。我らは隣国の王と王妃、必ず一等の席が用意されているだろうよ」
「そうね、でも早く行きたくて仕方ないの」
「分かった分かった、これで用意出来たぞ。
さぁ出発しよう!」
王と王妃は、あの副長官と従者らを引き連れてデンバー領へと向いました。
デンバー橋が見える頃になると、空には色とりどりの丸いものが浮かんでいて花火も打ち上げられていました。
橋には「歓迎、デンバー大祭」と描かれた布が張られておりました。
王妃は少女の様に目を輝かさせて乗り物の中から外を眺めていたので、それを真横で見ていたセリアッドは本当に来てよかったなぁと思いました。
橋を渡ってゆくときに開通式典に欠席していた副長官はあることに気が付きました、この橋はかつてデンバー伯爵が魔法で出現させた橋にそっくりだったのです。
橋を渡り切るとその小さな城下町は王侯貴族の様に着飾った人々で大変賑わっていました。
「セリアッド様、ようこそ!」
執務長が出迎えてくれました。
「盛大ですな!」
「はい、国中の祝福を集めた祭りですから。
一等席を用意しておりますのでそちらでゆっくりご覧下さい」
「ありがとう!」
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