娼年

うめの話。

去年の初冬、僕は花街にやってきた。恋人の××に売られて。
××は、来年また迎えにきてくれると、そう約束した。それだけが、僕の希望だった．．．




ひたすら努力し、「うめ」という新しい名で僕の人気が出て、お金にも余裕が出てきたある日、××が僕に会いにきてくれた。
やっと、、やっと自分の好きな人だけに愛してもらえるようになる、と期待をした。
けどやっぱりそんなにうまくいくものでもなくて、××は店を開いて、失敗してしまったから、もう少しここで稼いでくれ、と僕を頼ってくれた。早くこの生活から抜け出したかったけど、××のためなら．．．



僕の暮らす花街には娼館だけでなく、屋台など、他の店もたくさんあり、いろんな人が楽しめる街だった。
そこで、僕は、××が、女の子と楽しそうに腕を組んでいるのを見てしまった。愚かな僕は、××に会えたことを喜び、声をかけてしまった。後から考えると、幸せな時間に水をさしてしまうのは最低な行為だと分かった。案の定、殴られ、僕を籠から出してくれる人はいなくなった。

これ以降、××の名前も、声も、顔も、、、、、




思い出せないでいる。