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第9話 閑散とした森
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魔王と勇者が転生してから12年が経った。
「今日も私の勝ちね、オズ」
「アリアが早すぎるんだよ」
「へへへー。仕方ないから、魔法強化を許可するよ?」
「いや、それは負けた気になるから止めとくよ」
「真面目だなぁ」
「べ、別にいいだろ」
オズとアリアは、毎日仲良く遊ぶようになった。
いつも、適当な10km先の場所まで競走をしている。ほとんどがアリアが勝つ。
魔法を使えば、オズも勝てるだろう。しかし、何もしていないアリアに対して魔法を使うのは、オズのプライドが許さないのである。
後は、互いの本性なんかはどうでも良くなっていたようだ。
「明日こそ、他の子も誘おうよ!」
「どうせ無駄だよ。誰も来ようとしないよ」
「えぇー、なんでー」
「アリアの身体能力が異常なんだよ」
村にはオズとアリア以外にも、たくさんの子供が住んでいる。
しかし、誰も2人と遊ぼうとしないのである。
それは、アリアが『神』と呼ばれるほど、ものすごく身体能力が高く、何でもこなすので、オズ以外は誰もついて行くことが出来ないのだ。
「それを言ったら、オズの魔法も一緒じゃん」
「まあ、そうだな」
「私はただみんなと仲良くしたいだけなのにー!」
「神と悪魔って呼ばれている奴と、仲良くしようとする奴がいるか?」
「それは……いないね」
それに加えて、オズは魔法が上手すぎるため、子供たちから『悪魔』と呼ばれている。
恐れられた2人が必然的に遊ぶことになったのである。
「今日は、森の中を探索してみよー!」
「いいねー。モンスターとかいないかなー」
「お母さんが言うには、この森は危険だから入るなって言ってたよ」
「なんで来たんだよ!」
「楽しそうだからー」
「はぁ、しょうがないな。ここまで来たんだし、行ってみるか」
「行こ行こー! モンスターが出ても、私たちなら余裕で倒せちゃうよ! ね、オズ?」
「どうだろうな。まだ、1回も戦ったことはないけど、魔法で負ける気はしないな」
「私もこの剣があれば、無敵だよ!」
まあ、この2人に怖いものはお酒以外にはないのだから、当然のことである。
こうして、オズとアリアはモンスターの事など一切気にぜず、ゆっくりと探索を楽しんだ。
「ここら辺はなにもないね。つまらないよぉ」
「そうだな。魔力も弱いし、本当に危険な森なのか?」
「お母さんは嘘はつかないよ!」
「ま、まあ、そうだな」
アリアは母のことが好きすぎるので、ちょっとでも悪く言うと、圧をかけてくる。
それに、動物が1匹もいないので、おかしいことは人とも既に理解している。
普通なら、引き返しすだろう。しかし、恐怖心の無い2人は、どんどん先へと進んでいった。
「まだまだいくぞー!」
「おー」
「元気がないぞ? もう1回! いくぞー!」
「おー! ってか、結構歩いたぞ。お昼ご飯もまだだし、そろそろ下りないか?」
「もうちょっとだけ! お願い!」
アリアは綺麗な瞳でオズを見つめる。
オズは、その目を見ると思考が停止して、イエスマンになってしまうのだ。
「し、仕方ないな。あとちょっとだけだぞ」
「やったー! オズ、ありがと!」
「可愛すぎだろ」
「ん? 何か言った?」
「い、いや、何でもない。ほら、早く行くぞ」
「うん!」
そうして、アリアの赴くまま歩いていった。
しばらく歩いたが、何も無い。
アリアも退屈してきて、帰るために村の方向へと歩くことにした。
「結局何もなかったね」
「何かありそうではあったがな。外れの時もあるだろ」
「そうだね。それにしても、お腹が空いたね」
「昼ご飯食べてないもんな。今は、3時くらいだろう」
「早くご飯食べたーい。あれ、なんかあるよ」
「洞穴か? すげぇな!」
2人とも少し、悲しそうに歩いていると、高さ20mほどの洞穴を見つけた。
楽しそうなものをやっと見つけた2人は、とても嬉しそうに中へと入っていく。
「何かあるかもしれないよ! 早く行こ!」
「よっしゃー! やっと面白くなってきた!」
この洞穴こそが、森をこんなに静かにさせていた原因であることは、2人はまだ、気付いていない。
「今日も私の勝ちね、オズ」
「アリアが早すぎるんだよ」
「へへへー。仕方ないから、魔法強化を許可するよ?」
「いや、それは負けた気になるから止めとくよ」
「真面目だなぁ」
「べ、別にいいだろ」
オズとアリアは、毎日仲良く遊ぶようになった。
いつも、適当な10km先の場所まで競走をしている。ほとんどがアリアが勝つ。
魔法を使えば、オズも勝てるだろう。しかし、何もしていないアリアに対して魔法を使うのは、オズのプライドが許さないのである。
後は、互いの本性なんかはどうでも良くなっていたようだ。
「明日こそ、他の子も誘おうよ!」
「どうせ無駄だよ。誰も来ようとしないよ」
「えぇー、なんでー」
「アリアの身体能力が異常なんだよ」
村にはオズとアリア以外にも、たくさんの子供が住んでいる。
しかし、誰も2人と遊ぼうとしないのである。
それは、アリアが『神』と呼ばれるほど、ものすごく身体能力が高く、何でもこなすので、オズ以外は誰もついて行くことが出来ないのだ。
「それを言ったら、オズの魔法も一緒じゃん」
「まあ、そうだな」
「私はただみんなと仲良くしたいだけなのにー!」
「神と悪魔って呼ばれている奴と、仲良くしようとする奴がいるか?」
「それは……いないね」
それに加えて、オズは魔法が上手すぎるため、子供たちから『悪魔』と呼ばれている。
恐れられた2人が必然的に遊ぶことになったのである。
「今日は、森の中を探索してみよー!」
「いいねー。モンスターとかいないかなー」
「お母さんが言うには、この森は危険だから入るなって言ってたよ」
「なんで来たんだよ!」
「楽しそうだからー」
「はぁ、しょうがないな。ここまで来たんだし、行ってみるか」
「行こ行こー! モンスターが出ても、私たちなら余裕で倒せちゃうよ! ね、オズ?」
「どうだろうな。まだ、1回も戦ったことはないけど、魔法で負ける気はしないな」
「私もこの剣があれば、無敵だよ!」
まあ、この2人に怖いものはお酒以外にはないのだから、当然のことである。
こうして、オズとアリアはモンスターの事など一切気にぜず、ゆっくりと探索を楽しんだ。
「ここら辺はなにもないね。つまらないよぉ」
「そうだな。魔力も弱いし、本当に危険な森なのか?」
「お母さんは嘘はつかないよ!」
「ま、まあ、そうだな」
アリアは母のことが好きすぎるので、ちょっとでも悪く言うと、圧をかけてくる。
それに、動物が1匹もいないので、おかしいことは人とも既に理解している。
普通なら、引き返しすだろう。しかし、恐怖心の無い2人は、どんどん先へと進んでいった。
「まだまだいくぞー!」
「おー」
「元気がないぞ? もう1回! いくぞー!」
「おー! ってか、結構歩いたぞ。お昼ご飯もまだだし、そろそろ下りないか?」
「もうちょっとだけ! お願い!」
アリアは綺麗な瞳でオズを見つめる。
オズは、その目を見ると思考が停止して、イエスマンになってしまうのだ。
「し、仕方ないな。あとちょっとだけだぞ」
「やったー! オズ、ありがと!」
「可愛すぎだろ」
「ん? 何か言った?」
「い、いや、何でもない。ほら、早く行くぞ」
「うん!」
そうして、アリアの赴くまま歩いていった。
しばらく歩いたが、何も無い。
アリアも退屈してきて、帰るために村の方向へと歩くことにした。
「結局何もなかったね」
「何かありそうではあったがな。外れの時もあるだろ」
「そうだね。それにしても、お腹が空いたね」
「昼ご飯食べてないもんな。今は、3時くらいだろう」
「早くご飯食べたーい。あれ、なんかあるよ」
「洞穴か? すげぇな!」
2人とも少し、悲しそうに歩いていると、高さ20mほどの洞穴を見つけた。
楽しそうなものをやっと見つけた2人は、とても嬉しそうに中へと入っていく。
「何かあるかもしれないよ! 早く行こ!」
「よっしゃー! やっと面白くなってきた!」
この洞穴こそが、森をこんなに静かにさせていた原因であることは、2人はまだ、気付いていない。
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