泥酔魔王の過失転生~酔った勢いで転生魔法を使ったなんて絶対にバレたくない!~

近度 有無

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第27話 130歳のシェリー

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「アリア、お前学校中ですごい有名になってるぞ!」
「え、なんで⁉」
瞬間移動テレポートの謎を解明したからー」

 瞬間移動テレポートの説明をした時から、アリアはシェリーと友達になった。
 そして、オズはアリアの友達だからとの理由で、シェリーから友達認定されている。
 最近は、この3人で一緒にいる時間が増えてきた。
 残りの3人とはまだ、打ち解けられていない。

瞬間移動テレポートって、まだ解明されてなかったの⁉」
「そうだよぉ」
「や、やばいよー」
(100年も経っているから、流石に解明されてると思ってた……)

 アリアは、大きな失敗をしてしまったと気付いた。

「それで、なんかアリアを探している人がいるって聞いたけど―」
「ルンルンルーン」
「この聞きなじみのある声、もしかして……」
「いましたー! 勇者様の生まれ変わりだ!」

 スキップしながら、3人の前へとやってきたのは、元勇者の側近であったシェリーだ。
 昔と見た目があまり変わっておらず、若いままで老けていない。

「アリアを探しているのって、ママだったんだぁ」
「ママ?」
「そうだよ」
(よく見たら、性格も顔も似ているような……)
「シェリーじゃない。勇者様と友達なの?」
「そうだよー。仲良し」
(待って、なんで親子なのに、2人とも同じ名前なの⁉)
「オズです」
「あ、アリアです。よろしくお願いします」

 親子で同じ名前にすることは滅多にない。
 その為、アリアは驚いたが、まだ、名前を聞いていないので聞きだし難い。

「こちらこそ、2人とも、この子と仲良くしてあげてね」
「は、はい」
「紹介するよぉ。ママのレイ」
(シェリーじゃないの⁉ 何がお起きているの⁉)
「35歳。実際は、130歳。前の名前はシェリーだよぉ」
「130歳⁉ ババアじゃねえか!」
「坊や、何か言ったかな?」

 レイは、オズの失言を逃すことなく問い詰める。
 その貫禄は、130年の集大成のようで、オズは、完全に気圧されている。

「い、いや、何でもない……です」
「シェリーもそこまで言わなくてもいいのよ」
「はぁい」
「シェリー、なんで130歳なの?」
「寝言で言ってたー」
(ということは……、シェリーかどうかは分からない! なんとかなる!)
「アリアちゃん、ちょっといいかな?」
「あ、はい」

 そうして、アリアとレイは外のベンチに座った。
 アリアは、これまでにない程の緊張をしている。
 一方のレイは、何もないかのような表情をしている。

「なんで呼び出したんですか?」
「アリア、私の目は騙せないからね」
「え?」
「あの日、転生したんでしょ?」
「な、なんの事ですか?」

 アリアは、間違えて転生したことがバレないように誤魔化す。
 誤魔化す理由は1つしかない。恥ずかしいからだ!

瞬間移動テレポートが使えるだけなら、そうは思わないよ」
「なら、なんで?」
「仕草が全く同じだし、私の年齢聞いても驚かなかったじゃん」
「もう誤魔化せないかー。流石シェリーだね」
「今は、レイだけどね」

 アリアは、これ以上は無理だと思い、諦めて打ち明けることにした。
 これまでのことを説明していると、シェリーは時々、からかう様な口調で話すので、顔が赤くなっていく。

「って訳で今に至るの」
「それにしても間違えるって、酔すぎだよ」
「酔わしたのは貴方だからね!」
「ごめんごめん」
「絶対に内緒にしてよ!」
「もちろんです! 勇者様!」
「辞めてってばー」

 アリアは、この雰囲気が懐かしく感じていた。
 また、間違えて転生してしまったことを初めて話して、気持ちがスッキリしたように思えた。

「それでレイは、何をしてるの?」
「その呼び方、違和感しかないね。えっとねー」

 シェリーは、戦いの場で亡くなったことにして、レイとして生活しているそうだ。
 それで、シェリーの強さを忘れない為に、子供の名前をシェリーにしたのだ。
 その理由は、年齢が姿に合わないだけでなく、多くの人に恐れられたからだ。
 そうして、結婚して、シェリーと夫と生活しているそうだ。

「そうなんだー。ってことは、シェリーも魔族の血が混ざってるの?」
「まあ、そうなるよ」
「すごいねー」

 キーンコーンカーンコーン

「あ、時間だ。じゃあ、行くね。絶対に内緒だよ!」
「わかってるよー」

 チャイムが鳴ったので、アリアは教室に戻り、講義を受ける。
 その姿は、昔の勇者に似て見えた。

「今日は、ちゃんと受けようかな」
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