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安東君その4

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5月に入るとグランド改修工事の為にテニス部の練習が夏いっぱいまで出来なくなった。
顧問の先生に了解を得て、他学校に協力を仰ぐ事にした。
大東大付属高校のテニスコートは新設で広かったな。
交渉の余地ありだな。
顧問の先生は部活に関心がなく、僕等に任せっきりだ。
僕は大東大付属のテニス部顧問の田中先生に約束を取り付けた。

さて…1人で行くのも何だし…誰かを連れて行こうか。
「誰か僕と一緒に大東大テニス部に挨拶に行ってくれる奴いないか?」
部室で僕はみんなに声を掛けた。
「テニスコート借りるんですよね。
交渉上手い奴がいいんじゃないですか?」
「あと、目を引きそうな奴とか?」
部員がザワつき始めた。
「俺!俺ついて行きます!
大東大付属に用もあるんで。」
久瀬が手を挙げた。
「お前かあ~。
確かに見た目で注目浴びそうだけど…。
大東大付属に知り合いいるのか?」
「多分…なんすけど。」
「何だよ多分…って!」
「噂でしか聞いてないんですよ。
大東大付属に入ったとかしか。
だから確認したいんです!」
久瀬なら確かに注目を浴びるしアピールとしてはいいんだが…。
一抹の不安が…。

「はいはいはいはい!行きます!」
グイグイと僕に近づいてきた。
「うるさい!わかったから!
大人しくしろよ!」
「うっす!」
まったく、デカい子供だよ。

そして僕等はこうして大東大付属の武本先生と知り合う事になる。
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