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安東君の耳掃除2

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「優ちゃん…。
大貴が来年戻って来るのは、優ちゃんが恋しいからだよ。」
「えっ?」
僕をいたわって中兄ちゃんが言ってるのはわかった。
気にしてないから大丈夫なんだけど。
「憶えてる?優ちゃん…大貴と俺とで隣の家に住む約束…。」
「憶えてるよ。もちろん。」
確か…中学校に上がってすぐに、そろそろ部屋数増やさないと、とか両親が話してたのを聞いていて、3人で計画立てたんだっけ。

「もし…実際にそうなったら、どうする?」
「もちろん。一緒に住むよ。」
「マジ!?本当にいいのか?」
「えっ…そんなに驚く事?
だって、僕は家族が大好きだから。
弟達の部屋も必要になるし。
そうなったら、願ったり叶ったりだよ。」
「よっしゃああ!俺!頑張る!」
えっ何を頑張るんだろう。
お金貯めるって事かな?

「優ちゃん…俺もさ、マジで大貴に帰って来て欲しいんだ。
俺さ、女遊び好きだけど…本当は大貴と優ちゃんが仲良くしてるの見るの…1番大好きなんだ。
幸せだって実感出来てさ。
やっぱり、家族が1番なんだ。
離れちゃいけなかったんだ。」
中兄ちゃんが、興奮して僕の膝を掴んだ。

「中兄ちゃん…。
大兄ちゃんもきっと同じ気持ちだよね。
僕もそうだから…。」
僕は中兄ちゃんの頭を優しく撫でた。
「もう!今日は優ちゃんに思い切り、甘えるぞ!」
「いつも、甘えすぎるくらい甘えてるよ。」
僕は耳掃除を終えても、しばらくそのままで中兄ちゃんを甘えさせてあげた。
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