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第三章
国境の谷とセクシーキャッツ①
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夕刻になり、私はエリザから賃金と旅の資金を僅かばかり頂くと、一階の一般書籍専門の部屋へと向かった。
ここの本が量的には1番多いし、来館者も五割以上がここを訪れる。
整理整頓の為に一角に作業中と表示された仕切り用の白いテープの向こう側に、黒いスーツを着た3メートルくらいの半巨人が火挟みの様な物で書籍を丁寧に差し込んでいる姿が見えた。
オーダムだ。
ここの職員に雇われてるだけあって半巨人ながらも、その佇まいは上品で姿勢も体の重心をしっかりと捉えていて美しい。
声を掛けたいのはやまやまだが、ここでは私語厳禁が鉄則だ。
私はゆっくりと仕切りテープを潜って、オーダムの方向へかった。
後ろから上等な黒い革靴をコツンとつつくと、すぐにオーダムは私に気が付いた。
私は声を出さない代わりに、この図書館職員で通用している手話でアルの居場所を聞いた。
オーダムは優しく微笑み、会釈をした後丁寧にアルのいる本棚の場所を教えてくれた。
オーダムに教えられ、非常口ドアから2番目の本棚の間を覗き込んだ。
曲芸師さながら頭の上に数冊の本を乗せ、手元の本をお手玉のように空に舞わせて本棚の番号を確認しているアルがそこにいた。
エリザに見つかったら、えらい事になりそうだな。
しかし、遊んでいる様に見えてアルは素早い動きで本はすいすいと本棚に吸い込まれる様にして整頓して行った。
私はアルが声を上げない様に口に人差し指を当てて、身振りで仕事の終了を教えた。
アルはこう言うコミュニケーションは得意だったのか、すぐに理解して素早い行動で後片付けをしてオーダムに一礼をした。
私とアルはとりあえず、図書館の門番に1日パスポートを返却して夕飯や今夜の宿について話した。
私のいた小屋は、目指すアルバ国とは正反対の山の麓だ。
わざわざ戻るのも無駄が多過ぎる。
しかし、宿をとって明日から谷を目指す方がいいのか、少しでも早く谷を目指した方がいいのか。
私として後者を希望したいのだが。
厄介事を後回しにすると碌な事がない。
宿に泊まるとなると、少ない手持ちの金を使う事にもなるし、出来れば節約したいのだ。
まさか、元魔王ともあろう者が節約などと貧乏臭いことを口走るなんて、元家臣が聞いたら腰を抜かしそうだ。
とはいえ、アルは曲がりなりにも現在一国の国王だ。
野宿というのもなぁ。
「さて、アルにはどうしても自国に戻って貰いますよ。
揉め事に巻き込まれるのはごめんですから。
寄り道せずに真っ直ぐです。
ですが、もう日が沈みかけています。
どうしたものかと。」
「わかってるべな。
大人しく帰るだよ。
だども、やっぱりオラ野宿がええだよ。
城に閉じこもってる間なんて窮屈で窒息死しそうだったべな。
星の下で両手広げて大の字になって自由を身体中で感じる、そうすっと五感が研ぎ澄まされるんだべ。
オラには外の空気があってるんだべ。」
「なるほど。
ではアルを尊重して、野宿としましょう。
ですが…。」
確かに野生児そのもののアルには野宿がピッタリだ。
意見は一致した。
さて、野宿と決まればまたそれなりの支度をしなければならない。
流石に自国に帰すのに、このアルの格好では私がアルから服を剥ぎ取った様にしか見えない。
曲がりなりにも王様だし、高貴な格好で野宿とはいかないが、それなりに身なりは整えておきたいものだ。
あと、最低限度の常備品を市場で購入する事にしよう。
「少し市場で買い物を。
このままでは、私の方が疑われてアルバ国で投獄されるやもしれません。
アルには、せめて町民並みの服と靴を。
あと雑貨を少々購入したいですね。
私も一応野宿となるとそれなりに身を守る道具も必要ですし。
ん?そういえばアルは自国を出た当初から、その格好ですか?」
「んにゃんにゃ。
そっただ事したら、すぐに捕まるし、下手したら不審者扱いされるべな。
出る時はリッチな格好で、街ですぐに金に換えただよ。
荷物も多少あっただども、あげたり、落としたり色々あって、ああなっただよ。」
つまりは、これが最終形態なのだな。
私は目を細めてアルを見た。
本当に欲望という名とは無縁で脳天気な男の様だ。
しかしながら、私もアルと同様に、という訳にはいくまい。
無事に自国へ帰って貰わないと、こっちが迷惑を被るのだ。
自分一人なら、どうにでもなるし、例えのたれ死んだとしてもそれもまた本望なのだが…。
「では、夜市場もそろそろ活気が出る頃です。
行きましょうアル。」
「夜市場!行くべな!」
私は市場へ向かう前にマントのフードをより一層深く被った。
ここの本が量的には1番多いし、来館者も五割以上がここを訪れる。
整理整頓の為に一角に作業中と表示された仕切り用の白いテープの向こう側に、黒いスーツを着た3メートルくらいの半巨人が火挟みの様な物で書籍を丁寧に差し込んでいる姿が見えた。
オーダムだ。
ここの職員に雇われてるだけあって半巨人ながらも、その佇まいは上品で姿勢も体の重心をしっかりと捉えていて美しい。
声を掛けたいのはやまやまだが、ここでは私語厳禁が鉄則だ。
私はゆっくりと仕切りテープを潜って、オーダムの方向へかった。
後ろから上等な黒い革靴をコツンとつつくと、すぐにオーダムは私に気が付いた。
私は声を出さない代わりに、この図書館職員で通用している手話でアルの居場所を聞いた。
オーダムは優しく微笑み、会釈をした後丁寧にアルのいる本棚の場所を教えてくれた。
オーダムに教えられ、非常口ドアから2番目の本棚の間を覗き込んだ。
曲芸師さながら頭の上に数冊の本を乗せ、手元の本をお手玉のように空に舞わせて本棚の番号を確認しているアルがそこにいた。
エリザに見つかったら、えらい事になりそうだな。
しかし、遊んでいる様に見えてアルは素早い動きで本はすいすいと本棚に吸い込まれる様にして整頓して行った。
私はアルが声を上げない様に口に人差し指を当てて、身振りで仕事の終了を教えた。
アルはこう言うコミュニケーションは得意だったのか、すぐに理解して素早い行動で後片付けをしてオーダムに一礼をした。
私とアルはとりあえず、図書館の門番に1日パスポートを返却して夕飯や今夜の宿について話した。
私のいた小屋は、目指すアルバ国とは正反対の山の麓だ。
わざわざ戻るのも無駄が多過ぎる。
しかし、宿をとって明日から谷を目指す方がいいのか、少しでも早く谷を目指した方がいいのか。
私として後者を希望したいのだが。
厄介事を後回しにすると碌な事がない。
宿に泊まるとなると、少ない手持ちの金を使う事にもなるし、出来れば節約したいのだ。
まさか、元魔王ともあろう者が節約などと貧乏臭いことを口走るなんて、元家臣が聞いたら腰を抜かしそうだ。
とはいえ、アルは曲がりなりにも現在一国の国王だ。
野宿というのもなぁ。
「さて、アルにはどうしても自国に戻って貰いますよ。
揉め事に巻き込まれるのはごめんですから。
寄り道せずに真っ直ぐです。
ですが、もう日が沈みかけています。
どうしたものかと。」
「わかってるべな。
大人しく帰るだよ。
だども、やっぱりオラ野宿がええだよ。
城に閉じこもってる間なんて窮屈で窒息死しそうだったべな。
星の下で両手広げて大の字になって自由を身体中で感じる、そうすっと五感が研ぎ澄まされるんだべ。
オラには外の空気があってるんだべ。」
「なるほど。
ではアルを尊重して、野宿としましょう。
ですが…。」
確かに野生児そのもののアルには野宿がピッタリだ。
意見は一致した。
さて、野宿と決まればまたそれなりの支度をしなければならない。
流石に自国に帰すのに、このアルの格好では私がアルから服を剥ぎ取った様にしか見えない。
曲がりなりにも王様だし、高貴な格好で野宿とはいかないが、それなりに身なりは整えておきたいものだ。
あと、最低限度の常備品を市場で購入する事にしよう。
「少し市場で買い物を。
このままでは、私の方が疑われてアルバ国で投獄されるやもしれません。
アルには、せめて町民並みの服と靴を。
あと雑貨を少々購入したいですね。
私も一応野宿となるとそれなりに身を守る道具も必要ですし。
ん?そういえばアルは自国を出た当初から、その格好ですか?」
「んにゃんにゃ。
そっただ事したら、すぐに捕まるし、下手したら不審者扱いされるべな。
出る時はリッチな格好で、街ですぐに金に換えただよ。
荷物も多少あっただども、あげたり、落としたり色々あって、ああなっただよ。」
つまりは、これが最終形態なのだな。
私は目を細めてアルを見た。
本当に欲望という名とは無縁で脳天気な男の様だ。
しかしながら、私もアルと同様に、という訳にはいくまい。
無事に自国へ帰って貰わないと、こっちが迷惑を被るのだ。
自分一人なら、どうにでもなるし、例えのたれ死んだとしてもそれもまた本望なのだが…。
「では、夜市場もそろそろ活気が出る頃です。
行きましょうアル。」
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