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第4章 サリエル編
終幕①
しおりを挟むそうして再び幕は下りる
【ep.26 終幕】
リラの腹部から突き出た細長い鋭利な刃物。サリエルもラリウスもその光景に目を見開き、凍りついていた。
「あ……かは……」
リラは空気を吐き出し、ゆっくりと下へと視線を移した。
「な、に…こ、れ……」
混乱するリラの腹部から鋭利な刃物が引き抜かれ、アラストルの爪にその形を戻した。爪を引き抜いたと同時に手の拘束も解けたようでリラはその場にドサリと倒れ込む。
ラリウスとサリエルはその一連の流れがまるでスローモーションを見ているかのように、ゆっくりと、はっきりと見えていた。しかしそれとは裏腹に体が、脳がそれに追いついてこなかった。やっと2人の体が反応したのはリラが倒れ込んでからだった。
「ぅぁあああああああああああああああ!」
獣にも似た雄叫びをあげサリエルはアラストルへと殴りかかる。しかしレヴィアタンが割って入り、それを受け止めた。それからコンマ数秒遅れてラリウスはサリエルの代わりにアラストルへと武器を振り下ろした。
それぞれの力がぶつかりバチバチと電気が走る。
「いいわぁ! その顔!!」
「貴様ら殺してやる!」
「うふふふふふ…! そうでなくっちゃぁ」
「そこを退けっ!」
「嫌だね。やれるもんならやってみなよ。ラリウス様よぉっ…!」
「ぅあっ…!」
アラストルの力に推し負けたラリウスは、先程サリエルとの戦闘で残骸と化したマリオネットと椅子の中に投げ飛ばされた。
「ははっ…ざまぁねぇな」
「くそっ……」
ダメージはそんなに深くなく、瓦礫を除けすぐにラリウスは立ち上がり構えた。
「私達は契約なしに人間を殺す事はできない。正解だ」
アラストルはゆっくりとラリウスに近づきながら話しかける。
「でもなぁ、ラリウス。知っているか? 私(悪魔)達にも例外があるって事」
ゆっくり近づいてくるアラストルにラリウスはジリと後ずさる。
「現世規約第69条。先に攻撃された場合、その反撃を許す」
アラストルはジャキと爪を鋭い刃物のようなものに変化させ、その腕を前に構えた。
「ほら。人間もよく言ってるだろ? えっと…なんだっけな。
あ! そうそう。正当防衛って言うんだよなぁっ…!」
アラストルはダンッと地面を蹴ると一気にその距離を詰め、鋭い爪でラリウスに襲いかかる。
「くっ……!」
ヒュンヒュンと風を切り次々と繰り出されるアラストルの攻撃にラリウスはただただ避けるので精一杯だった。
「あぁ…弱い。弱いなぁ」
「っ……」
「ちっとは反撃しろよ人間!」
「ぐぁっ」
アラストルの爪が横一文字に切れると同時に赤い液体も飛び散る。
「まだまだぁっ」
アラストルの次の攻撃にナイフで防御するラリウスだったが、連続攻撃に追いつけずいくつか傷を増やした。
(強い…! 少し所じゃなく桁違いに強い…! このままでは…)
*********
「貴様らすんなり死ねると思うなよ!」
「あらぁん。それは楽しみねぇ」
レヴィアタンはサリエルの攻撃を余裕の笑みで交わしながら、挑発するようにクスクスと笑う。
「私もあなたをすんなり死なせるつもりはないのよぅ?」
ずっと攻撃をかわしていただけのレヴィアタンはそう言うとガッとサリエルの懐に蹴りを入れ、さらに倒れ込んだ彼の胸にダンと片足を乗せる。そしてレヴィアタンは耳元まで口を裂かせて、残酷で恐ろしい笑顔をしてみせた。
「あなたの肉体を、魂を喰らいながら犯してあげるの」
とても嬉しそうにそう言うとレヴィアタンは高らかに笑った。とてもとても不快な音が響き渡る。
サリエルは唇を噛み締めると手元に落ちていた木片を掴み、レヴィアタンの足めがけて突き刺した。先の尖った木片はレヴィアタンのふくらはぎあたりを突き抜け、さらにその勢いで骨の折れる鈍い音がした。レヴィアタンは少し顔を歪め、チッと舌打ちをすると片足の力のみでバッと後ろに飛び退いた。
「レディに対して手加減なしなのねぇん」
痛覚というものがないのかレヴィアタンは特に痛がりもせず木片を引き抜き、骨が折れぶら下がった状態の足首の位置を元に戻した。すると傷口はみるみるふさがり、折れたはずの骨は元に戻っていた。
「まだまだ楽しみましょうよぅ。サリエルゥ」
「楽しむつもりは毛頭ない」
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