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第0章 暗殺貴族・メイザース家
メイザース家(ティーナ&アン)
しおりを挟む小さなトラブルはあったものの、何とか客間の掃除を終えた私は掃除道具を持ち、夕日の射す廊下を歩いていた。
すると廊下の先にクルクルと巻いた金髪のツインテールを揺らしながら、タタタッとこちらに向かって走ってくる少女と、ゆるくウェーブのかかった髪を揺らし、優雅に歩いてくる女性の姿が見えた。
「アン様!」
私は掃除道具を脇に置き、走ってくるアン様をボスンと受け止めた。
アン様はメイザース家の末っ子で、素直で可愛らしく、他のご兄弟はもちろん使用人からも愛される存在だ。
「リラさんっ! 今日ね、今日ね、お人形さんで遊びたいのっ!」
クリクリの瞳で私を見上げるアン様。月並みな表現だけれども本当に天使のようだと思う。
こんな可愛らしい普段の様子を見ていると、裏でマシンガンを駆使し、暗殺貴族として働いているという事を忘れてしまいそうになる。
と言ってもアン様はまだ幼いので裏のお仕事は数多くはこなしていないらしい。
「申し訳ありません。まだお片付けが終わってなくて…。遊ぶのは終わってからでもよろしいでしょうか?」
一瞬シュンとしたアン様だったが最後の言葉を聞くと花がパァと咲いたように笑顔になった。
「はいっ。アンもこれから先生が来るので、そのあと遊びましょう!」
メイザース家の皆様を見ていて貴族でいることは大変な事なんだとしみじみ思う。
貴族と言うことで必要な教養や知識が多く、皆様ほぼ毎日習い事で忙しいのだ。
「良かったわね。アン」
そう言ってアン様の頭を優しくなでたのはメイザース家の長女であるティーナ様。私と年が一つしか変わらないのにとてもしっかりしていて、落ち着きのある大人な女性。
そして中身同様見た目も大人っぽく、美人でスタイルも良くて、街の女の子の憧れの的だったりする。ニコニコと愛想を振りまくタイプではないけどとても優しい方だ。
ただ一つ困ったことがー…
「そうだ、リラさん。明日、護身術の続きを教えて差し上げますわね」
このティーナ様が他の使用人には内緒で教えて下さる護身術が厄介…と言うかかなり怖いのだ。
こう…何と言うか、暗殺貴族としてのスイッチが入るのか、護身術のレベルを超えた指導が入るのだ。
もはや護身術と言うよりも戦闘と言った方が正しい気がする。
「えっ…、で、でもティーナ様もお忙しいのに申し訳ないです」
「そんな事気になさらないで。わたくしが好きでしているのですから」
無論それは好意なのだとわかっている。だからこそ断れないのだけれども…。
「あ、ありがとうございます」
「では明日ね。さ、アン。先生がいらっしゃるから部屋に行きますわよ」
「はい。では、リラさんまたあとで」
「はい。お勉強頑張ってください」
小さく手を振りながら去っていくアン様に私も小さく手を振り返し、その背中が小さくなるまで見送った。
そして小さなため息と諦めを吐き出した。
「……明日湿布用意しとかなきゃ」
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