漆黒の白魔族~最弱生徒の成り上がり~

sizuma

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一年生編 第一章 オルエイ入学

第十五話 狩り受付所

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「俺がオルエイに来た理由?」



俺が聞き返すと、ヨロはうん、と頷いた。



前の俺なら聞かれても、答えるのをためらっただろう。



一般的には、魔王になりたいなんて人は精神的に子供だと思われる。



社会を知れば、社会を知るほど、そんな大層な発言なんて出来なくなる。



いつもだったら笑われたくないから適当にそれっぽい理由をつけて、その場を回避しただろう。



でも、今の俺は違う。



ガールと一戦を経て、非日常な体験をして、考えが変わった。



俺にとって、この夢は恥ずかしいものではなくなっていた。



俺の、これから生きるための柱の一つになった。



「俺は、【魔王】になる為にここに来た。」



だからこそ、俺は胸を張って自信満々に言った。



「「「「「魔王⁉」」」」」



皆が、口をそろえて驚いていた。もともと知っていたナルキは例外だが。



ヨロ、ローズマリーあたりは特に凄い表情を見せてくれていた。



「ま、魔王って、え、エスタ君、凄いね。」



「まさかわたくしの周りで魔王になると公言する人が現れるなんて、、、」



「ビューティフル、夢は高く持たねばッ」



「魔王か~。大きく出たね~。あたしの動機がほんと、恥ずかしくなってくるよ。」



「魔王って、すご。」



ヨロ、ローズマリー、ミナクール、エリーゼ、ノエルの順番で感想をこぼす。



ナルキはもう反応は過去に終わらせているので、何も言わなかった。



唯一シアのみ、何も言わなかった。



よく見ると、驚いている様子もない。



「我ながら、大きな夢だとは思ているよ。」



俺がそうつぶやくと、以外にもローズマリーが肯定してくれた。



「いいんじゃないかしら。むしろ、そのくらいの気概が無ければ、この高等学校ではやっていけないと思いますわ。」



「ありがとう。なんだか、笑われると思ってたから、意外だよ。」



「あら、他人の夢を笑うほど、わたくし落ちぶれておりませんわ。」



そう言う彼女からは、優しさを感じた。



親の話や噂から、貴族って、もっと傲慢なイメージを持っていたから、他人の話を鵜吞みにするのはよくないなと実感した。



次にエリーゼが確認するように言った。



「確か魔王って、八割がオルエイを首席で卒業してるよね?」



俺は頷く。



「ああ、ほとんどが首席で、そうじゃない場合でも卒業時は皆上位成績者だ。でも、入学時に一番下のクラスにいた例もないわけじゃない。俺が魔王を目指すなら、残りの生徒159人を追い越さないといけない。」



「なんか、とんでもなくスケールの大きい話になって来たね。」



「でも、不可能なわけじゃない。俺はやってみせる。」



俺がそう言うと、彼女は息を吞んだ。



覚悟に気圧されたか、



「私も負けていられないね。」



エリーゼはそうつぶやいた。



そうこう話しているうちにようやく目的の場所が見えてきた。



狩りの受付所だ。



学生達は、生活するのに狩りをすることが必須になるが、安全の為、始める時と終わる時には報告をしなければならない。



それらの処理を行うのが受付所らしい。



周囲を見渡すと、たくさんの学生がいる。



体感、一年生が多めだろうか。



初日なのもあって皆生活費を稼ぐためのに来ているのだろう。



俺は皆に声をかけた。



「とりあえず、皆の志望理由とかも聞けたわけだし、そろそろ本腰を入れていこうか。まあ、受付所についたからと言って、すぐに狩りが始まるわけでもないけど。」



「おいエスタよ、ちょっと待て。」



するとミナクール、突っかかり始める。



「なんだよ。」



「いや、僕の志望動機だけ聞かれてないんですけど。」



「興味ない。どうせもてたいとかだろ。」



「え?・・・なぜわかった。」



当たってるんかい。



適当に言っただけなので、まさか的中しているとは思わなかった。



だがまあ、ミナクールのことだからそんな理由だろうとは予想していた。



まだ出会って二日目だが、なんかこいつの行動パターンがすごく読めるようになってきた。



いや、どっちかっていうと思考パターンか? どっちでもいいや。



「じゃあ、変態ナルシストの事は置いておいて、行こう。」



俺がそう言うと、ナルキ、ヨロあたりは賛同してくれた。



一晩一緒に過ごしてミナクールの扱いがわかってきてるから俺が彼をぞんざいに扱っても何も思わないようだ。



一方で女子達、特にエリーゼあたりは、そんな接し方でいいのといった疑問の視線を向けてくる。



まあ、彼女達はまだミナクールとあったばかりだし、ミナクールも昨日や今日の朝ほどは暴れてないからこの反応は仕方ないだろう。



ちなみに当のミナクールはというと、かなりふてくされていた。









★☆★☆★







受付所は、その事務の多さから、わざわざ一つの建物を立て、学校からは独立しているようだった。



先程は、受付所の仕事は、学生の狩り報告の処理だといったが、それは主な仕事というだけで他にもやるべき事がたくさんある。



例えば、換金。



魔獣を狩っただけ独自通貨を貰えるといったが、この独自通貨は受付所が発行管理している。



学校内に限った話だが、銀行の役割を兼用しているのだ。



そして、当然生徒達は受付所を通して独自通貨を貰うことになる。



それだけではない。



生徒達が安全に狩りをできるように魔獣の分布の把握や、死者が出ないようなシステム作りなど、いろんなことに配慮もしているし、受付所の横には店が構えており、日用品を買いそろえる事ができる。



ここは学生にとって、寝泊まりする寮の次に重要な施設なのだ。



俺達八人は、受付所へと到着すると即座に足を踏み入れた。



中を見渡すと、思っていたより広かった。



年季の入った床や壁。お世辞にも綺麗とはいえないが、別に汚いかと言われればそんなこともない。



天井は高く、広々とした空間が広がっている。



「寮よりはきれいですわね。」



ローズマリーが呟くと、皆は共感して、首を縦にうんうんと振る。



エリーゼが愚痴を言った。



「第八寮が汚すぎるのよ。あたしのベッドなんか、蜘蛛の巣あったからね。」



それはかわいそうだ。



俺達の部屋はそんなに汚いって感じは無かったが、あれは先輩がしっかり掃除してくれていたからなのだろうか。



もし、自分の布団に蜘蛛の巣が出来ていたとして、そんな場所では絶対に寝たくはない。



贅沢言うなって怒られるかもだけど。



ナルキが受付の方を真っ直ぐ指差して言った。



「とりあえず、狩りを始める報告をしちゃおう。皆も早くお金を集めて昼ご飯を食べちゃいたいでしょ?」



皆で頷いた。



そしてすぐに受付のほうに並んだ。



早いに越したことはない。



やはり一年生が多くて混んでいるようで少し列ができていたが、十分ぐらい経ったらすぐに自分たちの番が回ってきた。



何名で狩りをするのか聞かれたので八名と答えた。



相手は俺達の事を学生として扱うのではなく大人として扱っているようだった。



名前やクラス等、基本的なことを聞かれた後、狩りについての重要事項を説明される。



まず、自分のレベルにあった場所で狩りを行うこと。



これは言わずもがなだろう。



一人一つ地図を渡された。そこには、魔物の生息地や危険なエリアなどが書かれている。



最初は必ず一番下のレベルから始めて、徐々に上げて行きなさいと言われた。これは安全の為だろう。



次に、首飾りを渡された。



どうやら貴重な魔道具らしい。



命の危機が生じたときに、勝手にバリアが張られるという効果を持っているようだ。



一度バリアが発動すると、外側からも内側からも破れず、十分間閉じ込められる仕様だそうだ。



これが発動すると、即座に受付に報告が届きすぐ大人が駆けつけるので、余計な事はせずに待機していなさいということらしい。



怪我人や死人が出ないような配慮だ。



その昔、オルエイ高等学校では過酷な生活ゆえ、よく死人が出ていたという。



多くの生徒が狩りの途中で調子に乗って身の丈に合わない魔獣を狩ろうとして死んだかららしい。



それが大きな問題となって、オルエイは様々な制度を取り入れたという。



この首飾りが例の一つだ。



ちなみに万が一首飾りを発動させてしまった場合、ペナルティが発生し、持っているお金の没収と、二ヶ月間、放課後に先生の手伝いをさせられる。



高価な魔道具を安々壊されたらたまったものではないという学校側の都合の入った処置だ。



二ヶ月も、ペナルティが課されるのはこのオルエイにて正直辛い。



その分、周りと差をつけられるからだ。



もし俺がその立場になったらと思うと、ゾッとする。



そうはならないようにしないと。
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