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第8章 ゼロ距離
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二人にもそのことを伝え、どうにか窮地を脱することができた。詰まりを起こしていたのは最初のフィルターだけだったので、気体化させてもその後のフィルターが上手く浄化してエネルギー生成器が正常に機能し、エネルギーの停滞から詰まっていた血栓のようなL-30も流れて体内の浄化装置がそれらを分解してくれた。みるみるうちにデルタ粒子の残量が増え、低く唸っていたWMBが甲高く鳴き始める。身体が軽い。
《本当に助かった》空になったスプレー容器を眺めるイーヴィル。《これは量産しなければ。次に同じようなことが起きた時、これがなければ二度と声を出すこともできなくなる》
「私も思い出せてよかったと思う。さあ、基地に戻ろう。作業はそれからだ」
もはや〈カールステッド〉のコアに目もくれなかった。アルバに所属していた時なら、弾け飛んだコアを血眼になって探し回るだろうが、今はコアを持ち帰らなくても誰も咎めることがない。なんて気楽なんだ。コアを持ち帰るということがどれだけ重荷だったかよくわかる。
快調にWMBで基地に戻ったところ、私達は何か違う雰囲気を察した。どこかで一度は感じた不穏な何か。そして不気味なくらい静かである。優れた聴覚が何も音を拾わないなんて。
「なあ」
「ああ、わかっているさ」クライシスの心配に答えるイーヴィル。「WMBをパージしろ。各自、警戒は怠るんじゃないぞ。侵入者かもしれない」
言われた通りに行動する私達。屋内で活動するには大きすぎるWMBを外し、補助武器を構えたままエレベーターに乗り込む。ここまでは雰囲気が違うだけで他におかしな点は見当たらない。だが、私達の勘はよく当たる。もし侵入者だとすればそれはもうわかりきっている犯人だ。
アイコンタクトを交わしながらハンドサインも加えて管理室に到着した時、完全に言葉を失っていた。部屋が荒れているわけではないが、血が飛び散った床には異なる二本の腕が放置されたまま。どちらも右腕で、明らかにジェドとヒューイのものだった。切断面から流出した血液の海に主人を失って溺れている。
私は凍り付いたように突っ立って動けないでいた。状況を理解するのにそれほど時間を要しなかったが、それでも混乱は収まらない。冷静なイーヴィルは現場を観察し始めたが、クライシスは私と同じく動揺してしまって声すら出さない。
「やられた」
血の海に沈む腕を一本をつまみ上げるイーヴィルが呟く。
「Aチームの奴らだ。俺達の基地を特定して二人を誘拐したんだろう」
「何のために?」
「二人への罰と、俺達への見せしめのためだ」彼はクライシスの問いに返答する。「実際のところ、現在の関係では二人を救出する理由はない。こちらにもそれなりの技術と知識がある」
「だが、わからないことも多い」
私が付け加えたが首を横に振るイーヴィル。
「救出に向かえば相手の思うつぼだ。様子を見たい」
「そう待たずに殺されるぞ。決断するなら今だ。知らないふりをするか、救出に向かうか、リーダーのお前が決めてくれ。私とクライシスはどちらであろうともお前に従う」
イーヴィルは考え込むために口を閉ざした。持ち上げた腕を床に置き、血溜まりを一点に見つめる。私はこの時、何度か誘拐の前兆があったのにも関わらず事件を防げなかったことに自分を責めるしかできなかった。ヒューイやジェドが数度に渡って私達に「話がある」と何かを切り出そうとしていたが、それに対して私達は全く聞く耳を持たず、拒絶ばかりをしていた。きっとその頃にはもうAチームの方から何かしらの接触があったのだろう。それを私達に知らせようとしたが間に走った亀裂が邪魔をしてしまった……気付くのが遅すぎた。これで私達がいかにして感情的になり、冷静さを失っていたか露呈した。人間らしさが仇となった瞬間だ。
「わかった、救出に向かうことにしよう。各エネルギーを補給し、アラランタに侵入する」
「WMBはどうする? どのみち探知されるだろうが……」
「時間はかかるが輸送車で行った方がいい」クライシスが提案する。「アラランタの外界防衛システムには欠陥が存在する。そこを突いて中に侵入し、二人を救出して素早く脱出できればいい」
「なら、お前に案内役を任せる。念のためにWMBも積んで行こう。準備しろ」
緊張感で空気が張り裂けそうだった。その中で重量のあるWMB三機を輸送車に積み込み、身を狭くして車に搭乗。クライシスが盗み取ってきたアラランタの防衛システムデータを確認しつつイーヴィルがハンドルを握る。
アラランタの姿が見えた頃には正午を過ぎていた。この時点で普通ならセンサーに感知されるのだが、クライシスが見つけたシステムの欠陥を縫うように移動しているため今のところ何も問題はない。そう、アラランタの外界防衛システムは完璧じゃない。所々に死角が存在し、数年に一度のペースでジンがセンサーに引っかからずアラランタを襲撃する。何度も死角を消そうと試みていたようだが、廃れた後に残された現在の技術ではどうにもならなかった。だから今でもこうして死角は放置されているわけだ。問題はシニガミに丸投げというわけである。
アラランタの外界防衛システムは、こちらの基地でヒューイとジェドが開発した小型センサーと何ら変わりがない。基地で使ったものは従来のものより小さく感知範囲が狭いため三六〇度、死角なく感知できる。反対にアラランタのセンサーは範囲が広く、それゆえにシステム上どうしても排除できない欠陥が発生する。一定の間隔にできた死角は曲がりくねった道のようになり、私達はそれを縫うように辿って行けばいい。だが、私はこの道を行く最中に不安しか感じられなかった。二人を誘拐して救出に向かってくるだろうと予想した時、真っ先にこの死角のことを思い浮かべるはずだ。つまり、私達は下手をするとアルバの思い通りに行動してしまっていることになる。何かしら罠が張り巡らされていても不思議ではない。このまま突破するのはまずいのではないだろうか? 相手の大っぴらな罠に自ら落ちに行くようなものだ。
「なあ、イーヴィル」
「お前が言いたいことはわかっているつもりだ」
イーヴィルは私の声にそう答えた。どうやら重々承知の上でこのルートを辿っているらしい。クライシスも私に顔を向けて軽く頷く。皆、覚悟を決めている。
私はヒューイとジェドにそこまで必死になる必要があるのかどうか疑問だった。当初は信頼を置き、そして協力を受けて最高の仲間、そして技術者だと思っていた。しかし、いざ蓋を開けてみればどうだ? 根本にあるアルバの思想はそう簡単に変えられるものではない。いくら私達の味方をしたとはいえ、あの無茶な要求をする言動はアルバそのもの。オーバードウェポンがそれにあたる。私達とあの二人には溝が発現した。とても深く、修復不能なくらい大きく。それにも関わらずイーヴィルは二人を助けに行くと言い出すし、従うと言った以上それに反対することもできず、私は困惑している。いくら知識と技術を得るためとは言っても敵の本拠地に、しかも罠を張られている事実を理解した上で突撃するとは正直なところ正気の沙汰ではない。
「何故だ」私はつい口からこぼす。「私達が欲している知識や技術は命を捨ててでも手に入れたいくらいに価値のあるものなのか?」
「ある。だがそれよりも――」イーヴィルは一度口を閉じ、一呼吸置いて続けた。「やはり俺達は感情剥奪手術を受けるべきだった。こんなくだらない人間関係に頭を悩ませてしまうとは情けない……本当なら助けに行く気なんて全く起きないはずなのに、二人との関係を完全に断ち切られない。お前達もそうだろ? どうあがいても人間らしい部分が邪魔をしてくる」
「一体、俺達ってどんな存在なんだろうな」
クライシスの口からこぼれ出た一つの疑問。それに対して即答はできなかった。理解していたからだ、私達がとてつもなく中途半端な存在であることを。完璧な機械にもなれず、だからといって生身の肉体を持たず、愚かなくらい人間の感情を露わにし、そして酷く人間に憎悪の塊を抱く。矛盾だらけの私達は、もはやこの世の何ものにも属さない『なりそこない』である。何度もブラッドリーやその他アルバの研究員、Aチームから繰り返されたその言葉にもはや反論できない状況である。そう、私達は端から見れば『なりそこない』なのだ。
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「私も思い出せてよかったと思う。さあ、基地に戻ろう。作業はそれからだ」
もはや〈カールステッド〉のコアに目もくれなかった。アルバに所属していた時なら、弾け飛んだコアを血眼になって探し回るだろうが、今はコアを持ち帰らなくても誰も咎めることがない。なんて気楽なんだ。コアを持ち帰るということがどれだけ重荷だったかよくわかる。
快調にWMBで基地に戻ったところ、私達は何か違う雰囲気を察した。どこかで一度は感じた不穏な何か。そして不気味なくらい静かである。優れた聴覚が何も音を拾わないなんて。
「なあ」
「ああ、わかっているさ」クライシスの心配に答えるイーヴィル。「WMBをパージしろ。各自、警戒は怠るんじゃないぞ。侵入者かもしれない」
言われた通りに行動する私達。屋内で活動するには大きすぎるWMBを外し、補助武器を構えたままエレベーターに乗り込む。ここまでは雰囲気が違うだけで他におかしな点は見当たらない。だが、私達の勘はよく当たる。もし侵入者だとすればそれはもうわかりきっている犯人だ。
アイコンタクトを交わしながらハンドサインも加えて管理室に到着した時、完全に言葉を失っていた。部屋が荒れているわけではないが、血が飛び散った床には異なる二本の腕が放置されたまま。どちらも右腕で、明らかにジェドとヒューイのものだった。切断面から流出した血液の海に主人を失って溺れている。
私は凍り付いたように突っ立って動けないでいた。状況を理解するのにそれほど時間を要しなかったが、それでも混乱は収まらない。冷静なイーヴィルは現場を観察し始めたが、クライシスは私と同じく動揺してしまって声すら出さない。
「やられた」
血の海に沈む腕を一本をつまみ上げるイーヴィルが呟く。
「Aチームの奴らだ。俺達の基地を特定して二人を誘拐したんだろう」
「何のために?」
「二人への罰と、俺達への見せしめのためだ」彼はクライシスの問いに返答する。「実際のところ、現在の関係では二人を救出する理由はない。こちらにもそれなりの技術と知識がある」
「だが、わからないことも多い」
私が付け加えたが首を横に振るイーヴィル。
「救出に向かえば相手の思うつぼだ。様子を見たい」
「そう待たずに殺されるぞ。決断するなら今だ。知らないふりをするか、救出に向かうか、リーダーのお前が決めてくれ。私とクライシスはどちらであろうともお前に従う」
イーヴィルは考え込むために口を閉ざした。持ち上げた腕を床に置き、血溜まりを一点に見つめる。私はこの時、何度か誘拐の前兆があったのにも関わらず事件を防げなかったことに自分を責めるしかできなかった。ヒューイやジェドが数度に渡って私達に「話がある」と何かを切り出そうとしていたが、それに対して私達は全く聞く耳を持たず、拒絶ばかりをしていた。きっとその頃にはもうAチームの方から何かしらの接触があったのだろう。それを私達に知らせようとしたが間に走った亀裂が邪魔をしてしまった……気付くのが遅すぎた。これで私達がいかにして感情的になり、冷静さを失っていたか露呈した。人間らしさが仇となった瞬間だ。
「わかった、救出に向かうことにしよう。各エネルギーを補給し、アラランタに侵入する」
「WMBはどうする? どのみち探知されるだろうが……」
「時間はかかるが輸送車で行った方がいい」クライシスが提案する。「アラランタの外界防衛システムには欠陥が存在する。そこを突いて中に侵入し、二人を救出して素早く脱出できればいい」
「なら、お前に案内役を任せる。念のためにWMBも積んで行こう。準備しろ」
緊張感で空気が張り裂けそうだった。その中で重量のあるWMB三機を輸送車に積み込み、身を狭くして車に搭乗。クライシスが盗み取ってきたアラランタの防衛システムデータを確認しつつイーヴィルがハンドルを握る。
アラランタの姿が見えた頃には正午を過ぎていた。この時点で普通ならセンサーに感知されるのだが、クライシスが見つけたシステムの欠陥を縫うように移動しているため今のところ何も問題はない。そう、アラランタの外界防衛システムは完璧じゃない。所々に死角が存在し、数年に一度のペースでジンがセンサーに引っかからずアラランタを襲撃する。何度も死角を消そうと試みていたようだが、廃れた後に残された現在の技術ではどうにもならなかった。だから今でもこうして死角は放置されているわけだ。問題はシニガミに丸投げというわけである。
アラランタの外界防衛システムは、こちらの基地でヒューイとジェドが開発した小型センサーと何ら変わりがない。基地で使ったものは従来のものより小さく感知範囲が狭いため三六〇度、死角なく感知できる。反対にアラランタのセンサーは範囲が広く、それゆえにシステム上どうしても排除できない欠陥が発生する。一定の間隔にできた死角は曲がりくねった道のようになり、私達はそれを縫うように辿って行けばいい。だが、私はこの道を行く最中に不安しか感じられなかった。二人を誘拐して救出に向かってくるだろうと予想した時、真っ先にこの死角のことを思い浮かべるはずだ。つまり、私達は下手をするとアルバの思い通りに行動してしまっていることになる。何かしら罠が張り巡らされていても不思議ではない。このまま突破するのはまずいのではないだろうか? 相手の大っぴらな罠に自ら落ちに行くようなものだ。
「なあ、イーヴィル」
「お前が言いたいことはわかっているつもりだ」
イーヴィルは私の声にそう答えた。どうやら重々承知の上でこのルートを辿っているらしい。クライシスも私に顔を向けて軽く頷く。皆、覚悟を決めている。
私はヒューイとジェドにそこまで必死になる必要があるのかどうか疑問だった。当初は信頼を置き、そして協力を受けて最高の仲間、そして技術者だと思っていた。しかし、いざ蓋を開けてみればどうだ? 根本にあるアルバの思想はそう簡単に変えられるものではない。いくら私達の味方をしたとはいえ、あの無茶な要求をする言動はアルバそのもの。オーバードウェポンがそれにあたる。私達とあの二人には溝が発現した。とても深く、修復不能なくらい大きく。それにも関わらずイーヴィルは二人を助けに行くと言い出すし、従うと言った以上それに反対することもできず、私は困惑している。いくら知識と技術を得るためとは言っても敵の本拠地に、しかも罠を張られている事実を理解した上で突撃するとは正直なところ正気の沙汰ではない。
「何故だ」私はつい口からこぼす。「私達が欲している知識や技術は命を捨ててでも手に入れたいくらいに価値のあるものなのか?」
「ある。だがそれよりも――」イーヴィルは一度口を閉じ、一呼吸置いて続けた。「やはり俺達は感情剥奪手術を受けるべきだった。こんなくだらない人間関係に頭を悩ませてしまうとは情けない……本当なら助けに行く気なんて全く起きないはずなのに、二人との関係を完全に断ち切られない。お前達もそうだろ? どうあがいても人間らしい部分が邪魔をしてくる」
「一体、俺達ってどんな存在なんだろうな」
クライシスの口からこぼれ出た一つの疑問。それに対して即答はできなかった。理解していたからだ、私達がとてつもなく中途半端な存在であることを。完璧な機械にもなれず、だからといって生身の肉体を持たず、愚かなくらい人間の感情を露わにし、そして酷く人間に憎悪の塊を抱く。矛盾だらけの私達は、もはやこの世の何ものにも属さない『なりそこない』である。何度もブラッドリーやその他アルバの研究員、Aチームから繰り返されたその言葉にもはや反論できない状況である。そう、私達は端から見れば『なりそこない』なのだ。
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