先輩はわたしに逆らえない

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赤裸々に【1】

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『ねぇ先輩ごめんなさい、、、メール打ってたら間違えて通知のところ触っちゃたんですよね』

トークアプリの画面を先輩に見せながら私は横目で先輩を見つめる、、、

『えっ?、、、え、、、なん、、、で?』

『ねぇ先輩?このやり取り最初から見ても良いですか?』

『いや、、、待っ、、、それは、、、困っ』

いつも優しくて頼りになる先輩はそこにはいなかった、、、

しどろもどろになり、動揺を隠せない先輩

初めて見せるその姿に、、、

私はえもいわれぬ心地よさを感じている

『見られたら困っちゃうんですか?なんでですか?私は別にマゾそのものには特別、偏見とか嫌悪感はありませんけど?』

クスクス笑う私、、、

『いや、、、そうじゃなくて、、、あの、、、』

言い逃れできない弱者をいたぶる、、、

生まれて初めての経験に、、、

私の中に急速に芽生え始める加虐心、、、

『いつもの先輩らしくないですね?ほらいつも先輩が指導してくれてた事ですよ?言いたい事はしっかり伝わるように。謝罪するなら?、、、どうするんでしたっけ?』

私の言葉に、、、微かに震えながら運転をする先輩

その口から、かつて教わった謝罪の心構えは出て来なかった

よほど動揺しているらしい、、、まぁこれから営業にも何ヵ所か回るのだし

運転しながら追い詰め過ぎて事故でも起こされても困るかしらね

『先輩、、、今は運転に集中していて大丈夫ですよ。ただこのやり取りは拝見しますね。どうやら私の名前も出てるみたいだし、、、構いませんよね?』

『、、、うぅ、、、はい、、、』

先輩からの承諾を得てから私は、先輩のトーク内容を最初から読み始めた

先輩はチラチラと私の方に意識と視線を向けてきているのだけど、私はそれに気づいているけど敢えて知らぬふりを決め込んだ

二人のやり取りは最初は純粋に驚きもあったが、あまりにも仕事中の先輩とかけ離れすぎた内容に思わず笑ってしまう事さえあった、、、

笑うとは言っても、それは楽しいからとかではなく、、、あまりに情けない姿と性癖に対する侮辱を含む嘲りなのだけど、、、

午後になり、いくつかの営業をこなし、、、会社へと戻る車内で私は先輩に話しかけた

『ねぇ先輩、、、終わったら少しお話ししたいのですけど、、、お時間、、、取れますよね?』

まだ一応、いつも通りの言葉使いではあるのだけど、口調に混ざる私の軽蔑の感情を読み取った先輩

『はい、、、大丈夫です、、、』

小さな消え入りそうな声で、、、力なく返事をするのだった

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