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願望
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私は殺し屋。
ボスからレターを受け取り仕事をする。
なぜレターかって?
足が付きにくいからだってさ。
私の道具は銃。
初仕事の時にボスが手渡してくれた無刻印のM1911型。
今日はある大手企業社長の妻と娘を彼らの自宅で消す。
一般的な警備体制だから潜り抜けるのはラク。
それに、たいていの女は銃を向ければ腰を抜かすし、子供は泣きじゃくるだけ。
撃鉄を起こし、たった2回…それぞれの頭に向かってトリガーを引く。それだけ。
セキュリティを潜り抜けリビングに入った。
女は娘を寝かせようと窓に向かってニスでテカテカしたちょっと古くさいカウチに座ってた。
(悲鳴を聞かれちゃ困るからさっさとやろう。)
後ろから近づき、女の頭に銃口を向けた。ハンマーを起こすと…女がゆっくりと振り返った。
『あら?お客さんかしら?ごめんなさい気づかなくって…少し待っててくださる?お茶をお出ししますから。』
女は注意深く立ち上がり、寝ている娘をベッドに移して毛布をかけた。
そして、机や手すりに手をかけながらカップとポットを手に取った。
(何を呑気に突っ立ってるんだ!さっさと消さないと!気を緩めちゃだめ。ヤツが何をしでかすかわからない…けど、私の方が早い。)
おぼつかない手つきで蛇口を捻り、ポットに水を入れストーブの上に置いた。
『どうぞ座って。』と言いながらまたカウチに腰掛けた。
私はつっ立ったまま銃口を向け続けた。そして…たった2回トリガーを引いた。
別の日、またレターが来た。
レターに目を通した後シュレッダーにかけ、その後は熱いシャワーを浴びてシャツを着てホルスターを身につけ上着を羽織る。
そして事を成す。
また別の日。レターが来た。
身支度を整えて事を成した。
また別の日。
レター。事を成した。
レター。事を成す。
レター。事を成す。
レター。事を成す。
最近妙な虚無感に襲われる。食事中、シャワー中、睡眠中…いつでも。
気づけば涙を流していることもある。
『いつからだろう…初仕事から?ちがう。あの女と娘に会ってからだ。』
ある日またレターが来たが…断った。
その日は何故か良い気分だった。
そして思った…
『決めた…終わりにしよう。』
私はいつものように身支度を整えボスのいる事務所へと足を運んだ。
警備員はチェックなしにすぐに通してくれた。
部屋の前で扉をコツコツと叩いた。
扉が開くとボスが目の前にいた。
部屋の両端に屈強そうな男が2人と、扉を開けてくれた秘書の女がボスの隣に立っていた。
部屋の端には大きなシュレッダーがある。人がすっぽりと収まりなくらい大きなものだ。
『久しぶりだな。また会えて嬉しいよ。元気だったか?』
失礼にならない程度の笑みを浮かべつつ、軽く会釈した。
『この前はどうして断った?断ったことなんて一度もなかったのに…どうしたんだ?』
『今日はその…断ったことの謝罪をしようと…』
『お前は2つの掟を覚えているか?1つ目は仕事は必ずやり遂げること。何があろうとな。2つ目は絶対に逆らわないこと。』
『はい。重々承知しております。』
私は深く頭を下げた…フリをして素早く腰の銃に手をかけた。サムセフティを外し、ヒップシューティングで男2人と女を倒した。
『ヒッ!あっ…な、なんだぁ?!』
彼の肩に銃口を向け、引き金を1度だけ引いた。
『ぬぅ!!あぁぁ!!いってぇえ!!?お前ぇぇ!!』
彼の頭をフロントサイト越しに覗きこみ、引き金を引いた。部屋がしんと静まりかえった。
私はスライド引いて弾を取り出し机の上に立てた。
そして、自分の腹部に銃口を当てて引き金をそっと引いた。
ドズンという衝撃のあと、声に出ない悲鳴が出た。
傷を押さえながらシュレッダーに近寄り…ボタンを押して銃を投げ込んだ。
ガリガリと音を聞きながら倒れ込んだ。
天井を見ながら戦場のメリークリスマスをハミングした。
ボスからレターを受け取り仕事をする。
なぜレターかって?
足が付きにくいからだってさ。
私の道具は銃。
初仕事の時にボスが手渡してくれた無刻印のM1911型。
今日はある大手企業社長の妻と娘を彼らの自宅で消す。
一般的な警備体制だから潜り抜けるのはラク。
それに、たいていの女は銃を向ければ腰を抜かすし、子供は泣きじゃくるだけ。
撃鉄を起こし、たった2回…それぞれの頭に向かってトリガーを引く。それだけ。
セキュリティを潜り抜けリビングに入った。
女は娘を寝かせようと窓に向かってニスでテカテカしたちょっと古くさいカウチに座ってた。
(悲鳴を聞かれちゃ困るからさっさとやろう。)
後ろから近づき、女の頭に銃口を向けた。ハンマーを起こすと…女がゆっくりと振り返った。
『あら?お客さんかしら?ごめんなさい気づかなくって…少し待っててくださる?お茶をお出ししますから。』
女は注意深く立ち上がり、寝ている娘をベッドに移して毛布をかけた。
そして、机や手すりに手をかけながらカップとポットを手に取った。
(何を呑気に突っ立ってるんだ!さっさと消さないと!気を緩めちゃだめ。ヤツが何をしでかすかわからない…けど、私の方が早い。)
おぼつかない手つきで蛇口を捻り、ポットに水を入れストーブの上に置いた。
『どうぞ座って。』と言いながらまたカウチに腰掛けた。
私はつっ立ったまま銃口を向け続けた。そして…たった2回トリガーを引いた。
別の日、またレターが来た。
レターに目を通した後シュレッダーにかけ、その後は熱いシャワーを浴びてシャツを着てホルスターを身につけ上着を羽織る。
そして事を成す。
また別の日。レターが来た。
身支度を整えて事を成した。
また別の日。
レター。事を成した。
レター。事を成す。
レター。事を成す。
レター。事を成す。
最近妙な虚無感に襲われる。食事中、シャワー中、睡眠中…いつでも。
気づけば涙を流していることもある。
『いつからだろう…初仕事から?ちがう。あの女と娘に会ってからだ。』
ある日またレターが来たが…断った。
その日は何故か良い気分だった。
そして思った…
『決めた…終わりにしよう。』
私はいつものように身支度を整えボスのいる事務所へと足を運んだ。
警備員はチェックなしにすぐに通してくれた。
部屋の前で扉をコツコツと叩いた。
扉が開くとボスが目の前にいた。
部屋の両端に屈強そうな男が2人と、扉を開けてくれた秘書の女がボスの隣に立っていた。
部屋の端には大きなシュレッダーがある。人がすっぽりと収まりなくらい大きなものだ。
『久しぶりだな。また会えて嬉しいよ。元気だったか?』
失礼にならない程度の笑みを浮かべつつ、軽く会釈した。
『この前はどうして断った?断ったことなんて一度もなかったのに…どうしたんだ?』
『今日はその…断ったことの謝罪をしようと…』
『お前は2つの掟を覚えているか?1つ目は仕事は必ずやり遂げること。何があろうとな。2つ目は絶対に逆らわないこと。』
『はい。重々承知しております。』
私は深く頭を下げた…フリをして素早く腰の銃に手をかけた。サムセフティを外し、ヒップシューティングで男2人と女を倒した。
『ヒッ!あっ…な、なんだぁ?!』
彼の肩に銃口を向け、引き金を1度だけ引いた。
『ぬぅ!!あぁぁ!!いってぇえ!!?お前ぇぇ!!』
彼の頭をフロントサイト越しに覗きこみ、引き金を引いた。部屋がしんと静まりかえった。
私はスライド引いて弾を取り出し机の上に立てた。
そして、自分の腹部に銃口を当てて引き金をそっと引いた。
ドズンという衝撃のあと、声に出ない悲鳴が出た。
傷を押さえながらシュレッダーに近寄り…ボタンを押して銃を投げ込んだ。
ガリガリと音を聞きながら倒れ込んだ。
天井を見ながら戦場のメリークリスマスをハミングした。
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