31 / 86
運命が連れ去られました
社長に対して、いつもそんな失礼なこと思ってんのか……
しおりを挟む一方、レストランで大吾たちと向かい合って座るあかりは、ちょっと緊張していた。
うーん。
スーツとか着ると、やっぱり似てるな。
そのとき、大吾がこちらを見て訊いた。
「おい、ストーカー鞠宮。
なんにする?」
「あの、ストーカーやめてください」
横で来斗が、何故、ストーカー? という顔していたからだ。
「いや、ストーカーとかつけて呼ばないと、ちょっと惑わされそうな可愛さだからだ」
「なにがですか」
「お前が。
実は、お前、俺の好みなのかな」
ひっ。
なんなんですか、この人、真顔でっ、と姉弟そろって照れる。
そこで、来斗がコソコソ言ってきた。
「この人、すごい人だな。
社長と同じ顔だけど。
社長はあの顔でも、性格的にグイグイ来そうにないから、実はモテないんじゃないかと思ってるんだけど」
いや、社長に対して、仕事しながら、いつもそんな失礼なこと思ってんのか……。
「この人、この顔でグイグイ来るよ。
俺が女なら、即落ちするね」
と来斗は大吾を絶賛する。
そのまま来斗は、何故、ストーカーと呼ばれているのか、については追求してこなかった。
どうやら、カンナが気になって、気もそぞろらしい。
うわ~、大丈夫かなあ、と連れてきておいて、あかりは不安になる。
来斗は照れてるけど、カンナさん、無表情だしな~。
絶対、相手にもされてないよな~。
来斗、本気になって、振り回されちゃったりしないかな。
美女の顔でも眺めながら食事したら楽しいんじゃない? と思った姉心があだになってしまったかも、
と思うあかりの中の、弟の評価はとても低かった。
一方、大吾もその頃、妹、カンナに小声で話しかけられていた。
「なんだかわからないまま、連れてこられたけど。
この人たちは誰?」
「青葉の元カノとその弟だ」
細かいことは気にしないカンナは、なんで青葉の元カノと会ってんの、とは訊いてはこなかった。
「じゃあ、大吾と弟さんとはなんの関係もないのね」
「弟は今、初めて会ったぞ」
「そうなの。
実は、大吾が弟さんの方と付き合ってて、私に紹介しようとしている、というパターンも考えたんだけど」
「どうしていきなり、そのパターン考えてみた……」
「気になったから」
と表情も変えずにカンナは言う。
「……気になった? なんで」
カンナは真っ直ぐ来斗を見て言う。
「すごいイケメン。
今までの人生で出会った中で、一番好みかも」
「うーん。
まあ確かに、顔は……。
ストーカー鞠宮によく似て綺麗な顔だな。
お前、こういうスッキリ系が好みだったんだな。
……ていうか、気に入ったのなら、そんな冷徹な顔で見下してないで、微笑めよ。
理解されないぞ」
お前はうちの母親か、寿々花さんか、と注意する。
大吾の中で、彼女らは愛情の伝わりにくい人たちの代表だった。
「わかった。
愛想よくするから、このあと、二人きりにして」
「……なんか不安しかないが、まあいいか」
っていうか、お前と弟を二人きりにしたら、俺たちも二人きりになってしまうんだが、と思いながら、大吾はストーカー鞠宮を見る。
ストーカー鞠宮は弟となにかコソコソ話していて。
心配そうな顔をしたり、不安げにこちらを窺ったりしていた。
初めて巣から顔出して外覗いてる子リスみたいだ……。
そんな鞠宮あかりを見ながら、大吾は思っていた。
妙なものだな。
青葉と俺。
顔はよく似てるけど。
性格的には全然似ていない気がするのに。
女の好みだけ一緒だとか――。
27
あなたにおすすめの小説
【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~
蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。
嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。
だから、仲の良い同期のままでいたい。
そう思っているのに。
今までと違う甘い視線で見つめられて、
“女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。
全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。
「勘違いじゃないから」
告白したい御曹司と
告白されたくない小ボケ女子
ラブバトル開始
愛してやまないこの想いを
さとう涼
恋愛
ある日、恋人でない男性から結婚を申し込まれてしまった。
「覚悟して。断られても何度でもプロポーズするよ」
その日から、わたしの毎日は甘くとろけていく。
ライティングデザイン会社勤務の平凡なOLと建設会社勤務のやり手の設計課長のあまあまなストーリーです。
妖狐の嫁入り
山田あとり
恋愛
「――おまえを祓うなどできない。あきらめて、俺と生きてくれ」
稲荷神社の娘・遥香(はるか)は、妖狐の血をひくために狐憑きとさげすまれ、ひっそり生きてきた。
ある日、村八分となっている遥香を探して来たのは怨霊や魔物を祓う軍人・彰良(あきら)。
彼は陰陽師の名門・芳川家の男だった。
帝国陸軍で共に任務にあたることになった二人だったが、実は彰良にもある秘密が――。
自己評価は低いが芯に強さを秘める女が、理解者を得て才能を開花させる!
&
苦しみを抱え屈折した男が、真っ直ぐな優しさに触れ愛を知る!
明治中期風の横浜と帝都を駆ける、あやかし異能ロマンス譚です。
可愛い妖怪・豆腐小僧も戦うよ!
※この作品は、カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される
絵麻
恋愛
桐島花は父が病没後、継母義妹に虐げられて、使用人同然の生活を送っていた。
父の財産も尽きかけた頃、義妹に縁談が舞い込むが継母は花を嫁がせた。
理由は多額の結納金を手に入れるため。
相手は二十五歳も歳上の、海軍の大佐だという。
放り出すように、嫁がされた花を待っていたものは。
地味で冴えないと卑下された日々、花の真の力が時東邸で活かされる。
腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~
有木珠乃
恋愛
両親を亡くし、二人だけの姉妹になった一ノ瀬栞と琴美。
ある日、栞は轢き逃げ事故に遭い、姉の琴美が務める病院に入院することになる。
そこで初めて知る、琴美の婚約者の存在。
彼らの逢引きを確保するために利用される栞と外科医の岡。
「二人で自由にならないか?」を囁かれて……。
【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
椿かもめ
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。
【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】
☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆
※ベリーズカフェでも掲載中
※推敲、校正前のものです。ご注意下さい
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる