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ついにお前に命じよう……いや、ほんとにっ
今宵こそ、お前に命じる
しおりを挟む王家の紋章が形どられた食後のゼリーを、食べたら不敬に当たりそうな気がする、と思いながら、イワンは眺めていた。
この城だと王もざっくばらんな感じなので、イワンたちも王やアイリーン姫と同じ食卓につかせてもらっている。
王は食事もそこそこに、熱心にアイリーンに話しかけていた。
「そういえば、お前はアルガスの旧王家の娘だそうだが。
それなら、イニシエのころには、我が王室とも縁深く。
血続きになるのではないか?」
「そうなんですかね」
と特に興味なさそうにアイリーンは言う。
「筋的にも申し分ないし。
だんだんと、お前は我が妻にふさわしいような気がしてきたぞ」
「そうですかね~」
あまり乗り気でないアイリーンの口調が無礼だととられないかとイワンはハラハラして聞いていた。
いつもこの姫の側にいるメディナは特に気にならないようだったが。
「王宮に来ないか? アイリーン」
「いえ、諸事情により、無理です」
「なんの事情なのだ。
詳しく話してみよ」
「ここへ人質のようにやってくるとき、ずっと思っていました。
このことが王様にバレたら、おかしなモノを寄越しおってとキレられそうだな~と。
だから、今、ここで語るのは無理です」
「……大丈夫だ、今のところ、キレていない。
あと、それ、本人に言ったら、意味ないだろう」
「そうなんですけど……」
アイリーン、とエルダーはアイリーンの手をとった。
「どのようなことか知らぬが、私はお前のすることなら、なんでも許せる自信がある」
そうですか?
この姫のことですから、とんでもない秘密抱えてそうですよ、とイワンが思ったとき、エルダーが言った。
「まあ、話したくないのなら、話はおいおい聞こう。
ともかく、今日は私はここに泊まるぞ」
「前も泊まられたではないですか」
と言うアイリーンの言葉にかぶせるようにエルダーは言う。
「お前の部屋に泊まるぞ。
あるいは、お前が私の部屋に来いっ」
今だっ、とイワンは用意していた巻物を取り出し、前に進み出て言った。
「8888番目の姫よ。今宵、王のお相手をせよ」
それ、この間も似たやつもらいましたけど、という顔でアイリーンはこちらを見ていた。
「いよいよですね、姫様」
食後、湯浴みをし、アイリーンは部屋に戻った。
メディナはうきうきとした様子でアイリーンの髪を梳っている。
「姫様がお妃様となられたら、いつも姫様と張り合っては喧嘩を売ってきていたバージニア姫の鼻が明かせますねっ」
「バージニア……。
喧嘩なんて売ってきてたっけ?」
「ほんとうに呑気ですわね、姫様は」
そう言いながら、メディナはアイリーンの髪に夜咲く淡い紫の花を飾る。
「お美しいですわ。
なんだかわたくし、泣けてきました。
見た覚えもない、姫様の赤子の頃など思い出したりして」
すごい想像力だな。
だが、ともかく、メディナが自分のことを深く思ってくれているのは伝わってきた。
アイリーンは立ち上がり、自分より少し小柄なメディナの手を取る。
「ありがとう、メディナ」
メディナはまたちょっと涙ぐみ。
「良き夜を過ごされますように――」
と言ってお辞儀した。
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