はるよ こい。

たみやえる

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はるよ こい。

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 バレンタインデーのその日。三年は登校日で、はや合格が決まった者、まだこれからという者もいて微妙になりそうな空気感を、チョコを渡すかとか、誰それはもう何個受けとっているなんて、そんな話題で紛らわしていた。
 放課後、マフラーぐるぐる巻き姿のユリは校舎裏に植わる蝋梅の木の下に立っていた。
 帰り際、念のためさぐった机の中、かさりと指に当たった紙切れと、少し前開けた靴箱の中、自分の黒のローファーの片足に突っ込まれていた薄桃色の便箋。
 その二つを手に、首をひねりながら、指定されるまま、やってきたのだ。
 今時、手紙で呼び出すなんて古風なやり方、告白しかないだろう。なにしろ、今日はバレンタイン。愛を告白する日なのだし。
 そうは思っても(もしかして)と(まさかね……)を順繰りに口の中で唱えているアヤなのだ。
 手紙なんてイタズラと無視してしまおうかとも思ったけれど、(三年だし、これが最後だからなー)
と、来てしまった。
 最後……と考えると、カゲのことが頭にチラついて胸の奥が尖った何かでチクチクされてるみたいで、しぜん鼻の奥がつんと熱くなってくる。
(寒い……)
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