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ユニコーン
32動いた岩達
しおりを挟む「おいっロジェ!!離れない方がいい!!」
俺はくすぐったくて思わずランズの手を払い退けてランズから距離をとってしまった。
すると薄暗かったダンジョン内が一瞬、無数にキラリと光って、そこら中の岩だと思っていた場所が一斉に動いた。
「えっ?」
「ゴ……ゴ……ゴゴッゴゴゴゴ……」
突然ゴゴゴゴゴ……と地響きが鳴り出し、岩だと思っていた物が変化して一角獣のユニコーンの大群として一気に襲ってくる!!
「うわあああーー!!!ユニコーン!!それも大群だー!!」
「ロジェ!!引き返すぞ!!服を洗った泉付近に魔法陣を設置してあるからそこまで走れ!!」
ユニコーンは魔獣の中でも幻獣種と言われる生物で出会ったが最後必ず死ぬと言われるS級ランクの強敵だった。
そして人間よりも賢く、万が一遭遇すれば逃げるしか生き延びる方法は無いと言われているんだ。
一頭だけでも敵わないのに、そのユニコーンの大群なんて……上級冒険者達が帰って来れない訳が分かった気がした。
とにかく俺達は一心不乱に逃げた。
ランズは俺より足が早く、俺の先を行ってくれるのでランズから離れない様一生懸命逃げた。
先に魔法陣を設置した地点に到着したランズは魔法陣を発動させ、「ロジェ早くっ!!」と俺に手を伸ばす。
後ろから激しくユニコーンが追ってきているけど間に合いそうか!!
ギリギリユニコーンに追い付かれずにランズの手を取ろうと思った瞬間、後ろから迫っていたユニコーンの一頭が俺の背中を体当たりしてきた。
「がはっ!!」
「ロ、ロジェー!!」
俺は上に吹っ飛ばされた。
ランズは最後まで諦めずに俺に手を伸ばしていたが、ランズも転移の発動と同時に魔法陣がユニコーンの大群に埋もれてしまった。
俺はユニコーンに突き上げられた影響で吹っ飛ばされながらスローモーションの様にランズの転移と魔法陣がユニコーンに埋もれてしまう様子をゆっくり見ていた。
ランズが最後まで何か叫んでいたけど良く分からない。
ただ分かるのはランズも転移できたのかは分からなくて吹っ飛んだ俺も地面に落ちたら今度こそ追ってきたユニコーンの大群で死ぬと言う事だ。
ああ……なんかこんな状況なのに俺って意外と冷静なんだな。
死ぬ直前ってこんな感じなのかなって俺は背中が痛いと思いつつ……そんな事を考えながら意識を失い下に落ちていった。
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