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26 略奪(カイン視点)
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今日も朝から執務室で仕事だった。
父上の代わりに仕事をするようになって何年経つだろう。
父上もそろそろ限界だろう。
確実に臥せっている時間が長くなってきた。
だが、それは最初から想定していた事だ。
当の本人は気づいていなかったようだが…。
体調を崩すようになってようやく、自分の身に何か起きているか気づいたようだ。
もっとも気づいた所でもう止めらないのだけれど。
あとはフェリクスが来るまで持ちこたえられるかどうかだな。
密かにフェリクスを監視させていたところ、最近王都に戻ってきたようだ。
さて、仕事も片付いたし、久しぶりに町へ行ってみるとしよう。
そう思い立ち側近達に準備をさせる。
最近は町に出ても私の姿を見ると、若い娘達はそそくさと家の中へと隠れてしまうし、親も出て来ないように言い含めている。
偶に、金目当てに娘を無理矢理差し出してくる親もいるが。
こちらとしては楽しませてくれるのなら何でもいい。
最もこちらの眼鏡に適う女でなければ相手にもしないけれど。
今日は王都の外れまで行くため馬車でなく馬を用意させた。護衛と共に馬を走らせる。
最近耳にしたある噂を確かめるために。
馬を走らせていると、やがて一軒の孤児院の前に着いた。
馬を降りて、門の方へと歩く。
近くにいる平民達が何事かと遠巻きにこちらを見ている。
「この孤児院みたいですね」
側近の一人が、門にかけられた看板を確認して私に報告する。
中に入ろうとした所で、誰かが門を開けて出て来た。
赤毛の娘、‥‥こいつか。
確かに面影がある。
名前は確かシェリルと言ったか?
シェリルは私達の姿を見て怪訝そうな顔をするが、高貴な人物だと気づいたのだろう。少し取り繕ったような笑顔をこちらに向けてきた。
「何か御用でしょうか?」
私はすぐには答えずにシェリルの側に近寄った。
シェリルは警戒したように身構えるが、私はその腕をグィと掴む。
「お前が気に入った。一緒に来てもらおうか」
「嫌です! 離してください」
シェリルは私に掴まれた腕を振り払おうとする。
「シェリル!」
声がした方へ顔を向けるとそこには一人の人物が立っていた。
「フェル!」
シェリルがその人物の名前を呼ぶ。
フェル?
改めてその人物の顔を見て、成長したフェリクスだと気付いた。
シェリルが私の手を振りほどいてフェリクスに駆け寄ろうとしたが、そんなことは許さない。
腕を引っ張るとよろめいたのでその身体をがっちりと抱きとめる。
フェリクスは思ったとおり王妃に瓜二つの姿に成長していた。
だが、髪の色を平凡な茶色にしているのが面白くない。
「フェリクスか。久しぶりだな。‥‥何だ? もしかしてこの女はお前の恋人か?」
まさかこの二人がそんな関係になっているとは思いも寄らなかった。ますます楽しくなりそうだ。
フェリクスもすぐに私が誰か気づいたようだ。
今にも飛びかかってきそうな顔をしている。
だが、先ずはあいつの髪を元に戻すとしよう。
フェリクスに向かって魔力を放出すると髪の色が元のシルバーブロンドに戻った。
ああ、やはりこの色が一番似合う。
フェリクスの髪の色が変化した事にシェリルが驚いている。どうやら知らなかったみたいだな。
「何だ。恋人なのに知らなかったのか。あいつは元王子だ」
フェリクスの正体をバラしてやると、シェリルは愕然とした顔を見せる。
フェリクスが私達に近寄ろうとするが、側近が剣を抜いたせいで迂闊に近寄れないようだ。
所構わず魔力を放出して攻撃してこない辺り、まだまだ甘い奴だな。
「お前の用があるのは僕だろう。シェリルを離してくれ」
そんな風に懇願されたところで、返すつもりなど全くない。
フェリクスの言葉を聞いたシェリルが身をよじって私から逃げようとする。
その耳元へそっと囁いた。
「お前を捨てた親の事を知りたくないか?」
流石にその一言は効果てきめんだったようだ。
すっかり大人しくなったシェリルにフェリクスが困惑している。
そんなフェリクスを尻目に私はシェリルと共に馬に跨がる。
「返して欲しければ王宮まで来い! 最も無事に辿り着けるかな?」
そのまま王宮へと馬を走らせる。
さぁ、早く来い! フェリクス!
王宮へ来た時、お前がどんな顔を見せるのか楽しみだ。
父上の代わりに仕事をするようになって何年経つだろう。
父上もそろそろ限界だろう。
確実に臥せっている時間が長くなってきた。
だが、それは最初から想定していた事だ。
当の本人は気づいていなかったようだが…。
体調を崩すようになってようやく、自分の身に何か起きているか気づいたようだ。
もっとも気づいた所でもう止めらないのだけれど。
あとはフェリクスが来るまで持ちこたえられるかどうかだな。
密かにフェリクスを監視させていたところ、最近王都に戻ってきたようだ。
さて、仕事も片付いたし、久しぶりに町へ行ってみるとしよう。
そう思い立ち側近達に準備をさせる。
最近は町に出ても私の姿を見ると、若い娘達はそそくさと家の中へと隠れてしまうし、親も出て来ないように言い含めている。
偶に、金目当てに娘を無理矢理差し出してくる親もいるが。
こちらとしては楽しませてくれるのなら何でもいい。
最もこちらの眼鏡に適う女でなければ相手にもしないけれど。
今日は王都の外れまで行くため馬車でなく馬を用意させた。護衛と共に馬を走らせる。
最近耳にしたある噂を確かめるために。
馬を走らせていると、やがて一軒の孤児院の前に着いた。
馬を降りて、門の方へと歩く。
近くにいる平民達が何事かと遠巻きにこちらを見ている。
「この孤児院みたいですね」
側近の一人が、門にかけられた看板を確認して私に報告する。
中に入ろうとした所で、誰かが門を開けて出て来た。
赤毛の娘、‥‥こいつか。
確かに面影がある。
名前は確かシェリルと言ったか?
シェリルは私達の姿を見て怪訝そうな顔をするが、高貴な人物だと気づいたのだろう。少し取り繕ったような笑顔をこちらに向けてきた。
「何か御用でしょうか?」
私はすぐには答えずにシェリルの側に近寄った。
シェリルは警戒したように身構えるが、私はその腕をグィと掴む。
「お前が気に入った。一緒に来てもらおうか」
「嫌です! 離してください」
シェリルは私に掴まれた腕を振り払おうとする。
「シェリル!」
声がした方へ顔を向けるとそこには一人の人物が立っていた。
「フェル!」
シェリルがその人物の名前を呼ぶ。
フェル?
改めてその人物の顔を見て、成長したフェリクスだと気付いた。
シェリルが私の手を振りほどいてフェリクスに駆け寄ろうとしたが、そんなことは許さない。
腕を引っ張るとよろめいたのでその身体をがっちりと抱きとめる。
フェリクスは思ったとおり王妃に瓜二つの姿に成長していた。
だが、髪の色を平凡な茶色にしているのが面白くない。
「フェリクスか。久しぶりだな。‥‥何だ? もしかしてこの女はお前の恋人か?」
まさかこの二人がそんな関係になっているとは思いも寄らなかった。ますます楽しくなりそうだ。
フェリクスもすぐに私が誰か気づいたようだ。
今にも飛びかかってきそうな顔をしている。
だが、先ずはあいつの髪を元に戻すとしよう。
フェリクスに向かって魔力を放出すると髪の色が元のシルバーブロンドに戻った。
ああ、やはりこの色が一番似合う。
フェリクスの髪の色が変化した事にシェリルが驚いている。どうやら知らなかったみたいだな。
「何だ。恋人なのに知らなかったのか。あいつは元王子だ」
フェリクスの正体をバラしてやると、シェリルは愕然とした顔を見せる。
フェリクスが私達に近寄ろうとするが、側近が剣を抜いたせいで迂闊に近寄れないようだ。
所構わず魔力を放出して攻撃してこない辺り、まだまだ甘い奴だな。
「お前の用があるのは僕だろう。シェリルを離してくれ」
そんな風に懇願されたところで、返すつもりなど全くない。
フェリクスの言葉を聞いたシェリルが身をよじって私から逃げようとする。
その耳元へそっと囁いた。
「お前を捨てた親の事を知りたくないか?」
流石にその一言は効果てきめんだったようだ。
すっかり大人しくなったシェリルにフェリクスが困惑している。
そんなフェリクスを尻目に私はシェリルと共に馬に跨がる。
「返して欲しければ王宮まで来い! 最も無事に辿り着けるかな?」
そのまま王宮へと馬を走らせる。
さぁ、早く来い! フェリクス!
王宮へ来た時、お前がどんな顔を見せるのか楽しみだ。
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