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26 丸太小屋
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鳥籠に閉じ込められた僕は何とか脱出しようと試みるが、何処にも出口が見当たらなかった。
何処かに扉があるはずなのに、そんな物は一切見受けられない。
柵の隙間から手や足は出せるものの、頭はとても通りそうにない。
(身体が大きくなる事はあっても小さくなる事は出来ないのかよ…)
だが、一体この二人は何者なのだろうか?
どうして僕を捕まえたりしたんだろうか?
チャーリーとミリルは森の中を進んでいき、前方に現れた小屋へと入っていった。
外観は普通の丸太小屋だったのだが、中はまるで違う内装になっていた。
チャーリーは部屋の中央にあるテーブルに僕が入っている鳥籠を置いた。
「いつまでもこんな子供の姿はしてられないな」
チャーリーはそう呟くと、パッと自分の姿を変えた。
そこに現れたのはコウモリのような羽を持ち、頭に山羊のような角を生やし、毛むくじゃらの足に蹄、先の尖った尻尾を持った悪魔だった。
そしてミリルも翼の生えた長い髪を持つ女の悪魔へと姿を変えていた。
「お前達は悪魔だったのか!?」
鳥籠の柵を握りしめたまま、叫んだ僕を見て二人は可笑しそうに笑った。
「おや、僕達が悪魔だと気付いたのか。ダークエルフの女王が気にかけているだけの事はあるな」
「ほんとね。それで兄さん、これからどうするの?」
口元に笑みを浮かべたミリルが、鳥籠の僕に顔を近付けてくる。
その顔を引っ掻いてやろうと手を伸ばすが、ギリギリの所で手が届かない。
そんな僕をチャーリーはニヤニヤと笑って見ている。
「ダークエルフの女王にこいつを売りつけにいくかな? ちょっかいを出すだけで始末しないなんて何を考えているのか知らないけどさ。こうして僕達が捕まえて持っていってやれば、感謝されるんじゃないかな?」
持っていくって…。
僕の事をモノ扱いするなんて…。
「誰がダークエルフの女王の所なんかに行くか! さっさとここから出すんだ!」
大声で怒鳴るが、チャーリーもミリルも笑って見ているだけだ。
「元気だけはいいな。そんなに慌てなくてもダークエルフの女王の所に行けば出してもらえるよ。もっともその時に生きているかどうかは知らないがね」
クックッと笑うチャーリーを睨みつけるが、彼はまるで意に介していないようだ。
(くそっ! このままダークエルフの女王の所に連れて行かれるのか?)
そう思っていた時、突然扉が開いた。
******
蔓に巻き付かれて身動きが取れなくなったレオは、鳥籠に閉じ込められたフィルが遠ざかって行くのをただ見ている事しか出来なかった。
「くそっ! フィル!」
藻掻けば藻掻くほど蔓がレオの身体に食い込んでくる。
このままどうする事も出来ないのか、と諦めていると空から何かが近づいてくるのが見えた。
それが近づくにつれて、一頭の灰色の馬だとわかった。
(馬が空を飛んでる? 羽もないのに?)
だが、よく見るとその足は八本あった。
(スレイプニルだ!)
スレイプニルは地面に降り立つと、レオの元へ駆け寄ってきた。
そしてレオを縛っている蔓を食いちぎって、レオの身体を自由にする。
「ありがとう、助かったよ」
「いいえ。それよりも早くフィルバート様を助けに行きましょう」
「助けに行くのはいいけれど、フィルが何処に連れて行かれたのかわかるのか」
「もちろんです。さあ、私の背中に乗ってください」
「わかった」
レオがスレイプニルの背中に乗ってたてがみを掴むと、スレイプニルは勢いよく走り出した。
あまりの早さにレオは振り落とされないようにしがみついているのがやっとだった。
程なくして前方に丸太小屋が見えてきた。
(こんな森の中に丸太小屋? 一体誰が建てたんだ?)
スレイプニルは速度を落とす事なく、そのままの勢いで、丸太小屋へと飛び込んだ。
何処かに扉があるはずなのに、そんな物は一切見受けられない。
柵の隙間から手や足は出せるものの、頭はとても通りそうにない。
(身体が大きくなる事はあっても小さくなる事は出来ないのかよ…)
だが、一体この二人は何者なのだろうか?
どうして僕を捕まえたりしたんだろうか?
チャーリーとミリルは森の中を進んでいき、前方に現れた小屋へと入っていった。
外観は普通の丸太小屋だったのだが、中はまるで違う内装になっていた。
チャーリーは部屋の中央にあるテーブルに僕が入っている鳥籠を置いた。
「いつまでもこんな子供の姿はしてられないな」
チャーリーはそう呟くと、パッと自分の姿を変えた。
そこに現れたのはコウモリのような羽を持ち、頭に山羊のような角を生やし、毛むくじゃらの足に蹄、先の尖った尻尾を持った悪魔だった。
そしてミリルも翼の生えた長い髪を持つ女の悪魔へと姿を変えていた。
「お前達は悪魔だったのか!?」
鳥籠の柵を握りしめたまま、叫んだ僕を見て二人は可笑しそうに笑った。
「おや、僕達が悪魔だと気付いたのか。ダークエルフの女王が気にかけているだけの事はあるな」
「ほんとね。それで兄さん、これからどうするの?」
口元に笑みを浮かべたミリルが、鳥籠の僕に顔を近付けてくる。
その顔を引っ掻いてやろうと手を伸ばすが、ギリギリの所で手が届かない。
そんな僕をチャーリーはニヤニヤと笑って見ている。
「ダークエルフの女王にこいつを売りつけにいくかな? ちょっかいを出すだけで始末しないなんて何を考えているのか知らないけどさ。こうして僕達が捕まえて持っていってやれば、感謝されるんじゃないかな?」
持っていくって…。
僕の事をモノ扱いするなんて…。
「誰がダークエルフの女王の所なんかに行くか! さっさとここから出すんだ!」
大声で怒鳴るが、チャーリーもミリルも笑って見ているだけだ。
「元気だけはいいな。そんなに慌てなくてもダークエルフの女王の所に行けば出してもらえるよ。もっともその時に生きているかどうかは知らないがね」
クックッと笑うチャーリーを睨みつけるが、彼はまるで意に介していないようだ。
(くそっ! このままダークエルフの女王の所に連れて行かれるのか?)
そう思っていた時、突然扉が開いた。
******
蔓に巻き付かれて身動きが取れなくなったレオは、鳥籠に閉じ込められたフィルが遠ざかって行くのをただ見ている事しか出来なかった。
「くそっ! フィル!」
藻掻けば藻掻くほど蔓がレオの身体に食い込んでくる。
このままどうする事も出来ないのか、と諦めていると空から何かが近づいてくるのが見えた。
それが近づくにつれて、一頭の灰色の馬だとわかった。
(馬が空を飛んでる? 羽もないのに?)
だが、よく見るとその足は八本あった。
(スレイプニルだ!)
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そしてレオを縛っている蔓を食いちぎって、レオの身体を自由にする。
「ありがとう、助かったよ」
「いいえ。それよりも早くフィルバート様を助けに行きましょう」
「助けに行くのはいいけれど、フィルが何処に連れて行かれたのかわかるのか」
「もちろんです。さあ、私の背中に乗ってください」
「わかった」
レオがスレイプニルの背中に乗ってたてがみを掴むと、スレイプニルは勢いよく走り出した。
あまりの早さにレオは振り落とされないようにしがみついているのがやっとだった。
程なくして前方に丸太小屋が見えてきた。
(こんな森の中に丸太小屋? 一体誰が建てたんだ?)
スレイプニルは速度を落とす事なく、そのままの勢いで、丸太小屋へと飛び込んだ。
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