攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅

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ダンジョン編

9 仕掛け

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 未だに宝箱から見つけた鍵の出番もないまま、僕達は次の階に向かった。

 階段を上がった先には大きな四角い岩が三つ、等間隔で横一列に並んでいた。

「デカい岩だな。大人の身長くらいあるんじゃないか?」

 サミュエル君が岩を見上げながら、コンコンと岩を叩く。

 正方形の形をした岩は確かに一辺が二メートルくらいありそうな大きな岩だ。

「こんな大きな岩が三つもあって、よく床が抜けないね」 

 岩と岩の間をすり抜けながら先に進むと、その先には目を疑う光景が広がっていた。

 部屋の真ん中はポッカリと穴が空いていて、向こう側に渡る通路はちょうど岩と同じくらいの広さしかない。

 恐る恐る空いた穴に近付くと、底が見えないくらい真っ暗だった。

「何これ! どうなっているんだ!?」

 階段はせいぜい二十段くらいしかなかったから、下が見えないはずがない。

 こわごわと通路を進んで行くと、向こう側の床には少し出っ張ったボタンのような物が三箇所あった。

「ボタンにしては形も大きさも変わってるね。何だろう?」

 僕は近付いて行ってそのボタンのような物を観察した。

 大きさは1メートルくらいあって、穴に向かっている側から少し斜めに出っ張っている。

「さあね。そんなのは放っておいて先に進もうよ。あそこが出口みたいだよ」

 サミュエル君の指差す方を見ると、確かに壁とは違う色の扉がそこにあった。

 けれど、肝心なドアノブが見当たらない。

「サミィ、この扉にはドアノブが無いよ」

 ドアノブが無いから扉を引いて開ける事が出来ない。

 手で押してみたが、扉はピクリとも動かなかった。

 鍵穴も見当たらないので、見つけた鍵を使うのでもないようだ。

「ここまで来たのに、この先には進めないのか? …あれ? 何か書いてある」

 サミュエル君の言う通り、扉には文字が刻まれていた。

『力を合わせて動かせば、道は拓けるだろう』

「動かすってまさか、あの岩の事かな?」

 サミュエル君に問われて僕はゲームで似たような展開の場面を思い出した。

 大きな岩を動かしてスイッチを押させて、扉を開いたりする場面だ。

 そう考えればあのボタンが斜めになっている事にも合点がいく。

「あの岩を動かしてこのボタンの上に乗せるんだよ。サミィ、一緒に動かそう」

 僕は抱っこしていたノワールをその場に降ろすと、通路を渡って向こう側に向かった。

「こんな大きな岩、僕達で動かせるのかな?」 

 サミュエル君が岩を見上げながらボヤくけれど、『力を合わせて…』と書かれているのだから、決して動かせない物ではないはずだ。

 それにいざとなったら身体強化を使えばいい。

 それ以上に問題は、岩と同じくらいの幅の通路から岩を落とさないように向こう側に持っていけるかどうかだ。

 まずは通路に一番近い真ん中の岩から押す事にした。

「いいかい、サミィ。せーので押すよ」

 力を込めて岩を押したが、思ったよりも岩は軽いようでスッと動いた。

「思っていたよりも軽いみたいだね。もしかしたら大人の姿にならなきゃいけないかと思ってたよ」

 サミュエル君が何処かホッとしたように笑いかけてくる。

 軽いとは言っても子供二人が推すにはそれなりに力がいった。

 ましてや通路は岩と同じ幅しかないのだ。

 真ん中の岩はそのまままっすぐ押せば良かったが、後の二つは通路の幅に合わせるのに少々苦労した。

 穴に落とす事もなく三つの岩をボタンの上に移動させた時には、二人共汗だくになっていた。

「よし! これで最後だ」

 三つ目の岩をボタンの上に移動させると、カチッという音と共に扉がスッと横に開いた。

「やった! 扉が開いたぞ!」

 僕達が手を叩き合って喜んでいると、ノワールがピョンと僕に飛び付いてきた。

『アル~、早く行こうよ~』

 ペロリと僕の汗を舐めてくるノワールを抱きかかえて、僕達はその扉を抜けた。
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