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24 そして誰もいなくなった
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アラスター王太子が出て行ってからしばらくすると、再び部屋の扉がノックされた。
「お客様のお食事をお持ちいたしました」
国王陛下が言う通りにこちらに私の食事を運ばせたようだ。
エイダが受け取りのために扉を開けに行き、しばらくしてワゴンを押して戻って来た。
「私の分も一緒に用意されているようです。あちらのテーブル席にご用意いたします」
「ありがとう。エイダの分も一緒に並べていいわ。一緒に夕食を摂りましょう」
エイダは一瞬、目を大きくして驚いた様子を見せたが。すぐに表情を元に戻すと「かしこまりました」と頷いた。
エイダだけに準備をして貰うのが忍びなくて、私も一緒に皿を並べていく。
「まあ、キャサリン様。どうか座っていらしてくださいませ」
エイダが止めようとするが、私は構わずに作業を続ける。
「これくらい、大した手間じゃないわ。それに今はアラスター王太子もいらっしゃらないから、エイダが叱られる事もないしね」
ワゴンからお皿とカトラリーを並べ終えてから、エイダと向かい合わせに席に着いた。
食べ始める前にエイダが一つ一つの皿に手をかざして、毒が入っていないかどうかを確認していく。
「どれも問題ありません」
エイダのお墨付きをもらって安心して食事を進める。
私に毒を盛ろうとする人物がいるとは思えないけれど、自衛は必要よね。
私よりもアラスター王太子の方が色々と盛られそうな気がするけれど、そこはウォーレンが対処しているようだ。
「この能力があるからこそ王妃様の侍女となり、アラスター王太子の乳母になれたのです」
エイダが話してくれた事によると、王妃様は結婚してもなかなか身籠らなかったそうだ。
周りが側妃を進めても国王陛下は頑として譲らなかったらしい。
エイダが侍女として仕えるようになってすぐに、王妃様の飲み物に堕胎薬が入っている事を突き止めた。
残念ながら堕胎薬を飲ませていた犯人は見つからなかったが、その後アラスター王太子を身籠る事が出来たそうだ。
側妃を拒むほど前王妃を愛していたはずの国王陛下が、今ではブリジットに夢中になっているなんてね。
食事を終えて皿をワゴンに戻すと、エイダはそれを厨房に戻しに行くと言って、部屋を出て行った。
一人きりになって、私はソファーへともたれかかった。
呪いさえなければ、今すぐにでも王宮が出て行けるのに…。
一体誰が私に呪いをかけたのだろう?
エヴァンズ王国の令嬢達とはそれなりに良好な関係を築いていたつもりだけれど、それは私だけがそう思っていたのだろうか?
いくら考えても答えは出てこない。
エイダは一旦戻ってきたが、私のお風呂の準備をすると、他に用事があると言って申し訳なさそうに暇を告げた。
元々はアラスター王太子の乳母であるから、私にベッタリ付いているわけにもいかないのだろう。
私は一人で入浴を終えると、さっさとベッドに潜って寝る事にした。
翌朝、目を覚ますと部屋の隅にエイダが控えていた。
身支度をして朝食を終えた頃、ノックの音と共にアラスター王太子が入ってきた。
「おはよう、キャサリン嬢。申し訳ないが、今日はどうしても外せない仕事があるんだ。エイダも他に仕事があってキャサリン嬢の側にいられないが、許してくれ」
朝からアラスター王太子に頭を下げられて、私はフルフルと首を振る。
「それは仕方がありませんわ。私は一人で大丈夫ですから、頑張ってお仕事をしてきてください」
アラスター王太子を激励したつもりなのだけれど、何故かがっかりされた。
言葉のチョイスを間違えたかしら?
名残惜しそうにアラスター王太子が出て行って、私は一人部屋に残された。
…さて、これからどうしよう?
「お客様のお食事をお持ちいたしました」
国王陛下が言う通りにこちらに私の食事を運ばせたようだ。
エイダが受け取りのために扉を開けに行き、しばらくしてワゴンを押して戻って来た。
「私の分も一緒に用意されているようです。あちらのテーブル席にご用意いたします」
「ありがとう。エイダの分も一緒に並べていいわ。一緒に夕食を摂りましょう」
エイダは一瞬、目を大きくして驚いた様子を見せたが。すぐに表情を元に戻すと「かしこまりました」と頷いた。
エイダだけに準備をして貰うのが忍びなくて、私も一緒に皿を並べていく。
「まあ、キャサリン様。どうか座っていらしてくださいませ」
エイダが止めようとするが、私は構わずに作業を続ける。
「これくらい、大した手間じゃないわ。それに今はアラスター王太子もいらっしゃらないから、エイダが叱られる事もないしね」
ワゴンからお皿とカトラリーを並べ終えてから、エイダと向かい合わせに席に着いた。
食べ始める前にエイダが一つ一つの皿に手をかざして、毒が入っていないかどうかを確認していく。
「どれも問題ありません」
エイダのお墨付きをもらって安心して食事を進める。
私に毒を盛ろうとする人物がいるとは思えないけれど、自衛は必要よね。
私よりもアラスター王太子の方が色々と盛られそうな気がするけれど、そこはウォーレンが対処しているようだ。
「この能力があるからこそ王妃様の侍女となり、アラスター王太子の乳母になれたのです」
エイダが話してくれた事によると、王妃様は結婚してもなかなか身籠らなかったそうだ。
周りが側妃を進めても国王陛下は頑として譲らなかったらしい。
エイダが侍女として仕えるようになってすぐに、王妃様の飲み物に堕胎薬が入っている事を突き止めた。
残念ながら堕胎薬を飲ませていた犯人は見つからなかったが、その後アラスター王太子を身籠る事が出来たそうだ。
側妃を拒むほど前王妃を愛していたはずの国王陛下が、今ではブリジットに夢中になっているなんてね。
食事を終えて皿をワゴンに戻すと、エイダはそれを厨房に戻しに行くと言って、部屋を出て行った。
一人きりになって、私はソファーへともたれかかった。
呪いさえなければ、今すぐにでも王宮が出て行けるのに…。
一体誰が私に呪いをかけたのだろう?
エヴァンズ王国の令嬢達とはそれなりに良好な関係を築いていたつもりだけれど、それは私だけがそう思っていたのだろうか?
いくら考えても答えは出てこない。
エイダは一旦戻ってきたが、私のお風呂の準備をすると、他に用事があると言って申し訳なさそうに暇を告げた。
元々はアラスター王太子の乳母であるから、私にベッタリ付いているわけにもいかないのだろう。
私は一人で入浴を終えると、さっさとベッドに潜って寝る事にした。
翌朝、目を覚ますと部屋の隅にエイダが控えていた。
身支度をして朝食を終えた頃、ノックの音と共にアラスター王太子が入ってきた。
「おはよう、キャサリン嬢。申し訳ないが、今日はどうしても外せない仕事があるんだ。エイダも他に仕事があってキャサリン嬢の側にいられないが、許してくれ」
朝からアラスター王太子に頭を下げられて、私はフルフルと首を振る。
「それは仕方がありませんわ。私は一人で大丈夫ですから、頑張ってお仕事をしてきてください」
アラスター王太子を激励したつもりなのだけれど、何故かがっかりされた。
言葉のチョイスを間違えたかしら?
名残惜しそうにアラスター王太子が出て行って、私は一人部屋に残された。
…さて、これからどうしよう?
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