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46 私を研究室に連れてって
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翌朝、目を覚ますと天蓋ベッドの幕の向こうからエイダに声をかけられた。
「おはようございます、キャサリン様。幕を開けてもよろしいでしょうか?」
こちらに来ているということはオリヴァーには誰かが付き添っているのだろうか?
「ええ、いいわ。だけどオリヴァー様の側に付いていなくていいのかしら?」
了承を伝えると、エイダは幕を開けながらオリヴァーの事を話してくれた。
「オリヴァー様は大丈夫です。ケンブル先生もいらっしゃいますし、あらかたの準備はしてまいりました。オリヴァー様は魔道具作りに興味を示されたようで、今日は一日ケンブル先生の作業を見学されるそうです」
オリヴァーも今回の件が片付くまでは私と一緒で引きこもり状態になるようだ。
それでもオリヴァーの場合は今後の扱いが難しいだろう。
表立っては処刑された事にしても、現国王の血を引く者だと言う事に変わりはない。
オリヴァーを旗頭にして王位乗っ取りを考える輩が出てこないとも限らない。
それを考えると身元引受人を選ぶのにも慎重にしなければならないだろう。
国王陛下も色々と悩ましい事ではあるわね。
それにしてもケンブル先生の作業の見学って面白そうね。
私もお邪魔しちゃおうかしら。
そうすればエイダも私とオリヴァーの間を行ったり来たりしなくてもすむわね。
朝食を終えるといつものようにアラスター王太子が私の部屋を訪ねてきた。
「おはようございます、キャサリン嬢」
「おはようございます、アラスター王太子。お願いがあるのですが聞いてもらえますか?」
「お願いですか? 僕に出来る事でしたら何でも…」
「ケンブル先生の所に行きたいんです」
お願いと言われて嬉しそうな顔をしたアラスター王太子が、途端にがっかりしたような顔になる。
何か違う事を期待させてしまったのかしら?
だとしたら申し訳ないわね。
「ケンブル先生の所ですか。…わかりました。これから行きましょう」
私の部屋を出てアラスター王太子の部屋の『どこでも◯ア』からケンブル先生の研究室に向かう。
「あ、兄上にキャサリン嬢。おはようございます。どうしてこちらに?」
机に向かって何かに没頭しているケンブル先生の横にいたオリヴァーが、真っ先に私達に気付いて声をあげる。
「おはよう、オリヴァー。何か不自由している事はないか?」
アラスター王太子がオリヴァーの頭に優しく手をおいて、オリヴァーの様子を気にしている。
母親を処刑されるオリヴァーを気遣っているようだ。
「ありがとうございます、兄上。僕は大丈夫です。それよりもどうしてこちらに?」
コテンと首を傾げる仕草が無茶苦茶可愛いわ。
「私がお願いしたんです。ケンブル先生の作業を見学したいって」
「そうなんですね。良かった。ケンブル先生は作業に没頭しちゃうと、僕にかまってくれないのでちょっと寂しかったんです。キャサリン嬢がいてくれるのなら寂しくないですね」
そんなキラキラな笑顔を向けられるとハートを鷲掴みされそうだわ。
「…そうだな。それじゃあオリヴァー。キャサリン嬢を頼むぞ」
ワシャワシャとオリヴァーの頭を撫でると、アラスター王太子は私に向き直る。
「キャサリン嬢、それでは僕はこれで失礼します。どうかオリヴァーをお願いします」
「わかりました、アラスター王太子。エイダもいますから、何も心配はありませんわ。お仕事頑張ってくださいね」
アラスター王太子を激励するために言った言葉だったけれど、その効果はバツグンだったようだ。
途端にアラスター王太子は、ぱっと顔を輝かせると意気揚々と『どこでも◯ア』を開けて出て行った。
置いていかれそうになったウォーレンが慌てて後を追いかけて行く。
エイダがやれやれとばかりに頭を振っている。
そんな中、ケンブル先生は顔も上げずに黙々と作業を続けているのだった。
「おはようございます、キャサリン様。幕を開けてもよろしいでしょうか?」
こちらに来ているということはオリヴァーには誰かが付き添っているのだろうか?
「ええ、いいわ。だけどオリヴァー様の側に付いていなくていいのかしら?」
了承を伝えると、エイダは幕を開けながらオリヴァーの事を話してくれた。
「オリヴァー様は大丈夫です。ケンブル先生もいらっしゃいますし、あらかたの準備はしてまいりました。オリヴァー様は魔道具作りに興味を示されたようで、今日は一日ケンブル先生の作業を見学されるそうです」
オリヴァーも今回の件が片付くまでは私と一緒で引きこもり状態になるようだ。
それでもオリヴァーの場合は今後の扱いが難しいだろう。
表立っては処刑された事にしても、現国王の血を引く者だと言う事に変わりはない。
オリヴァーを旗頭にして王位乗っ取りを考える輩が出てこないとも限らない。
それを考えると身元引受人を選ぶのにも慎重にしなければならないだろう。
国王陛下も色々と悩ましい事ではあるわね。
それにしてもケンブル先生の作業の見学って面白そうね。
私もお邪魔しちゃおうかしら。
そうすればエイダも私とオリヴァーの間を行ったり来たりしなくてもすむわね。
朝食を終えるといつものようにアラスター王太子が私の部屋を訪ねてきた。
「おはようございます、キャサリン嬢」
「おはようございます、アラスター王太子。お願いがあるのですが聞いてもらえますか?」
「お願いですか? 僕に出来る事でしたら何でも…」
「ケンブル先生の所に行きたいんです」
お願いと言われて嬉しそうな顔をしたアラスター王太子が、途端にがっかりしたような顔になる。
何か違う事を期待させてしまったのかしら?
だとしたら申し訳ないわね。
「ケンブル先生の所ですか。…わかりました。これから行きましょう」
私の部屋を出てアラスター王太子の部屋の『どこでも◯ア』からケンブル先生の研究室に向かう。
「あ、兄上にキャサリン嬢。おはようございます。どうしてこちらに?」
机に向かって何かに没頭しているケンブル先生の横にいたオリヴァーが、真っ先に私達に気付いて声をあげる。
「おはよう、オリヴァー。何か不自由している事はないか?」
アラスター王太子がオリヴァーの頭に優しく手をおいて、オリヴァーの様子を気にしている。
母親を処刑されるオリヴァーを気遣っているようだ。
「ありがとうございます、兄上。僕は大丈夫です。それよりもどうしてこちらに?」
コテンと首を傾げる仕草が無茶苦茶可愛いわ。
「私がお願いしたんです。ケンブル先生の作業を見学したいって」
「そうなんですね。良かった。ケンブル先生は作業に没頭しちゃうと、僕にかまってくれないのでちょっと寂しかったんです。キャサリン嬢がいてくれるのなら寂しくないですね」
そんなキラキラな笑顔を向けられるとハートを鷲掴みされそうだわ。
「…そうだな。それじゃあオリヴァー。キャサリン嬢を頼むぞ」
ワシャワシャとオリヴァーの頭を撫でると、アラスター王太子は私に向き直る。
「キャサリン嬢、それでは僕はこれで失礼します。どうかオリヴァーをお願いします」
「わかりました、アラスター王太子。エイダもいますから、何も心配はありませんわ。お仕事頑張ってくださいね」
アラスター王太子を激励するために言った言葉だったけれど、その効果はバツグンだったようだ。
途端にアラスター王太子は、ぱっと顔を輝かせると意気揚々と『どこでも◯ア』を開けて出て行った。
置いていかれそうになったウォーレンが慌てて後を追いかけて行く。
エイダがやれやれとばかりに頭を振っている。
そんな中、ケンブル先生は顔も上げずに黙々と作業を続けているのだった。
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