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60 騒動のその後
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「ブリジット様は国王陛下殺害未遂容疑で捕まった。宰相であるヘンリーもそれに加担した罪に問われている。ヘンリーはそれと同時にブリジット様と不義密通していたと言う話も出ているからな」
えっ、と思わずロナルドの顔を凝視してしまった。
宰相はただ単に国王陛下殺害に関与しただけかと思っていたけれど、まさかブリジットと男女の仲になっていたとは思わなかった。
サイモンはどこからともなく取り出したお酒をカップの中に注いでいる。
「だからあの女を王妃にするのはよせと言ったのにな。だが、イザベル様との婚姻を続けられたのは財務大臣のおかげだったから、ゴリ押しの再婚を呑むしかなかったのは理解できるがな」
私にはこの時のサイモンの言葉が良くわからなかったけれど、後で聞いた話によると、イザベル様はなかなか子供に恵まれなかったそうだ。
そうなると、当然のように別の女性との結婚や、側妃を娶るようにとの話が出てくる。
それを退けてくれたのがブリジットの父親である財務大臣だったそうだ。
それもあってイザベル様が亡くなられた後釜にブリジットと結婚するように迫られたらしい。
国王陛下にしてもイザベル様が亡くなられた以上、誰が後妻に来ても構わなかったのだろう。
まさかその後妻と宰相に裏切られるとは思ってもみなかったでしょうね。
「それで財務大臣はどうした?」
サイモンに問われてロナルドはチラリとアラスター王太子に視線を向ける。
その視線を受けてアラスター王太子が軽く頷いた。
「それは僕から話そう。今回の件に加担してはいなかったが、流石にお咎めなしにはならなかった。財務大臣を辞任させられて領地を半分没収、子爵まで爵位を落とされた」
なかなか厳しい処分を下されたようだ。
知らなかったとはいえ、自分の娘がそれだけの罪を犯したのだ。
一家全員処刑されなかっただけマシなのだろう。
「そうですか。それで? 今日はわざわざその事を告げるためだけに来られたんじゃないですよね、アラスター様」
やはりサイモンはアラスター王太子の事を知っていたのね。
まだ名乗ってもいなかったのに名前を呼ばれてアラスター王太子はちょっと目を見張っている。
「アラスター様とお会いしたのはまだお小さい頃でしたから覚えていらっしゃらないでしょうね。あの頃はこんな髭も生やしていませんでしたからね」
サイモンに言われてアラスター王太子は改めてサイモンの顔をじっくりと眺めていたが、やがてポンと手を打った。
「もしかして母上の花壇に花を植えた時の…? てっきり庭師だと思っていた…。いや、すまない」
「あの時はイザベル様に請われて一年中花を咲かせるお手伝いをしていましたからね。そう思われていても仕方がありません」
サイモンは懐かしそうに目を細めてアラスター王太子を見ていたが、すぐにその頬を引き締めた。
「ご要件を伺いましょうか、アラスター様」
アラスター王太子もそれに応えるように居住まいを正す。
「こちらのキャサリン嬢が誰かに呪いをかけられてしまったんだ。ぜひともサイモンに解呪をお願いしたい」
「呪いですと? そんなものに手を出す輩が未だにいるとは…。解呪が出来るかどうかはお約束出来かねますが、先ずはその呪いを見せていただきましょうか」
サイモンに促されて私はチラッとアラスター王太子に目を向けた。
アラスター王太子は私を安心させるように軽く頷く。
エイダにそっとこよりを渡されて、私はそれを使ってクシャミを促す。
「クシュン! クシュン!」
しまった!
二回も出ちゃった!
最初のクシャミで猫になった私は次のクシャミで人間に戻ってしまっていた。
えっ、と思わずロナルドの顔を凝視してしまった。
宰相はただ単に国王陛下殺害に関与しただけかと思っていたけれど、まさかブリジットと男女の仲になっていたとは思わなかった。
サイモンはどこからともなく取り出したお酒をカップの中に注いでいる。
「だからあの女を王妃にするのはよせと言ったのにな。だが、イザベル様との婚姻を続けられたのは財務大臣のおかげだったから、ゴリ押しの再婚を呑むしかなかったのは理解できるがな」
私にはこの時のサイモンの言葉が良くわからなかったけれど、後で聞いた話によると、イザベル様はなかなか子供に恵まれなかったそうだ。
そうなると、当然のように別の女性との結婚や、側妃を娶るようにとの話が出てくる。
それを退けてくれたのがブリジットの父親である財務大臣だったそうだ。
それもあってイザベル様が亡くなられた後釜にブリジットと結婚するように迫られたらしい。
国王陛下にしてもイザベル様が亡くなられた以上、誰が後妻に来ても構わなかったのだろう。
まさかその後妻と宰相に裏切られるとは思ってもみなかったでしょうね。
「それで財務大臣はどうした?」
サイモンに問われてロナルドはチラリとアラスター王太子に視線を向ける。
その視線を受けてアラスター王太子が軽く頷いた。
「それは僕から話そう。今回の件に加担してはいなかったが、流石にお咎めなしにはならなかった。財務大臣を辞任させられて領地を半分没収、子爵まで爵位を落とされた」
なかなか厳しい処分を下されたようだ。
知らなかったとはいえ、自分の娘がそれだけの罪を犯したのだ。
一家全員処刑されなかっただけマシなのだろう。
「そうですか。それで? 今日はわざわざその事を告げるためだけに来られたんじゃないですよね、アラスター様」
やはりサイモンはアラスター王太子の事を知っていたのね。
まだ名乗ってもいなかったのに名前を呼ばれてアラスター王太子はちょっと目を見張っている。
「アラスター様とお会いしたのはまだお小さい頃でしたから覚えていらっしゃらないでしょうね。あの頃はこんな髭も生やしていませんでしたからね」
サイモンに言われてアラスター王太子は改めてサイモンの顔をじっくりと眺めていたが、やがてポンと手を打った。
「もしかして母上の花壇に花を植えた時の…? てっきり庭師だと思っていた…。いや、すまない」
「あの時はイザベル様に請われて一年中花を咲かせるお手伝いをしていましたからね。そう思われていても仕方がありません」
サイモンは懐かしそうに目を細めてアラスター王太子を見ていたが、すぐにその頬を引き締めた。
「ご要件を伺いましょうか、アラスター様」
アラスター王太子もそれに応えるように居住まいを正す。
「こちらのキャサリン嬢が誰かに呪いをかけられてしまったんだ。ぜひともサイモンに解呪をお願いしたい」
「呪いですと? そんなものに手を出す輩が未だにいるとは…。解呪が出来るかどうかはお約束出来かねますが、先ずはその呪いを見せていただきましょうか」
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