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47 対決
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驚いて目を開けると、顔を真っ赤にしてサイラスが怒鳴った。
「何事だ! 誰にも攻撃されないように結界を張っていたんだぞ!」
攻撃を受けたって事は誰かが結界を破ったと言う事かしら。
サイラスは鉄格子から手を抜くと、扉の方を向いて身構えた。
ドタドタと足音が近付いて来て勢いよく扉が開かれた。
「サイラス! 見つけたぞ! 今日こそはお前を捕まえてやる!」
真っ先に顔を出したのは魔術師団長だった。
「ジェラード、お前が俺に勝てると思うのか?」
「サイラス、たとえ相討ちになったとしても絶対にお前を倒す!」
二人は睨み合ったまま動かないけれど、どちらの手にも魔力が集まっているのが垣間見える。
こんな狭い部屋で魔力を繰り出したら、周囲への影響が半端ないと思うんだけど、とばっちりは受けたくないわね。
二人が睨み合っている隙に他の魔術師の人が私が入っている檻に近付いて来た。
だけど、この檻には何処にも出入り口がないのよね。
一体どうやって私をこの檻の中に入れたのかしら?
「アリス様、少し離れてください」
魔術師の人に言われたけれど、私は相変わらず身体を動かす事が出来ない。
首を横に振ることすら出来ない私を見て、魔術師の人は私から一番遠い鉄格子に向かって手のひらをかざした。
手のひらから炎の玉が飛び出して鉄格子を焼き尽くす。
「貴様、何をしてる!」
サイラスが魔術師の人に向かって魔力を投げつけたが、何故かその魔力は魔術師の人が着ているローブに吸収された。
「な、何だと!?」
驚いているサイラスに向かって魔術師団長が魔力を放つ。
その魔力をギリギリのところで躱したサイラスは魔術師団長に向かって魔力を放った。
だが、その攻撃も魔術師団長の着ているローブに吸収されてしまった。
「貴様! 一体そのローブにどんな細工をしたんだ!」
ワナワナと怒りに震えるサイラスが問いただすが、魔術師団長はニヤリとする。
「そんな手の内を明かすような真似はしないよ。今のうちに降伏するのならば命までは奪わない。だが、これ以上抵抗すれば命の保障はないぞ!」
「うるさい! 誰がお前に降伏なんかするか! 俺の方がお前よりも優れているんだ!」
そう言うなりサイラスは魔術師団長に向かって再度魔力を繰り出すが、その攻撃は再びローブに吸い込まれていった。
「…サイラス… 仕方がない。エイブラム、やれ!」
魔術師団長の合図と共に、なにもない空間からエイブラムさんが姿を現した。
そしてあっけに取られているサイラスに向かって剣を振り下ろした。
サイラスは咄嗟にエイブラムに向かって魔力を放ったが、その魔力もエイブラムが身に着けていたローブに吸収された。
サイラスはエイブラムさんの剣に切り裂かれ、真っ赤な血が辺りに飛び散る。
身動きが出来ない私は飛び散る血を避けることも出来なかった。
エイブラムさんは素早く剣を仕舞うと焼けた鉄格子の隙間から私の所にやって来てクリーン魔法で血を洗い流してくれた。
「アリス様、お怪我は?」
「怪我は無いわ。助けに来てくれてありがとう」
魔術師の人が私の拘束を解いてくれたお陰で、ようやく口もきけるようになったわ。
それでも歩こうとすると身体が強張っていて思うように歩けない。
「アリス様、失礼いたします」
そう言うなりエイブラムさんは私を抱き上げた。
そのまま鉄格子を抜けて檻から出ると、倒れたサイラスの側に魔術師団長がしゃがんでいた。
「サイラス、何か言い残す事はないか?」
魔術師団長が尋ねるとサイラスはフッと笑いを漏らした。
「…なにも… ただ、そのローブの細工がわからないのが悔しい…」
「そうか。私があの世に行ったら教えてやるよ」
「…それは…楽しみ…」
サイラスはゴフリと血を吐くとそれきり動かなくなった。
魔術師団長は辛そうな顔でサイラスの目を閉じさせると俯いてしまった。
もしかしたらこの二人も同級生とかライバルとか呼べる関係だったのだろうか。
しんみりした空気を破るようにドタドタと足音が近付いて来た。
ん?
この足音はもしかして…
「アリス、大丈夫かい?」
案の定、姿を現したのはお兄様だった。
お兄様はエイブラムさんにお姫様抱っこされている私を見ると、エイブラムさんから引ったくるように私を奪い取った。
「さあ、アリス。私が部屋まで連れて行ってあげるよ」
私をお姫様抱っこしてご満悦のお兄様がニコニコと笑いかける。
そんなに長い時間このままなの?
ところでここは何処?
「何事だ! 誰にも攻撃されないように結界を張っていたんだぞ!」
攻撃を受けたって事は誰かが結界を破ったと言う事かしら。
サイラスは鉄格子から手を抜くと、扉の方を向いて身構えた。
ドタドタと足音が近付いて来て勢いよく扉が開かれた。
「サイラス! 見つけたぞ! 今日こそはお前を捕まえてやる!」
真っ先に顔を出したのは魔術師団長だった。
「ジェラード、お前が俺に勝てると思うのか?」
「サイラス、たとえ相討ちになったとしても絶対にお前を倒す!」
二人は睨み合ったまま動かないけれど、どちらの手にも魔力が集まっているのが垣間見える。
こんな狭い部屋で魔力を繰り出したら、周囲への影響が半端ないと思うんだけど、とばっちりは受けたくないわね。
二人が睨み合っている隙に他の魔術師の人が私が入っている檻に近付いて来た。
だけど、この檻には何処にも出入り口がないのよね。
一体どうやって私をこの檻の中に入れたのかしら?
「アリス様、少し離れてください」
魔術師の人に言われたけれど、私は相変わらず身体を動かす事が出来ない。
首を横に振ることすら出来ない私を見て、魔術師の人は私から一番遠い鉄格子に向かって手のひらをかざした。
手のひらから炎の玉が飛び出して鉄格子を焼き尽くす。
「貴様、何をしてる!」
サイラスが魔術師の人に向かって魔力を投げつけたが、何故かその魔力は魔術師の人が着ているローブに吸収された。
「な、何だと!?」
驚いているサイラスに向かって魔術師団長が魔力を放つ。
その魔力をギリギリのところで躱したサイラスは魔術師団長に向かって魔力を放った。
だが、その攻撃も魔術師団長の着ているローブに吸収されてしまった。
「貴様! 一体そのローブにどんな細工をしたんだ!」
ワナワナと怒りに震えるサイラスが問いただすが、魔術師団長はニヤリとする。
「そんな手の内を明かすような真似はしないよ。今のうちに降伏するのならば命までは奪わない。だが、これ以上抵抗すれば命の保障はないぞ!」
「うるさい! 誰がお前に降伏なんかするか! 俺の方がお前よりも優れているんだ!」
そう言うなりサイラスは魔術師団長に向かって再度魔力を繰り出すが、その攻撃は再びローブに吸い込まれていった。
「…サイラス… 仕方がない。エイブラム、やれ!」
魔術師団長の合図と共に、なにもない空間からエイブラムさんが姿を現した。
そしてあっけに取られているサイラスに向かって剣を振り下ろした。
サイラスは咄嗟にエイブラムに向かって魔力を放ったが、その魔力もエイブラムが身に着けていたローブに吸収された。
サイラスはエイブラムさんの剣に切り裂かれ、真っ赤な血が辺りに飛び散る。
身動きが出来ない私は飛び散る血を避けることも出来なかった。
エイブラムさんは素早く剣を仕舞うと焼けた鉄格子の隙間から私の所にやって来てクリーン魔法で血を洗い流してくれた。
「アリス様、お怪我は?」
「怪我は無いわ。助けに来てくれてありがとう」
魔術師の人が私の拘束を解いてくれたお陰で、ようやく口もきけるようになったわ。
それでも歩こうとすると身体が強張っていて思うように歩けない。
「アリス様、失礼いたします」
そう言うなりエイブラムさんは私を抱き上げた。
そのまま鉄格子を抜けて檻から出ると、倒れたサイラスの側に魔術師団長がしゃがんでいた。
「サイラス、何か言い残す事はないか?」
魔術師団長が尋ねるとサイラスはフッと笑いを漏らした。
「…なにも… ただ、そのローブの細工がわからないのが悔しい…」
「そうか。私があの世に行ったら教えてやるよ」
「…それは…楽しみ…」
サイラスはゴフリと血を吐くとそれきり動かなくなった。
魔術師団長は辛そうな顔でサイラスの目を閉じさせると俯いてしまった。
もしかしたらこの二人も同級生とかライバルとか呼べる関係だったのだろうか。
しんみりした空気を破るようにドタドタと足音が近付いて来た。
ん?
この足音はもしかして…
「アリス、大丈夫かい?」
案の定、姿を現したのはお兄様だった。
お兄様はエイブラムさんにお姫様抱っこされている私を見ると、エイブラムさんから引ったくるように私を奪い取った。
「さあ、アリス。私が部屋まで連れて行ってあげるよ」
私をお姫様抱っこしてご満悦のお兄様がニコニコと笑いかける。
そんなに長い時間このままなの?
ところでここは何処?
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