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アレクシス王子
さっき侍女からリティシアと呼ばれ思わず睨みつけてしまった。ごめんなさい。だってとんでもない悪役令嬢の名前だったから…。
でも流石は悪役令嬢。侍女はさっさと水の入った花瓶と取り替えると、頭を下げて部屋から出ていった。…リティシアから睨みつけられるのが日常茶飯事って事なんでしょうね。
しかしこんなに可愛い見た目でやってきた事は主人公いじめっておい…。優しかった王子にも捨てられて初めて自分を相手にしていたのが王子だけだった事に気づいてそれを奪った主人公に嫉妬に狂って刃物を向けるんだっけ?笑わせないでよ、あんたのせいだっての。
完全に悪いのはリティシアであって、最早弁解のしようがない。私はいつのリティシアに転生してしまったのだろうか。小説のリティシアよりもずっと幼い顔立ちなので、処刑前夜とかではなさそうだ。
「リティシア様」と再び扉の外から声がかかり、今度は別の控えめな衣装を纏った侍女らしき人を部屋に招き入れる。何しろ敵が多い悪役令嬢さんなので、リティシアに恨みをもった何処ぞのご令嬢からの宣戦布告の可能性を視野に入れつつ、何の用か問いかける。
「アレクシス殿下がいらっしゃいました」
「アレクシス!?」
淡々と状況を述べるのみの侍女の手をとり、思わず瞳を輝かせる。
アレクシス…そう、紛う事なくこの物語の第二主人公。後に主人公を城へ連れて行く王子アレクシス=エトワールである。
アレクシスは正に王子の鏡。一人息子として幼い頃から国を背負うという周囲のプレッシャーを受けていたも拘らず、立派な心優しき王子へと成長する。それはリティシアに対しても同様で、最後、主人公いじめや彼女のしてきたことが発覚するまで彼はずっと側にいてくれた。
そんな優しい彼は私の一番大好きなキャラクターである。
アレクシスを客間に通すように侍女に伝え、私もそこへと移動していく。通路には、見たこともない絵画や前世の私では一生かかっても払えないであろう大層高そうな骨董品が置いてある。
そういえば客間の場所なんて知らないんだけど...小説の内容を思い出せ...私...。えーっと、入り口から入って一番手前の右の...部屋?だったかな?
あんまり客人を歩かせないように入り口の近くに作って、更にお茶とかをお出しするときに待たせないように、ということでキッチンとかも近くにあるんじゃなかったかな。まぁ多分お客様と言いつつ庶民とかじゃなくて貴族をもてなすために作ったんだろうけど。
...入り口から近いってことはアレクシスの方が早くついちゃうんじゃないかしら...。まずいわ、お客さんを待たせちゃいけな...あー...でも私は悪役令嬢なのよね...いやでも好きなキャラクターだからなぁ...。
「アレクシス殿下、ようこそいらっしゃいました」
もやもやした気分のまま扉を開き、スカートの裾を持ち上げ、深くお辞儀をする。
「リティシア嬢、元気か?」
「えぇ。貴方…よりはね。」
一言余計、性格は曲がるとこまで曲がりきった娘、それがリティシア=ブロンドである。
中身が違うと悟られれば偽物だと思われ…間違ってはいないが、恐らく本人はもうこの世にいないのだろう…リティシア大捜索が始まってしまうに違いない。
こうなれば悪役令嬢リティシアをひたすら演じ続けるしかない。願わくば処刑回避し…密かにどこかの町で暮らし、主人公と王子の幸せを祈りたい。
でも流石は悪役令嬢。侍女はさっさと水の入った花瓶と取り替えると、頭を下げて部屋から出ていった。…リティシアから睨みつけられるのが日常茶飯事って事なんでしょうね。
しかしこんなに可愛い見た目でやってきた事は主人公いじめっておい…。優しかった王子にも捨てられて初めて自分を相手にしていたのが王子だけだった事に気づいてそれを奪った主人公に嫉妬に狂って刃物を向けるんだっけ?笑わせないでよ、あんたのせいだっての。
完全に悪いのはリティシアであって、最早弁解のしようがない。私はいつのリティシアに転生してしまったのだろうか。小説のリティシアよりもずっと幼い顔立ちなので、処刑前夜とかではなさそうだ。
「リティシア様」と再び扉の外から声がかかり、今度は別の控えめな衣装を纏った侍女らしき人を部屋に招き入れる。何しろ敵が多い悪役令嬢さんなので、リティシアに恨みをもった何処ぞのご令嬢からの宣戦布告の可能性を視野に入れつつ、何の用か問いかける。
「アレクシス殿下がいらっしゃいました」
「アレクシス!?」
淡々と状況を述べるのみの侍女の手をとり、思わず瞳を輝かせる。
アレクシス…そう、紛う事なくこの物語の第二主人公。後に主人公を城へ連れて行く王子アレクシス=エトワールである。
アレクシスは正に王子の鏡。一人息子として幼い頃から国を背負うという周囲のプレッシャーを受けていたも拘らず、立派な心優しき王子へと成長する。それはリティシアに対しても同様で、最後、主人公いじめや彼女のしてきたことが発覚するまで彼はずっと側にいてくれた。
そんな優しい彼は私の一番大好きなキャラクターである。
アレクシスを客間に通すように侍女に伝え、私もそこへと移動していく。通路には、見たこともない絵画や前世の私では一生かかっても払えないであろう大層高そうな骨董品が置いてある。
そういえば客間の場所なんて知らないんだけど...小説の内容を思い出せ...私...。えーっと、入り口から入って一番手前の右の...部屋?だったかな?
あんまり客人を歩かせないように入り口の近くに作って、更にお茶とかをお出しするときに待たせないように、ということでキッチンとかも近くにあるんじゃなかったかな。まぁ多分お客様と言いつつ庶民とかじゃなくて貴族をもてなすために作ったんだろうけど。
...入り口から近いってことはアレクシスの方が早くついちゃうんじゃないかしら...。まずいわ、お客さんを待たせちゃいけな...あー...でも私は悪役令嬢なのよね...いやでも好きなキャラクターだからなぁ...。
「アレクシス殿下、ようこそいらっしゃいました」
もやもやした気分のまま扉を開き、スカートの裾を持ち上げ、深くお辞儀をする。
「リティシア嬢、元気か?」
「えぇ。貴方…よりはね。」
一言余計、性格は曲がるとこまで曲がりきった娘、それがリティシア=ブロンドである。
中身が違うと悟られれば偽物だと思われ…間違ってはいないが、恐らく本人はもうこの世にいないのだろう…リティシア大捜索が始まってしまうに違いない。
こうなれば悪役令嬢リティシアをひたすら演じ続けるしかない。願わくば処刑回避し…密かにどこかの町で暮らし、主人公と王子の幸せを祈りたい。
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