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今後の目標
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さてと、私が今からする事は…これしかないわね。
自分を守る術を持つこと。リティシアは主人公に次ぐ最強の大魔法使いよ。この手を使う他ないわ。アレクを守る為にも私は強い方がいいしね。
私はルナと別れると一人で書斎へと移動し、古びた扉をゆっくりと開く。この学校でいうところの図書室のような沢山の本の匂いが、私はとても落ち着く。
魔法についての本は…確か書斎のここにあったはず。以前よりもう少し詳しく探してみましょう。それらしき本を片っ端から机に並べ、ペラペラとページを捲っていく。
それから数時間休むことなく隅から隅までくまなく読み漁るも、書かれていることは殆ど既に知っている内容であった。
考えてみれば当然かもしれない。リティシアの家は代々魔力の強い一族で、魔法について詳しく学ばなくても使えるのが当たり前なのだから。
こうなったら仕方ない。
…試しに適当に使ってみるか。
素質は恐ろしいぐらいにあるのだから、どうにかなるかもしれない。手を前に突き出して火よ、とか言えば出るかもしれないわよね。
よし、周りに誰もいないしやってみよう。
「火よ!出てきなさい!」
人差し指に灯る様子を想像したのだが、待てど暮らせど全く火は現れてくれなかった。無謀な挑戦と、無駄な時間であった。
私は誰もいなかった事に心から感謝しながら、コホンと咳払いをする。やっぱり感覚だけではどうにかならないらしい。
そもそも呪文が違うのかもしれないし、やり方も全然違うのかもしれない。全く検討がつかず、困り果てたその時に、私は閃いた。
何も一人で学ぶ必要はない。私の側には信頼できる大魔法使いがいるではないか。
…アレク。彼に聞いたほうがずっと早いかもしれない。
死にかけたときの為にも魔法は絶対に学んでおきたい。逃げ道は一つでも多くあった方が安心が出来る。
私が死ななければアレクが幸せにならないその状況がやってくる以外は、出来るだけ生きて見守りたい。巡り巡ってアレクが幸せになる為にも私は彼に教えを請うべきだ。
…単純に魔法を使ってみたいという気持ちがあるという事は、否定しないでおくわ。
そこに置いてあるアレクの上着を洗濯して持っていくついでにお願いしてみよう。
問題はどうやって魔法を教えてもらうかだが、彼は苦しい言い訳でも信じてくれる優しい人だ。恐らく快く引き受けてくれることだろう。
人柄も素晴らしく、王族として教育を受けた彼ならば、どんな人材よりも信用できる最高の教師になってくれるはずだ。
そうと決まれば早く彼の服を洗濯して会う約束を取り付けよう。恐らくリティシアから彼に連絡を取ったことはほぼないだろうから不審に思われるかもしれないが…彼なら心境の変化だと理解してくれる事だろう。
私は一度部屋に戻り、彼の服を手にすると屋敷の一室にルナを呼び出し、洗濯の仕方を問う。
自分がやると言い張るルナをどうにか説得し、彼女に教わりながら丁寧に洗濯をすると、彼女に「お嬢様!そんなことをしては宝石が傷ついてしまいます!」とか「お嬢様!その洗剤とこの洗剤を混ぜてはいけません!」とか物凄い勢いでダメ出しをされた。
私的に丁寧に頑張ったつもりだったのだが、長年仕えた彼女からするとまだまだ甘いのかもしれない。おかしいな、令嬢のドレスの染みは上手く落とせたんだけどな…。
当たり前だけど、知識があるのとないのとでは全然違うのね。
「できました…お城の高級素材を扱うのは初めてでしたがなんとか綺麗になりましたね。元々綺麗でしたけど、宝石が美しく輝いています。」
「これ、洗える宝石だったのね」
眩く煌めく宝石を眺めると、ルナは真顔で呟く。
「服に使用するのは基本水と衝撃に強い宝石だと思いますよ。お嬢様の様に信じられないくらい凄い力で擦る人もいるでしょうから。」
まだ根に持っていたらしい…ごめんなさい。でもこれだけは本当よ。決して…わざとじゃないの。
宝石なんて見たことも触ったこともないから加減が分からなくて…壊さなくて良かったわ、ホントに。
「お嬢様、提案なのですが、何かプレゼントをつけてお返しするのはいかがですか?」
「そんなのいいわ。誕生日でもあるまいし。それに、望めば何でも手に入る王子様が欲しがる物なんてこの世にあると思う?」
「そういう事を言ってるんじゃありませんよお嬢様…」
ルナがため息をついたが私は気づかないフリをし、乾かす為に服を日の当たる場所にそっと置く。宝石は相変わらず輝きを失わず、見る者全てを魅了する美しさを放っている。
「それじゃ、これから王子に手紙を書くからルナは部屋に来ないで頂戴ね」
落胆していたルナであったが、その言葉に顔を輝かせる。何を勘違いしたのか知らないが、「勿論です!プレゼントではなくお手紙ですか…その手がありましたね!」と述べてくる。
…私はただ彼の上着を返して魔法を教えてほしいだけなんだけど…。
自分を守る術を持つこと。リティシアは主人公に次ぐ最強の大魔法使いよ。この手を使う他ないわ。アレクを守る為にも私は強い方がいいしね。
私はルナと別れると一人で書斎へと移動し、古びた扉をゆっくりと開く。この学校でいうところの図書室のような沢山の本の匂いが、私はとても落ち着く。
魔法についての本は…確か書斎のここにあったはず。以前よりもう少し詳しく探してみましょう。それらしき本を片っ端から机に並べ、ペラペラとページを捲っていく。
それから数時間休むことなく隅から隅までくまなく読み漁るも、書かれていることは殆ど既に知っている内容であった。
考えてみれば当然かもしれない。リティシアの家は代々魔力の強い一族で、魔法について詳しく学ばなくても使えるのが当たり前なのだから。
こうなったら仕方ない。
…試しに適当に使ってみるか。
素質は恐ろしいぐらいにあるのだから、どうにかなるかもしれない。手を前に突き出して火よ、とか言えば出るかもしれないわよね。
よし、周りに誰もいないしやってみよう。
「火よ!出てきなさい!」
人差し指に灯る様子を想像したのだが、待てど暮らせど全く火は現れてくれなかった。無謀な挑戦と、無駄な時間であった。
私は誰もいなかった事に心から感謝しながら、コホンと咳払いをする。やっぱり感覚だけではどうにかならないらしい。
そもそも呪文が違うのかもしれないし、やり方も全然違うのかもしれない。全く検討がつかず、困り果てたその時に、私は閃いた。
何も一人で学ぶ必要はない。私の側には信頼できる大魔法使いがいるではないか。
…アレク。彼に聞いたほうがずっと早いかもしれない。
死にかけたときの為にも魔法は絶対に学んでおきたい。逃げ道は一つでも多くあった方が安心が出来る。
私が死ななければアレクが幸せにならないその状況がやってくる以外は、出来るだけ生きて見守りたい。巡り巡ってアレクが幸せになる為にも私は彼に教えを請うべきだ。
…単純に魔法を使ってみたいという気持ちがあるという事は、否定しないでおくわ。
そこに置いてあるアレクの上着を洗濯して持っていくついでにお願いしてみよう。
問題はどうやって魔法を教えてもらうかだが、彼は苦しい言い訳でも信じてくれる優しい人だ。恐らく快く引き受けてくれることだろう。
人柄も素晴らしく、王族として教育を受けた彼ならば、どんな人材よりも信用できる最高の教師になってくれるはずだ。
そうと決まれば早く彼の服を洗濯して会う約束を取り付けよう。恐らくリティシアから彼に連絡を取ったことはほぼないだろうから不審に思われるかもしれないが…彼なら心境の変化だと理解してくれる事だろう。
私は一度部屋に戻り、彼の服を手にすると屋敷の一室にルナを呼び出し、洗濯の仕方を問う。
自分がやると言い張るルナをどうにか説得し、彼女に教わりながら丁寧に洗濯をすると、彼女に「お嬢様!そんなことをしては宝石が傷ついてしまいます!」とか「お嬢様!その洗剤とこの洗剤を混ぜてはいけません!」とか物凄い勢いでダメ出しをされた。
私的に丁寧に頑張ったつもりだったのだが、長年仕えた彼女からするとまだまだ甘いのかもしれない。おかしいな、令嬢のドレスの染みは上手く落とせたんだけどな…。
当たり前だけど、知識があるのとないのとでは全然違うのね。
「できました…お城の高級素材を扱うのは初めてでしたがなんとか綺麗になりましたね。元々綺麗でしたけど、宝石が美しく輝いています。」
「これ、洗える宝石だったのね」
眩く煌めく宝石を眺めると、ルナは真顔で呟く。
「服に使用するのは基本水と衝撃に強い宝石だと思いますよ。お嬢様の様に信じられないくらい凄い力で擦る人もいるでしょうから。」
まだ根に持っていたらしい…ごめんなさい。でもこれだけは本当よ。決して…わざとじゃないの。
宝石なんて見たことも触ったこともないから加減が分からなくて…壊さなくて良かったわ、ホントに。
「お嬢様、提案なのですが、何かプレゼントをつけてお返しするのはいかがですか?」
「そんなのいいわ。誕生日でもあるまいし。それに、望めば何でも手に入る王子様が欲しがる物なんてこの世にあると思う?」
「そういう事を言ってるんじゃありませんよお嬢様…」
ルナがため息をついたが私は気づかないフリをし、乾かす為に服を日の当たる場所にそっと置く。宝石は相変わらず輝きを失わず、見る者全てを魅了する美しさを放っている。
「それじゃ、これから王子に手紙を書くからルナは部屋に来ないで頂戴ね」
落胆していたルナであったが、その言葉に顔を輝かせる。何を勘違いしたのか知らないが、「勿論です!プレゼントではなくお手紙ですか…その手がありましたね!」と述べてくる。
…私はただ彼の上着を返して魔法を教えてほしいだけなんだけど…。
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