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「あ、そういえば転ぶ以外にもアイテムを落としたり壊しても効果はなくなるみたいよ。気をつけてね」
「はい。分かりました」
植木変身セットというとんでもなくダサい…じゃなかった便利なアイテムを持っているとはいえほぼ隠れるものがない場所で突っ立っていると流石にドキドキするわね。
別に体勢は関係ないらしいけどなんとなくしゃがんでおこうかな。
何もない所に突然しゃがみこんだ私に驚きながらもアーグレンは合わせてしゃがんでくれた。
「公女様、本当に二人はここに来るんでしょうか。そしてブロンド公爵様を疑っているわけでは決してありませんがこのアイテムは使えるんでしょうか…?」
「前者はそう信じるしかないわね。それから後者は…正直私も信じてないけどこれに頼るしかないんだもの。二人がよく見えて、私達の姿を隠してくれるものなんてこれくらいしかないわ」
アルターニャは私が来ることを予測してるだろうから最悪気づかれても良いけど、アレクシスは何も知らないからね。
私が貴方を心配して見に来たなんて知られたら普通に困るのよ。
私が貴方に好意をもってることを知られたらまた婚約破棄から遠ざかっちゃうもの。
とりあえずアルターニャが何をするつもりなのかだけでも見てそれがヤバそうなら急いで助けに入らないと…。
「殿下、こちらへいらしてください。殿下のために最高の席をご用意致しましたわ」
唐突に聞き覚えのある声が聞こえ、私とアーグレンは思わず顔を見合わせる。この自信満々な声は…間違いなくアルターニャのものだ。
さて、この魔法のアイテムの見せどころよ。あんまり信用してないけど頑張れ植木変身セット!
すぐにアレクシスとアルターニャの姿が現れたが、彼らの視線がこちらに向くことはなかった。気づいていてわざと気づかないふりをしている様子もない。
信じ難いがこのアイテムはちゃんと本物だったらしい。素晴らしいわ。魔法ってなんて便利なの。
そしてアルターニャは強引にアレクシスを引っ張るとそのまま席へ座らせる。本人は軽く引いているつもりなのかもしれないがどう考えても力が強い。
アルターニャが王女でなければ…いや相手がアレクシスでなければ普通に国際問題に発展するだろう。
どう見ても相手のペースガン無視なんだもの。怒るわよ普通。
アレクシスはというと彼は怒るというよりアルターニャの謎のテンションに少しばかり困惑しているようであった。
…私もよくアルターニャに困惑させられるから…同情するわ。
よく見たらテーブルに食器とかが置いてあるけど…アルターニャは何かを食べるつもりなのかしら?
使用人を呼びつけて何かを頼むのでないかという私の予想とは裏腹に、彼女はテーブルに腕を置き、真っ直ぐアレクシスの瞳を見つめる。…何を言うつもりなんだろう?
「単刀直入にお聞きいたしますわ」
お聞きしなくていいからさっさとアレクシスを家に帰してあげてよ。
私がそんなことを考えているとは知る由もないアルターニャはいつになく真剣に言葉を発する。
「リティシア嬢のこと、どのようにお考えなのですか?」
え、私?
そんなことを聞く為にアレクを呼び出したわけ?
なら尚更帰してあげなさいよ。悪役令嬢についてどう思ってるかだなんて聞くだけ無駄よ。
「リティシア…ですか?そうですね…」
予想外の質問に驚いた様子であったが、彼は真面目に答えてくれるらしい。
…アレクが私のことをどう考えていても関係ないわ。
私達の関係がどう変わろうと…これは結局期間限定なんだから。
そう自分に言い聞かせながらも彼が私についてどう思っているのかがどうしても気になり、聞き入ってしまう。
「彼女は…とても優しい女性です」
彼の口から紡がれたその言葉に驚きと同時に呆れが私を襲う。
はぁ…。本当にエトワール国の王子様は…バカなのね。
貴方は私なんかよりもずっと…優しい人なのに。
「公女様…私もそう思います」
「良いわよ小さい声でわざわざお世辞を言わなくても」
「いいえ、お世辞ではありません。それからアレクは…きっと本心から言っています。公女様を大層気に入っているようです」
アレクが私を、ね…。もし仮にそうだとしても私の行動は変わらないのだから、関係ないわ。そうすることが間違いなくアレクのためになるんだから。
それなのにどうして…こんなにも胸が痛むんだろう?
「リティシアが優しい?ありえませんわ!」
突如として大声が響き渡ったかと思うと、その直後に机を叩いたような轟音が聞こえてくる。
自分の思い通りの解答じゃなかったからって机を叩く?全く…とんだ我儘王女様ね。
気に入らなければすぐ怒り喚くような女が…アレクに好かれるはずないじゃない。
でも良かったわ。
アレクがアルターニャに惚れるなんてそれこそ惚れ薬でも使わないと無理な話ってことだものね。
…使わないわよね。流石に。
「ねぇ、アーグレン。アルターニャ王女は本当にアレクのことが好きなのね」
「…そのようですね」
「どうしてそこまで好きなんだろう。確かにアレクは優しい人だけど…何か理由があるのかしら…」
アルターニャがこれ程まで惚れ込むなんて流石はアレクシスと言いたいところだけどここまでくると理由が気になってくるのよね。
これはただの推測だけど…あの謎のうさぎのぬいぐるみが関係しているのかな…?
「はい。分かりました」
植木変身セットというとんでもなくダサい…じゃなかった便利なアイテムを持っているとはいえほぼ隠れるものがない場所で突っ立っていると流石にドキドキするわね。
別に体勢は関係ないらしいけどなんとなくしゃがんでおこうかな。
何もない所に突然しゃがみこんだ私に驚きながらもアーグレンは合わせてしゃがんでくれた。
「公女様、本当に二人はここに来るんでしょうか。そしてブロンド公爵様を疑っているわけでは決してありませんがこのアイテムは使えるんでしょうか…?」
「前者はそう信じるしかないわね。それから後者は…正直私も信じてないけどこれに頼るしかないんだもの。二人がよく見えて、私達の姿を隠してくれるものなんてこれくらいしかないわ」
アルターニャは私が来ることを予測してるだろうから最悪気づかれても良いけど、アレクシスは何も知らないからね。
私が貴方を心配して見に来たなんて知られたら普通に困るのよ。
私が貴方に好意をもってることを知られたらまた婚約破棄から遠ざかっちゃうもの。
とりあえずアルターニャが何をするつもりなのかだけでも見てそれがヤバそうなら急いで助けに入らないと…。
「殿下、こちらへいらしてください。殿下のために最高の席をご用意致しましたわ」
唐突に聞き覚えのある声が聞こえ、私とアーグレンは思わず顔を見合わせる。この自信満々な声は…間違いなくアルターニャのものだ。
さて、この魔法のアイテムの見せどころよ。あんまり信用してないけど頑張れ植木変身セット!
すぐにアレクシスとアルターニャの姿が現れたが、彼らの視線がこちらに向くことはなかった。気づいていてわざと気づかないふりをしている様子もない。
信じ難いがこのアイテムはちゃんと本物だったらしい。素晴らしいわ。魔法ってなんて便利なの。
そしてアルターニャは強引にアレクシスを引っ張るとそのまま席へ座らせる。本人は軽く引いているつもりなのかもしれないがどう考えても力が強い。
アルターニャが王女でなければ…いや相手がアレクシスでなければ普通に国際問題に発展するだろう。
どう見ても相手のペースガン無視なんだもの。怒るわよ普通。
アレクシスはというと彼は怒るというよりアルターニャの謎のテンションに少しばかり困惑しているようであった。
…私もよくアルターニャに困惑させられるから…同情するわ。
よく見たらテーブルに食器とかが置いてあるけど…アルターニャは何かを食べるつもりなのかしら?
使用人を呼びつけて何かを頼むのでないかという私の予想とは裏腹に、彼女はテーブルに腕を置き、真っ直ぐアレクシスの瞳を見つめる。…何を言うつもりなんだろう?
「単刀直入にお聞きいたしますわ」
お聞きしなくていいからさっさとアレクシスを家に帰してあげてよ。
私がそんなことを考えているとは知る由もないアルターニャはいつになく真剣に言葉を発する。
「リティシア嬢のこと、どのようにお考えなのですか?」
え、私?
そんなことを聞く為にアレクを呼び出したわけ?
なら尚更帰してあげなさいよ。悪役令嬢についてどう思ってるかだなんて聞くだけ無駄よ。
「リティシア…ですか?そうですね…」
予想外の質問に驚いた様子であったが、彼は真面目に答えてくれるらしい。
…アレクが私のことをどう考えていても関係ないわ。
私達の関係がどう変わろうと…これは結局期間限定なんだから。
そう自分に言い聞かせながらも彼が私についてどう思っているのかがどうしても気になり、聞き入ってしまう。
「彼女は…とても優しい女性です」
彼の口から紡がれたその言葉に驚きと同時に呆れが私を襲う。
はぁ…。本当にエトワール国の王子様は…バカなのね。
貴方は私なんかよりもずっと…優しい人なのに。
「公女様…私もそう思います」
「良いわよ小さい声でわざわざお世辞を言わなくても」
「いいえ、お世辞ではありません。それからアレクは…きっと本心から言っています。公女様を大層気に入っているようです」
アレクが私を、ね…。もし仮にそうだとしても私の行動は変わらないのだから、関係ないわ。そうすることが間違いなくアレクのためになるんだから。
それなのにどうして…こんなにも胸が痛むんだろう?
「リティシアが優しい?ありえませんわ!」
突如として大声が響き渡ったかと思うと、その直後に机を叩いたような轟音が聞こえてくる。
自分の思い通りの解答じゃなかったからって机を叩く?全く…とんだ我儘王女様ね。
気に入らなければすぐ怒り喚くような女が…アレクに好かれるはずないじゃない。
でも良かったわ。
アレクがアルターニャに惚れるなんてそれこそ惚れ薬でも使わないと無理な話ってことだものね。
…使わないわよね。流石に。
「ねぇ、アーグレン。アルターニャ王女は本当にアレクのことが好きなのね」
「…そのようですね」
「どうしてそこまで好きなんだろう。確かにアレクは優しい人だけど…何か理由があるのかしら…」
アルターニャがこれ程まで惚れ込むなんて流石はアレクシスと言いたいところだけどここまでくると理由が気になってくるのよね。
これはただの推測だけど…あの謎のうさぎのぬいぐるみが関係しているのかな…?
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