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誤作動
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「殿下、少しだけリティシア嬢と話させて頂けますか?彼女にも謝罪をしたいので…」
「えぇ。勿論構いませんよ。」
その返事を聞くや否やアルターニャ王女は私の目前にまで迫ってくる。近づく彼女に合わせて少し後ろに下がると彼女もまた近づいてくるので全く距離間が変わらない。
だから近いんだってば。
「リティシア、貴女のせいで私が怒られたじゃないの…!パーティの時からずっと私ばっかり怒られてるわ!」
「私に謝罪するんじゃないんですか…?というか私は初めから何もしていませんよ」
「したじゃない!大体貴女ね、紛らわしすぎるのよ!なんでよりによってイケメンを連れてくるのよ!」
「イケメンを連れてきたんじゃなくて連れてきた人がイケメンだっただけです!私は何もしていません」
「殿下といい護衛騎士といい…なんで貴女にばっかりイケメンが集まるのよ!おかしいでしょ!」
「だから知りませんってば…」
まぁ貴女の周りにイケメン…というか人が集まらない理由はなんとなく分かるけどね。
「一体何をしたのか教えなさいよ!」
「してません…というか近いので離れてください…」
ずっと近距離を保ち続けるアルターニャの前に手を出し下がるよう指示をするのだが彼女は全く離れようとしない。
それどころか更に近づこうとするのだから正直なところ…マジで引っぱたいてやろうかと思ったところであった。
見兼ねたアレクシスが彼女の方に手を置き、「アルターニャ王女様、少し近すぎるのではありませんか…?」と困惑気味に声を上げる始末だった。
「殿下、どうかお離しくださいませ。この女が一体どんな手を使ったのかどうしても知りたいんです!」
「だから何もしてませんってば!」
「うるさいわね!そんなわけな…」
彼女が更に詰め寄ろうとしたその瞬間、私の髪につけたバレッタがギラリと怪しく輝いた。
そして素早い光が瞬く間に放たれたかと思うと、それはアルターニャの上で軽く弾けた。バケツの水をそのままひっくり返したかのような大量の水が一気に彼女を襲い、アルターニャは悲鳴を上げる。
…そう、水のバレッタに込めたアレクシスの魔法が何故か今発動したのだった。
私とアーグレンは呆気にとられ、アレクシスだけが事態を素早く把握して青ざめる。
「あぁ、もう最悪…折角のドレスが台無しだわ…」
「申し訳ございません王女様…魔法が誤作動を起こしたようです。お怪我はありませんか?」
「…え?はい、怪我はありませんが…何故殿下が謝られるのですか?確かにこれは殿下も使う事の出来る水の魔法ですけれど…リティシアが使ったように見えましたよ?」
「実はこれは私が彼女の持つバレッタに込めた魔法なのですが…何かの間違いで誤作動を起こしたようなのです。これは確実に私の不手際ですので、王女様、罰をお与えになるのであればリティシアではなくどうぞこの私にお願い致します。」
「で、殿下に罰を与えるだなんてそんなことできませんわ…」
突然水をぶっかけられたことに対する怒りを完全に私にぶつける気でいたアルターニャは力なく拳を下げる。
アレクシスの魔法だと知った以上彼女がこれ以上責めることはできない。それは同時にアレクシスのことも否定することにもなってしまうから。
そして彼女がもごもごと口の中で呟き始めたので、なんとかそれを聞き取ると彼女らしくないとても弱気な発言をしていた。
「はぁ…殿下は全然うさぎにも気づかないし…突然二人が現れたからとはいえスイーツすら食べてくださらなかったわ…リティシアには魔法を込めたアイテムまで渡すなんて…」
再び大きなため息をつくとドレスの水を軽く絞り、力なく言葉を発する。
「…着替えてきますのでここで少々お待ちくださいませ」
とぼとぼと先程までの勢いはどこへいったのかまるで別人のように俯きながら歩いていく。
…うーん、本気でショックだったのね。
「アルターニャ王女様、お待ち下さい。これは私の責任ですのでどうかお部屋まで送らせて頂けませんか?」
その衝撃の言葉に全員が一斉に驚き、アレクシスに視線が集中する。
え、こんな奴を送る必要なんてないわよ!そもそも魔法が発動したのはアレクシスのせいじゃないのに!
「よ、宜しいのですか!?是非お願い致します!」
一気に元気を取り戻したアルターニャが瞳に光を宿す。この王女はホント単純ね…全く。
「アルターニャ王女様を送ってくるから少しだけ待っててくれ」
そう告げると彼はアルターニャのと共に去ろうとする。彼なりにちゃんと責任を取ろうとしているのだろう。でもそれは直接的にはアレクシスのせいなんかじゃないのに。
そう思った時、私の口から言葉が飛び出た。
「待ちなさいよ」
その言葉に二人が振り返る。
一人は機嫌の悪そうに顔を歪め、もう一人は純粋に疑問を抱いている。
どうしよう、私なんでこんなこと言ってるの?この先の台詞なんて何も考えてないんだけど。でもこっちの言葉を待ってるし、とりあえずなにか言わないと。
アルターニャが変な気を起こさないようにする台詞…なにかないかしら。
…あぁ、きっとこれしかないわ。
「私のいないところで浮気したりしたら…承知しないわよ」
「あぁ。分かってる」
何故だかアレクシスはその言葉に、心底嬉しそうに微笑んだ。
「えぇ。勿論構いませんよ。」
その返事を聞くや否やアルターニャ王女は私の目前にまで迫ってくる。近づく彼女に合わせて少し後ろに下がると彼女もまた近づいてくるので全く距離間が変わらない。
だから近いんだってば。
「リティシア、貴女のせいで私が怒られたじゃないの…!パーティの時からずっと私ばっかり怒られてるわ!」
「私に謝罪するんじゃないんですか…?というか私は初めから何もしていませんよ」
「したじゃない!大体貴女ね、紛らわしすぎるのよ!なんでよりによってイケメンを連れてくるのよ!」
「イケメンを連れてきたんじゃなくて連れてきた人がイケメンだっただけです!私は何もしていません」
「殿下といい護衛騎士といい…なんで貴女にばっかりイケメンが集まるのよ!おかしいでしょ!」
「だから知りませんってば…」
まぁ貴女の周りにイケメン…というか人が集まらない理由はなんとなく分かるけどね。
「一体何をしたのか教えなさいよ!」
「してません…というか近いので離れてください…」
ずっと近距離を保ち続けるアルターニャの前に手を出し下がるよう指示をするのだが彼女は全く離れようとしない。
それどころか更に近づこうとするのだから正直なところ…マジで引っぱたいてやろうかと思ったところであった。
見兼ねたアレクシスが彼女の方に手を置き、「アルターニャ王女様、少し近すぎるのではありませんか…?」と困惑気味に声を上げる始末だった。
「殿下、どうかお離しくださいませ。この女が一体どんな手を使ったのかどうしても知りたいんです!」
「だから何もしてませんってば!」
「うるさいわね!そんなわけな…」
彼女が更に詰め寄ろうとしたその瞬間、私の髪につけたバレッタがギラリと怪しく輝いた。
そして素早い光が瞬く間に放たれたかと思うと、それはアルターニャの上で軽く弾けた。バケツの水をそのままひっくり返したかのような大量の水が一気に彼女を襲い、アルターニャは悲鳴を上げる。
…そう、水のバレッタに込めたアレクシスの魔法が何故か今発動したのだった。
私とアーグレンは呆気にとられ、アレクシスだけが事態を素早く把握して青ざめる。
「あぁ、もう最悪…折角のドレスが台無しだわ…」
「申し訳ございません王女様…魔法が誤作動を起こしたようです。お怪我はありませんか?」
「…え?はい、怪我はありませんが…何故殿下が謝られるのですか?確かにこれは殿下も使う事の出来る水の魔法ですけれど…リティシアが使ったように見えましたよ?」
「実はこれは私が彼女の持つバレッタに込めた魔法なのですが…何かの間違いで誤作動を起こしたようなのです。これは確実に私の不手際ですので、王女様、罰をお与えになるのであればリティシアではなくどうぞこの私にお願い致します。」
「で、殿下に罰を与えるだなんてそんなことできませんわ…」
突然水をぶっかけられたことに対する怒りを完全に私にぶつける気でいたアルターニャは力なく拳を下げる。
アレクシスの魔法だと知った以上彼女がこれ以上責めることはできない。それは同時にアレクシスのことも否定することにもなってしまうから。
そして彼女がもごもごと口の中で呟き始めたので、なんとかそれを聞き取ると彼女らしくないとても弱気な発言をしていた。
「はぁ…殿下は全然うさぎにも気づかないし…突然二人が現れたからとはいえスイーツすら食べてくださらなかったわ…リティシアには魔法を込めたアイテムまで渡すなんて…」
再び大きなため息をつくとドレスの水を軽く絞り、力なく言葉を発する。
「…着替えてきますのでここで少々お待ちくださいませ」
とぼとぼと先程までの勢いはどこへいったのかまるで別人のように俯きながら歩いていく。
…うーん、本気でショックだったのね。
「アルターニャ王女様、お待ち下さい。これは私の責任ですのでどうかお部屋まで送らせて頂けませんか?」
その衝撃の言葉に全員が一斉に驚き、アレクシスに視線が集中する。
え、こんな奴を送る必要なんてないわよ!そもそも魔法が発動したのはアレクシスのせいじゃないのに!
「よ、宜しいのですか!?是非お願い致します!」
一気に元気を取り戻したアルターニャが瞳に光を宿す。この王女はホント単純ね…全く。
「アルターニャ王女様を送ってくるから少しだけ待っててくれ」
そう告げると彼はアルターニャのと共に去ろうとする。彼なりにちゃんと責任を取ろうとしているのだろう。でもそれは直接的にはアレクシスのせいなんかじゃないのに。
そう思った時、私の口から言葉が飛び出た。
「待ちなさいよ」
その言葉に二人が振り返る。
一人は機嫌の悪そうに顔を歪め、もう一人は純粋に疑問を抱いている。
どうしよう、私なんでこんなこと言ってるの?この先の台詞なんて何も考えてないんだけど。でもこっちの言葉を待ってるし、とりあえずなにか言わないと。
アルターニャが変な気を起こさないようにする台詞…なにかないかしら。
…あぁ、きっとこれしかないわ。
「私のいないところで浮気したりしたら…承知しないわよ」
「あぁ。分かってる」
何故だかアレクシスはその言葉に、心底嬉しそうに微笑んだ。
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