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ティーパーティ編 その3
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デイジー嬢は私に疑問を抱えながらも、しっかりと部屋へ案内してくれる。彼女は他の招待客に対しても私と同じように出迎えたのだろうか。
扉を開き、部屋に入ると同時に、既に着席していた令嬢達が私を一斉に見つめてくる。
その視線の指し示す感情は、興味、恐怖、憎悪など様々であった。
その視線を見るだけで以前のリティシアとどういう関係だったのかがひと目で分かる。
…だが恐怖を感じている令嬢に至っては何故リティシアも参加するパーティにわざわざ参加したのだろうかと…疑問に思わずにはいられない。
「皆さん、リティシア=ブロンド公女様がご到着なされました。これで全員が揃ったので今からパーティを始めますね。お待たせして申し訳ございませんでした。」
嘘でしょ…もう全員揃っているだなんて。
デイジー嬢と話していたとはいえ、一応少し早めに来たから時間はぴったりなはずよ?令嬢達は意外と早く来るのね。
「リティシア様、こちらの方は…」
「待って。遅れてきたのに謝罪もないんですか?リティシア嬢」
早速私に令嬢の紹介を始めようとしたデイジー嬢の言葉を遮り、その令嬢は私を見上げてくる。
敵意を隠そうともしていない…非常に好戦的な視線だ。どうやら私は名前も知らないこの人に相当嫌われているらしい。
「…招待状通りの時間よ。私は遅れていないわ」
「その通りです。リティシア様は遅れていません。その発言は無礼ですよ」
デイジー嬢がはっきりと私を庇う発言をしたので、彼女にまで怒りが飛び火しないかと内心不安であったが、令嬢は意外にも納得してくれたようだった。
「…そうですね、今のは私が悪かったと認めましょう。改めましてリティシア様、お会いできて光栄です。」
今の流れで本当に光栄に思ってたら貴女おかしいわよ。
令嬢は私を見つめると先程の表情とは一転させ、満面の笑みを浮かべる。
その目は…笑っていなかったが。
「ところでリティシア様ほど聡明なお方なら、私の名前くらいご存知ですよね?」
…なるほど、簡単に引き下がった理由はこれね。まだまだカードがあったってことか…。
それにしても、これはまた随分と既視感がある光景ね。
…私が名前を知っているかどうかを確実に試してる。
乱暴なリティシアならこんな風にあからさまに挑発されたらきっと怒り狂ってパーティを滅茶苦茶にするはず。
でも私は違う。私は違う行動が出来るはずよ。
ここで私が仮に素直に「知らない」と答えたとする。私は乱暴な上に無知な公爵令嬢だと認識されて笑われるだけね。
一番良いのは彼女の名前を誰かが代わりに呼ぶことだが、あの時助けてくれたアーグレンはこの場にいないし、デイジー嬢もそこまで頭が回らないようだ。
だとすれば…私がリティシアだからこそ解決できるやり方がある。
「今後呼ぶつもりのない名前を…この私が覚える必要あるかしら?」
普通の令嬢が言えば何を言ってるんだこいつはと思われるだけだが…リティシアならいける。
彼女ならこんな傲慢な発言を自信満々にするはずだから。
限りなく違和感がない上に、名前を呼ぶことを避けられる素晴らしい策だわ。
ただ一つ問題があるとしたら…更に嫌われるってことね。
「なっ…」
その返答が予想外であったらしい令嬢は、拳を強く握りしめ、怒りに震えている。
そして私は先ほどの令嬢と同じように精一杯の笑みを浮かべてみせる。
「あら、気を悪くしないで頂戴。貴女だって私と仲良くするつもりなんてないでしょう?その目と態度が全てを物語っているもの」
私の方が一枚上手よ。
諦めなさい令嬢。貴女に危害を加えるつもりはないから大人しくしてなさい。
これは…警告よ。
貴女はきっと、リティシアの恐ろしさを誰よりも分かっているんでしょう?
ここで引いた方が身の為よ。私もこれ以上挑発するつもりはないしね。
周囲の令嬢も先に挑発したのがどちらかは明白なので、彼女を庇うことはできないようであった。
…ついでに言うと私が売られた喧嘩を買ってしまったことで明らかに空気が悪くなってしまった。
どう和ませようかと悩んでいると、デイジー嬢が軽く手を叩く。
「折角来て下さったお二人が仲良くなるためにも、早速ティーパーティを始めましょう。これはお互いのことをよく知るためのパーティですから、相手のことを知らなくても何も恥じることはありませんよ。さぁ、リティシア様、席についてください」
デイジー嬢が上手く機転を利かせてくれたおかげでなんとか張り詰めていた空気が緩んでいく。
そして彼女は私の席であろう椅子を軽く引き、座るように勧めてくる。
これじゃ本当に私の召使いみたいじゃない。
「そんなことしなくていいわ」
「いえいえ、リティシア様に椅子を引かせる訳にはいきませんよ。それから…先ほどはお助け出来ずすみません。リティシア様の切り返しは本当に素晴らしかったです。まだまだ勉強が足りませんね。」
デイジー嬢は後半は周囲に聞こえぬよう耳元で小声で呟いてきた。
…どうやらまた好感度が上がってしまったらしい。
こんな捻くれた返事をする悪女を好きになってくれるなんて…世の中には物好きな人もいるのね。普通は怖がるわよ。
扉を開き、部屋に入ると同時に、既に着席していた令嬢達が私を一斉に見つめてくる。
その視線の指し示す感情は、興味、恐怖、憎悪など様々であった。
その視線を見るだけで以前のリティシアとどういう関係だったのかがひと目で分かる。
…だが恐怖を感じている令嬢に至っては何故リティシアも参加するパーティにわざわざ参加したのだろうかと…疑問に思わずにはいられない。
「皆さん、リティシア=ブロンド公女様がご到着なされました。これで全員が揃ったので今からパーティを始めますね。お待たせして申し訳ございませんでした。」
嘘でしょ…もう全員揃っているだなんて。
デイジー嬢と話していたとはいえ、一応少し早めに来たから時間はぴったりなはずよ?令嬢達は意外と早く来るのね。
「リティシア様、こちらの方は…」
「待って。遅れてきたのに謝罪もないんですか?リティシア嬢」
早速私に令嬢の紹介を始めようとしたデイジー嬢の言葉を遮り、その令嬢は私を見上げてくる。
敵意を隠そうともしていない…非常に好戦的な視線だ。どうやら私は名前も知らないこの人に相当嫌われているらしい。
「…招待状通りの時間よ。私は遅れていないわ」
「その通りです。リティシア様は遅れていません。その発言は無礼ですよ」
デイジー嬢がはっきりと私を庇う発言をしたので、彼女にまで怒りが飛び火しないかと内心不安であったが、令嬢は意外にも納得してくれたようだった。
「…そうですね、今のは私が悪かったと認めましょう。改めましてリティシア様、お会いできて光栄です。」
今の流れで本当に光栄に思ってたら貴女おかしいわよ。
令嬢は私を見つめると先程の表情とは一転させ、満面の笑みを浮かべる。
その目は…笑っていなかったが。
「ところでリティシア様ほど聡明なお方なら、私の名前くらいご存知ですよね?」
…なるほど、簡単に引き下がった理由はこれね。まだまだカードがあったってことか…。
それにしても、これはまた随分と既視感がある光景ね。
…私が名前を知っているかどうかを確実に試してる。
乱暴なリティシアならこんな風にあからさまに挑発されたらきっと怒り狂ってパーティを滅茶苦茶にするはず。
でも私は違う。私は違う行動が出来るはずよ。
ここで私が仮に素直に「知らない」と答えたとする。私は乱暴な上に無知な公爵令嬢だと認識されて笑われるだけね。
一番良いのは彼女の名前を誰かが代わりに呼ぶことだが、あの時助けてくれたアーグレンはこの場にいないし、デイジー嬢もそこまで頭が回らないようだ。
だとすれば…私がリティシアだからこそ解決できるやり方がある。
「今後呼ぶつもりのない名前を…この私が覚える必要あるかしら?」
普通の令嬢が言えば何を言ってるんだこいつはと思われるだけだが…リティシアならいける。
彼女ならこんな傲慢な発言を自信満々にするはずだから。
限りなく違和感がない上に、名前を呼ぶことを避けられる素晴らしい策だわ。
ただ一つ問題があるとしたら…更に嫌われるってことね。
「なっ…」
その返答が予想外であったらしい令嬢は、拳を強く握りしめ、怒りに震えている。
そして私は先ほどの令嬢と同じように精一杯の笑みを浮かべてみせる。
「あら、気を悪くしないで頂戴。貴女だって私と仲良くするつもりなんてないでしょう?その目と態度が全てを物語っているもの」
私の方が一枚上手よ。
諦めなさい令嬢。貴女に危害を加えるつもりはないから大人しくしてなさい。
これは…警告よ。
貴女はきっと、リティシアの恐ろしさを誰よりも分かっているんでしょう?
ここで引いた方が身の為よ。私もこれ以上挑発するつもりはないしね。
周囲の令嬢も先に挑発したのがどちらかは明白なので、彼女を庇うことはできないようであった。
…ついでに言うと私が売られた喧嘩を買ってしまったことで明らかに空気が悪くなってしまった。
どう和ませようかと悩んでいると、デイジー嬢が軽く手を叩く。
「折角来て下さったお二人が仲良くなるためにも、早速ティーパーティを始めましょう。これはお互いのことをよく知るためのパーティですから、相手のことを知らなくても何も恥じることはありませんよ。さぁ、リティシア様、席についてください」
デイジー嬢が上手く機転を利かせてくれたおかげでなんとか張り詰めていた空気が緩んでいく。
そして彼女は私の席であろう椅子を軽く引き、座るように勧めてくる。
これじゃ本当に私の召使いみたいじゃない。
「そんなことしなくていいわ」
「いえいえ、リティシア様に椅子を引かせる訳にはいきませんよ。それから…先ほどはお助け出来ずすみません。リティシア様の切り返しは本当に素晴らしかったです。まだまだ勉強が足りませんね。」
デイジー嬢は後半は周囲に聞こえぬよう耳元で小声で呟いてきた。
…どうやらまた好感度が上がってしまったらしい。
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