182 / 209
誕生日パーティ編 その8
しおりを挟む
ㅤ気を落とす落とさないじゃなくてね…単純に来てもらわないと私の計画が丸潰れなのよ!
以前失礼すぎる呼び出しの手紙を出した時は文句も言わずに来てくれたじゃない!なんで今回は来てくれないの!?
「……まぁまだ中盤だし、これから来るでしょ。さぁ、私達も楽しむわよ。折角のパーティなんだから」
私の言葉に、デイジー嬢が真っ先に声をあげた。
「……そうですね!ところでリティシア様!パーティに出すお料理のメニューはリティシア様が自分で決めたんですか?」
「えぇまぁ…そうだけど」
「このプリンとか凄いですよ、こんなに美味しそうなプリンは今まで見たことないです!食べていいですか!?」
当然ながらパーティの準備など前世も含め一度もしたことがないので私が好きだったものやパーティらしいものを用意することにした。プリンは可愛いし美味しいから女性人気が高いのではと思って用意させたものだが、どうやら正解だったようだ。
「もちろん構わないけど作ったのは私じゃなくてシェフだからシェフの腕がいいんでしょうね」
「そんなことありませんよ!リティシア様が優しいお方だからシェフの方もプリンを美味しく作ろうって思えるんです!シェフだけの力ではありませんよ」
「……随分変なことを言うのね。でも面白い考えだわ。ありがとう」
デイジー嬢は私に微笑むや否や早速プリンを口に頬張ると「美味し~!」と嬉しそうに呟く。マリーアイ嬢が「イジー、もっと礼儀正しく食べなさいよ一応伯爵令嬢なんだから…」と戸惑いながら声をかけている。
当のデイジー嬢本人は全く気にせず次のスイーツへと目を向けていた。
「大丈夫、リティシア様なら許してくれるよ~。あ、このクッキーも食べていいですか!?えっ、めっちゃ美味しい」
「もう!貴女のパーティじゃないのよイジー!!」
言いながらクッキーを頬張っていたデイジー嬢にマリーアイ嬢が呆れて声を張り上げる。その仲の良い様子がなんだかとても微笑ましかった。
「大丈夫よ、好きなだけ食べて頂戴。まだ食べたいならアルターニャ王女に食い尽くされる前に早く食べたほうがいいわよ。特にスイーツは一瞬で消えるわ」
「なるほどアルターニャ王女様は甘党なんですね……よし、私も負けてられない!マリー、あっちも美味しそうだから行こう!」
「ちょっと私の話聞いてた?すみませんリティシア様、失礼致しますね」
「リティシア様、すみませんまた後で!リティシア様もご自身のパーティ、楽しんで下さいね!」
デイジー嬢の去りゆく背中を眺めていると、彼女と初めて会った頃のパーティを思い出した。あの時は表情が沈んでいたけど、今はこんなに楽しそうに友達とはしゃいでいる。
そうよね、やっぱりパーティはこうでなくちゃ。
「楽しいご令嬢方ですね」
イサベルがくすくすと可愛らしい笑い声を上げる。
「そうね……楽しそうで本当に良かったわ」
「ところでアルターニャ王女様はいつまで食べる気なのでしょうか?このままでは本当にスイーツが全てなくなってしまいますよ」
アルターニャ王女を再び視界に捉えた時には、宣言通り彼女がスイーツを片っ端から食べ尽くす様子であった。
あの細い身体のどこに入っているのかがとても気になるが、先程から休むことなく色んな種類のデザートに手を出している。時々人に話しかけられて凄く嫌そうな顔をしていた。
本当にスイーツが好きなのね。でも話しかけられた時くらいは笑顔を見せなさいよ……。
「リティ、君のための最高のパーティは楽しんでるかい?」
突如かけられたその声に振り返ると、そこにはお父様とお母様の姿があった。
偉い人達への挨拶が終わってようやく時間が回ってきたのだろう。娘のパーティなのに娘と一緒にいられないとは大変な世界だなと常々思う。
「お父様、お母様……!はい、もちろん楽しんでいます」
「ふふ、よかったわ。イサベルちゃんにアーグレン君も楽しんでる?」
「はい、とても楽しいパーティです!流石リティシア様のお誕生日パーティですね」
「はい。楽しませて頂いております。リティシア公女様のお誕生日、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます」
イサベルが胸に手を当てて微笑み、アーグレンは軽く頭を下げる。
その様子を見たお母様は「皆楽しんでるみたいで良かったわ。リティ、貴女は人一倍楽しむのよ?なんてったって今日の主役は貴女なんだから。皆貴女のお誕生日をお祝いしてるのよ。」と笑った。
恐らく本気でお祝いしてくれているのは一部でしょうけどね……とは言わないでおく。
本気で祝ってくれる人がいるだけで私にはもったいないのだから。呑気に誕生日パーティなんて開ける今の状況に感謝すべきだわ。
「はい、分かっています。お母様に言われなくても既に十分楽しんでいますよ」
「嘘だぁ、リティ全然食べてないでしょ?ほら、王女様と伯爵令嬢に食べられちゃう前に貴女も食べなさいよ……ってあ、そろそろじゃない?」
「……そろそろとは?」
「そうよね、アーゼル。」
「あぁ、そろそろかな」
二人揃って何かを話し始めるので私は怪訝そうに眉を顰める。
思わずイサベルとアーグレンに視線を向けるが、彼らも私同様になんのことだか分からないらしく、不思議そうな顔をしていた。
「さぁリティ、盛大に驚きなさい」
お母様は不敵な笑みを浮かべた。
以前失礼すぎる呼び出しの手紙を出した時は文句も言わずに来てくれたじゃない!なんで今回は来てくれないの!?
「……まぁまだ中盤だし、これから来るでしょ。さぁ、私達も楽しむわよ。折角のパーティなんだから」
私の言葉に、デイジー嬢が真っ先に声をあげた。
「……そうですね!ところでリティシア様!パーティに出すお料理のメニューはリティシア様が自分で決めたんですか?」
「えぇまぁ…そうだけど」
「このプリンとか凄いですよ、こんなに美味しそうなプリンは今まで見たことないです!食べていいですか!?」
当然ながらパーティの準備など前世も含め一度もしたことがないので私が好きだったものやパーティらしいものを用意することにした。プリンは可愛いし美味しいから女性人気が高いのではと思って用意させたものだが、どうやら正解だったようだ。
「もちろん構わないけど作ったのは私じゃなくてシェフだからシェフの腕がいいんでしょうね」
「そんなことありませんよ!リティシア様が優しいお方だからシェフの方もプリンを美味しく作ろうって思えるんです!シェフだけの力ではありませんよ」
「……随分変なことを言うのね。でも面白い考えだわ。ありがとう」
デイジー嬢は私に微笑むや否や早速プリンを口に頬張ると「美味し~!」と嬉しそうに呟く。マリーアイ嬢が「イジー、もっと礼儀正しく食べなさいよ一応伯爵令嬢なんだから…」と戸惑いながら声をかけている。
当のデイジー嬢本人は全く気にせず次のスイーツへと目を向けていた。
「大丈夫、リティシア様なら許してくれるよ~。あ、このクッキーも食べていいですか!?えっ、めっちゃ美味しい」
「もう!貴女のパーティじゃないのよイジー!!」
言いながらクッキーを頬張っていたデイジー嬢にマリーアイ嬢が呆れて声を張り上げる。その仲の良い様子がなんだかとても微笑ましかった。
「大丈夫よ、好きなだけ食べて頂戴。まだ食べたいならアルターニャ王女に食い尽くされる前に早く食べたほうがいいわよ。特にスイーツは一瞬で消えるわ」
「なるほどアルターニャ王女様は甘党なんですね……よし、私も負けてられない!マリー、あっちも美味しそうだから行こう!」
「ちょっと私の話聞いてた?すみませんリティシア様、失礼致しますね」
「リティシア様、すみませんまた後で!リティシア様もご自身のパーティ、楽しんで下さいね!」
デイジー嬢の去りゆく背中を眺めていると、彼女と初めて会った頃のパーティを思い出した。あの時は表情が沈んでいたけど、今はこんなに楽しそうに友達とはしゃいでいる。
そうよね、やっぱりパーティはこうでなくちゃ。
「楽しいご令嬢方ですね」
イサベルがくすくすと可愛らしい笑い声を上げる。
「そうね……楽しそうで本当に良かったわ」
「ところでアルターニャ王女様はいつまで食べる気なのでしょうか?このままでは本当にスイーツが全てなくなってしまいますよ」
アルターニャ王女を再び視界に捉えた時には、宣言通り彼女がスイーツを片っ端から食べ尽くす様子であった。
あの細い身体のどこに入っているのかがとても気になるが、先程から休むことなく色んな種類のデザートに手を出している。時々人に話しかけられて凄く嫌そうな顔をしていた。
本当にスイーツが好きなのね。でも話しかけられた時くらいは笑顔を見せなさいよ……。
「リティ、君のための最高のパーティは楽しんでるかい?」
突如かけられたその声に振り返ると、そこにはお父様とお母様の姿があった。
偉い人達への挨拶が終わってようやく時間が回ってきたのだろう。娘のパーティなのに娘と一緒にいられないとは大変な世界だなと常々思う。
「お父様、お母様……!はい、もちろん楽しんでいます」
「ふふ、よかったわ。イサベルちゃんにアーグレン君も楽しんでる?」
「はい、とても楽しいパーティです!流石リティシア様のお誕生日パーティですね」
「はい。楽しませて頂いております。リティシア公女様のお誕生日、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます」
イサベルが胸に手を当てて微笑み、アーグレンは軽く頭を下げる。
その様子を見たお母様は「皆楽しんでるみたいで良かったわ。リティ、貴女は人一倍楽しむのよ?なんてったって今日の主役は貴女なんだから。皆貴女のお誕生日をお祝いしてるのよ。」と笑った。
恐らく本気でお祝いしてくれているのは一部でしょうけどね……とは言わないでおく。
本気で祝ってくれる人がいるだけで私にはもったいないのだから。呑気に誕生日パーティなんて開ける今の状況に感謝すべきだわ。
「はい、分かっています。お母様に言われなくても既に十分楽しんでいますよ」
「嘘だぁ、リティ全然食べてないでしょ?ほら、王女様と伯爵令嬢に食べられちゃう前に貴女も食べなさいよ……ってあ、そろそろじゃない?」
「……そろそろとは?」
「そうよね、アーゼル。」
「あぁ、そろそろかな」
二人揃って何かを話し始めるので私は怪訝そうに眉を顰める。
思わずイサベルとアーグレンに視線を向けるが、彼らも私同様になんのことだか分からないらしく、不思議そうな顔をしていた。
「さぁリティ、盛大に驚きなさい」
お母様は不敵な笑みを浮かべた。
11
あなたにおすすめの小説
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)
ラララキヲ
ファンタジー
乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。
……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。
でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。
ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」
『見えない何か』に襲われるヒロインは────
※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※
※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※
◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる