転生先:俺(コピー)

いつき

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転生先;俺(コピー)

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目を覚ました時、俺は真っ白な空間にいた。そう、いわゆる「神様部屋」ってやつだ。

「おぉ、目覚めたか。事故で死んだお前を、異世界に転生させてやろう!」

唐突に現れたヒゲもじゃの神様が言う。

「マジか!チート能力くれるやつ!?剣と魔法の世界!?最強無双!?美少女ハーレム!?」

「うむ、全部つけといた」

「やったぜ神様!よろしくお願いします!!」

光に包まれ、俺は転生した。



次に目を覚ました俺は、草むらの中にいた。

「おお……ここが異世界……?」

周りには木々、空には二つの太陽、そして俺の手には伝説っぽい剣。

「まさにファンタジー世界!さて、ステータス確認っと……」

 ――チート能力
 ・不死身
 ・全ステ999
 ・言語理解
 ・魅了(全種族)
 ・絶対回避
 ・自動追尾トイレ(!?)

「なんだ最後……まぁいい、完璧だ!」

と、その時。

「ぴぎゃぁあああああ!!!」

突如、耳をつんざく悲鳴が空から降ってきた。

ドガァン!!

空から落ちてきた何かが俺の隣に突っ込んだ。土煙が晴れると、そこには――

「お前もかよ」

「お前もかよ!」

なんと、俺が二人いた。



「え、ちょっと待って。なんで俺が二人?」

「わかんねぇ!俺も神様に転生させられて……でも着地座標ミスったって言われて、戻される途中にまた転生された!」

「俺も!しかも神様、途中で”あ、ごめん、同じ魂2つにしたかも~“って言ってた!」

「おい神様ァァァ!!」



と、空に向かって叫んだその瞬間、また光が降りてきた。

「やぁやぁ、混乱させてすまなかった。実はお前、“双子の勇者”って設定で転生させる予定だったんだよ」

「そんな話、聞いてねぇぞ!」

「うっかり忘れてたんだよね~テヘ☆」

「軽すぎんだろお前!!」



かくして、二人の俺――改め、「俺A」と「俺B」は、双子の勇者として旅立つことに。

だが、最初の村での出来事。

村長「勇者様!村を救ってください!」

俺A「任せろ!」

俺B「いや、俺が行く!」

俺A「いやいや、俺が行く!」

俺B「じゃあジャンケンで決めようぜ」

俺A&B「ジャンケン――ポン!」

グーとグー。

「またああああああ!!」



こうして俺たちのチートすぎて噛み合わない旅が始まった――。

(完)
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