おかえり

いつき

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おかえり

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ある男が、深夜に一人暮らしの自宅へ帰ると、ドアの鍵が開いていた。
「また閉め忘れたか」と思いながら部屋に入ると、テーブルの上にメモがあった。

『おかえり。夕飯、冷蔵庫に入れておいたよ。』

男は驚いた。
「え……彼女、合鍵なんて持ってないはずだけど……」

冷蔵庫を開けると、弁当箱が一つ。中には男の好物がぎっしり詰まっていた。
怖くなった男は、慌てて部屋を飛び出し、警察に通報した。
やがて警察が調べたが、部屋には侵入の痕跡はなかった。
ただ、奇妙なことに冷蔵庫の中からは指紋が一つも出なかったという。



🔍解説

最初は「彼女が勝手に入ったのかな?」という程度の違和感ですが、
実はこの話の怖いポイントは **「侵入の痕跡がない」と「指紋が一つも出なかった」**ことです。

つまり――
• 鍵が開いていたのは男が閉め忘れたのではない
• 何者かが部屋に入ったが、ドアを使っていない可能性がある(=中に潜んでいた?)
• 弁当を入れた人物は、手袋などで指紋を完全に残さなかった
• 「彼女」は存在しない(男の知人の中に該当者はいない)

つまり、何者かがずっと部屋に潜んでいた、あるいは得体の知れない存在が食べ物を作っていたという、常識では説明できない恐怖が隠されています。
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